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「あなたが普通じゃないから、世界はこんなにも、美しい」映画で見つけたバリアバリュー


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中学生の頃、友人たちと映画を見に行った時、
誰も笑わないところでドッと爆笑しまくって気味悪がられたトラウマから、
映画館には基本的に一人で行く派になった広報部長・岸田です。

いつか、笑いのツボに自信を持てるようになりたい。

さて、先日、映画を観ました。
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」(2015年3月15日〜公開中)

史実がベースになっているにも関わらず、
感動と衝撃がお腹の深く、底の底まで伝わってくる素晴らしい映画でした。

ミライロの理念・バリアバリュー(障害を価値に変える)に繋がる部分も
多くありましたので、意気揚々と紹介させていただきます!

 

※映画のネタバレを含みます。スクロールの際はご注意ください。

 

イミテーション・ゲームのあらすじ

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まずは映画の概要を、「Yahoo!映画」から引用します。

第2次世界大戦下の1939年イギリス、若き天才数学者アラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)はドイツ軍の暗号エニグマを解読するチームの一員となる。高慢で不器用な彼は暗号解読をゲーム感覚で捉え、仲間から孤立して作業に没頭していたが、やがて理解者が現れその目的は人命を救うことに変化していく。いつしか一丸となったチームは、思わぬきっかけでエニグマを解き明かすが……

主人公である天才数学者アラン・チューリングは、実在したイギリス人です。
つまりこの映画は、本当にあった話をもとにした映画です。

史実で、背景が第二次世界大戦で、テーマは暗号と陰謀。

暗くて重い映画だろうなと思っていたら、2時間足らずの上映時間はあっと言う間で、
終盤は「この素晴らしい映画が終わらなければいいのに」と嘆くほどでした。


この映画の見所は3つです。

・アラン・チューリングが率いるチームが、
 奔走し、ぶつかり、認め合い、エニグマ解読を達成するまでのプロセス

・アラン・チューリングが辿った非情な末路

・アラン・チューリングへの最後の救い

前半はチームで紆余曲折ありながらも目標を達成するという普遍的な物語ですが、
後半、アランの運命が明かされると、頭を思い切り殴られたような衝撃を受けます。

 

暗号「エニグマ」に立ち向かう天才たち

英国の天才的な数学者であるアランは、難攻不落の暗号「エニグマ」の解読に挑みます。

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それまでは人力でひとつひとつ文字を書いて解いていくしかなかった途方もない作業を、
アランは「解読のための機械」を発明し、自動化します。これだけでもすごい。


アランは天才である反面、圧倒的な「コミュ障」「空気が読めない」男であったので、
当然チーム内での衝突は起きるわけですが、
皆はアランの発想と熱意に次第に惹かれていきます。

(※ちなみに、発達障害のアスペルガー症候群の特徴にも近しかったと言われています)

ドイツ軍が使用していた「エニグマ」をアランが解いたことで、
第二次世界大戦の終結は2年以上早まり1400万人が死なずに済んだと言われています。

アランとその解読機械は、世界を救ったヒーローとも言えるわけです。

暗号解読の場面、チームの皆が言葉を失って喜ぶシーンでは思わず心の中で咆哮しました。
 


アランの非情な末路と、最後の救い

ここまでは、典型的なプロジェクト成功のストーリーです。

しかし、この映画のラスト、アランは自殺します。

ヒーローであったはずの彼を死に追いやったのは、
彼が救ったはずのイギリス本国でした。

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なぜならば、アランは同性愛者(ゲイ)だったからです。

1950年代、同性愛者は激しい差別を受けており、イギリスでは犯罪とみなされました。

アランは有罪判決を受け、屈辱的な女性ホルモン強制投与という科学的去勢を施されました。

暗号を解読し、イギリスを救った張本人であるにも関わらず、です。

そして死後20年間、どんな書物にもアランの名前が残ることはありませんでした。

1400万人の命を救ったアラン・チューリングは、
軍の機密保持のため、そしてゲイであったために、歴史から名前と功績を抹消されました。
 


あなたが普通じゃないから、世界はこんなにも、美しい

暗号解読後、身も心もボロボロの状態で自宅に身をひそめるアランを映したシーンでは、
怒りと悔しさが混ざって、何とも言えない気持ちになりました。

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しかし、アランの元へ見舞いにやってきた、
暗号解読チームの同僚女性の言葉が素晴らしいです。


「時として、誰も想像できなかったような人物が、誰も想像できなかった偉業を成し遂げる。」


幼い頃から偏屈で、同性愛者であるが故か周囲に馴染めず、
学生時代はずっといじめられていたアラン・チューリング。

しかし、同僚である彼女は、チームの皆だけは知っています。
アランがどれだけ偉大であるか、そしてどれだけ勇気がある行動を起こしたかを。


悲惨な運命を辿るアランが「僕も普通になりたかった」ということをつぶやくと、彼女は首を振って言います。

この台詞が、映画中わたしが最も好きで、そして何よりも勇気づけられた言葉です。


「普通じゃできないことがあるの。今日、戦争で消滅したかもしれない街で、死んだかもしれない男から切符を買って、電車に乗ってここへ来た。すべて、あなたが救ったのよ。あなたが普通を望んだって、わたしはお断りよ。あなたが普通じゃないから、世界はこんなにも、美しい


彼女の言葉を聞いて、アランはふっと力が抜けたように笑顔になります。
普通になりたいと痛いくらいに望み続けてきたアラン。
皮肉にも、普通ではない彼を追いやったのは、普通ではない彼が救った世界でした。

その歯がゆさ、何もできない自分に対するいら立ちは、映画を観に行った方なら誰もが経験したと思います。

結局、彼が選んだのは、自身と栄光を共に受け入れる「死」でした。
悲しい結末ですが、同僚女性の言葉が彼に届き、少しでも救いになったことを願うばかりです。

アランが発明し、死の間際をも共にした大切な暗号解読機械は、
その後、わたしたちが日常的に使用するコンピューターの発明のヒントになったと言われています。

 

どうかそのまま、他の人と違うままでいて下さい

最後に、この映画の脚本を書いたグレアム・ムーアさんのアカデミー賞脚本賞の受賞スピーチを紹介します。

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「16歳の時、私は自殺を図りました。しかし、そんな私が今ここに立っています。私はこの場を、自分の居場所がないと感じている子供たちのために捧げたい。あなたには居場所があります。どうかそのまま、変わったままで、他の人と違うままでいてください。そしていつかあなたがこの場所に立った時に、同じメッセージを伝えてあげてください」

 

ミライロの理念は、障害を価値に変える「バリアバリュー」です。
障害だけではなく、苦手なことや、コンプレックスも含まれます。

それらは、マイナスでもない、不幸でもない。無くすべきものでもない。
視点を変えれば強みになり、時には誰かの光にだってなり得ます。

誰も想像しなかった人が、誰も想像をできなかった偉業を成し遂げることだってあるのです。


イギリスでの同性愛迫害に近い歴史は、日本においてもありました。
明治時代、舗装された道路もない、スロープもない日本では、
障害のある方々は外に出られず、また、出歩くと他人から石を投げられることもあったそうです。

しかし、今、そんなことはありません。
でも、私たちは、本当に誰もが生きやすい社会を創ることができているのでしょうか。

時に誰もが想像しなかった障害をかけがえのない価値に変えて、
誰もが輝いて生きることができる世界。

バリアバリューという視点で、創造したいと強く感じました。


この投稿は 2015年4月30日 木曜日 20:15 に スタッフブログ カテゴリーに公開されました。 この投稿へのコメントは RSS 2.0 フィードで購読することができます。 現在コメント、トラックバックともに受け付けておりません。