ミライロでは、3週間にわたり、南アフリカからのインターン、Zukiさんを迎え入れました。Zukiさんは、アフリカの産業人材と日本企業の相互理解と連携の促進を目的とした日本政府の奨学金で来日しており、昨年8月から東洋大学にて、障害者の経済エンパワメントについて研究中です。
Zukiさんのインタビューを前編・後編の2回に分けてお届けします。前編では、Zukiさんのバックグラウンドや、インターンシップを通して得たいことを紹介します。
Zukiさんのバックグラウンドを教えていただけますか?
南アフリカで「Kezzy」という会社を立ち上げ、インクルーシブな社会の実現を目指し、企業や自治体向けの研修やモニタリング等の業務を行っています。
きっかけとなったのは、2007年に駐車場で銃で撃たれ、車いす生活になったことです。それまで自由に歩いていた場所に行けない、小さな段差でさえ越えられない、やりたいことができない状態になりました。社会が、障害のある人を全く気にかけていないことにも気づきました。同時に、自分自身も障害について学び、理解する必要があると思い、障害当事者団体の活動に参加するようになりました。
また2013年からは、JICAが提供する障害平等研修のファシリテーターのトレーニングを受け、南アフリカで、企業や自治体を対象とした研修を実施しています。そして、2016年にKezzyを立ち上げました。
Kezzyではどのようなサービスを提供していますか?
Kezzyのビジョンは、障害者が利用できる施設であることを示すマークが必要ない、インクルーシブな社会を実現することです。
車いす利用者をデザインした障害者のためのシンボルマークは、便利な面もある一方で、障害のある人とない人の使う出入り口を別々に設けるなど、両者を分けてしまうことにもなります。誰もが同じものを使えることが当然となり、このようなマークが必要なくなるのがあるべき姿ではないでしょうか。
このような社会を実現するためには、知識と情報が必要です。しっかりとリサーチと評価を行い、何が必要なのかを明らかにすること、また、政策や制度が人々の生活にどのようなインパクトをもたらしているかを分析して報告書にまとめること。政府や企業の意思決定者のマインドセットを変えるには、このようなデータが不可欠と考えています。
リサーチのテーマは、障害者の権利条約の条項に沿った課題から選ぶようにしています。障害者の権利条約を批准した国々の政府は、取り組みの進捗状況を国連に報告する義務があります。このこともふまえ、既存の政策改善や、新しい政策構築に貢献することを目指しています。リサーチスキルを高めることも、日本の大学院で勉強している理由の一つです。
JICAからの委託で南アフリカの各州で障害平等研修を行い、その後どのようなインパクトを生み出したかなどもリサーチしました。
まだまだ駆け出しですが、政府機関や国際的な大企業、当事者団体とも連携しています。
インターン場所として、なぜミライロを選んだのか教えていただけますか?
ミライロは選んだ理由は、Kezzyと事業モデルが似ているので、多くのアイディアや機会を得られると思ったからです。今回のインターンシップを通して、ミライロとKezzyについて情報交換をし、自身の活動に活かすとともに、連携の可能性についても考えてみたいと思います。
後半は、Zukiさんがミライロでどんなことを学んだか、その学びをどのように活かしていきたいかについてご紹介します。