社長がTEDxに登壇するまでの4ヶ月間、地獄の準備を乗り越えた話

こんにちは、ミライロ広報部の岸田奈美です。

先日、代表の垣内俊哉がTEDxKyotoでスピーチしました。

バリアバリュー、ユニバーサルデザイン、ユニバーサルマナー、そして世界のこれからを、15分間にギュッと凝縮したスピーチです。まずは一度、ご覧ください。

いかがでしたでしょうか。渾身のスピーチです。

TEDxKyotoから出演オファーをいただいてから、準備期間は4ヶ月。

この4ヶ月は垣内と私にとって“最も濃い”……を通りこして、“地獄のような”準備の期間になりました。

スピーチ直後、全てを出し切った図

これからTEDxに登壇する方、大勢の前でスピーチをする方のお役に少しでも立てれば、と思い、準備を振り返りたいと思います。

準備には大きくわけて「原稿編」と「スライド編」と「パフォーマンス編」があります。

原稿・スライド編(1) 言い回しのかぶりをなくす

15分という持ち時間に対して、垣内は原稿を3,750文字以内で書き始めました。

1分あたり250文字です。

一般的に、人が話す時の平均値は300文字のようですが、TEDxではお辞儀、身振り手振り、立ち位置変更などのパフォーマンスがあります。

動きながら落ち着いて話すために、平均値よりも少なめに設定しました。

さて、3750文字も書いていると、必ず「かぶり」が出てきます。

例えば、話の切り出しでも

・たとえば、

・しかし、

・そこで、

などが頻繁に出てきます。

同じものを何度使っても、文法的には間違っていません。

しかし、声に出してみると「この言い回し、さっきもあったな」と、聴講者の意識を邪魔してしまうものです。

そこで役に立ったのが「接続詞辞典」です。

前の事柄と逆の事柄(逆説)を言う時も、「しかし」「けれども」「ところが」「とは言うものの」「それなのに」など、バリエーションがあります。

話の切り出しと締めは、できるだけ異なる言葉になるようにしました。

おかげで、普段の会話でも、やたらと接続詞の語彙力が豊富になりました。

原稿・スライド編(2) 文章は短く、シンプルに

一文を一息で、息継ぎをせずに話せる短さにすること。

ユニバーサルデザインがもたらす価値を説明する際、最初はいろいろと便利な理由や効果を並べていました。

けれど結局「多様な方がゆったりくつろげる、旅館」「家族みんなで幸せを共有する、結婚式場」「それぞれの可能性を広げる、スポーツジム」と、一事例につき短い一文にまとめました。

文章を削ぎ落とした結果、スライドで使用した写真のインパクトも手伝って、聴講者がイメージしやすくなる効果がありました。

シンプルな文章&ハッキリした発音のおかげで、Youtubeの自動生成翻訳の認識率が急上昇しました。(通常50パーセント程度の精度が、90パーセントくらいに)

原稿を書き始めた7月から本番前日のギリギリまで原稿をブラッシュアップし、最終的に11稿目で校了となりました。

接続詞や句読点の場所が全部微妙に違うだけの原稿とかあります。まるで間違い探しです。

ちなみに、原稿はGoogle Drive(ドキュメント)が便利でした。

出張で垣内と離れていても「ここどう思う?」など気になった細かいことを、コメント機能で残して、議論もできます。

原稿・スライド編(3) ノイズを入れない

ノイズとは、余計なデザイン・言葉のことです。

これも何十枚とスライドを試作した結果、できるだけスライドの枚数を減らした方が、聴講者が話に集中しやすいということがわかったからです。

基本的に、使用するのは写真と短いキーワードのみ。

アニメーションは使わず、画面切り替えの時にぼやーっと自然に変わっていく「フェード」という効果のみ使いました。

スライドとスライドの間も大切で、話に集中してもらいたい時は、スライドを非表示(ブラックアウト)にしました。

パフォーマンス編(1) ありとあらゆる手段を使って覚える

徹底した暗記。これに尽きます!

「あ〜」や「え〜っと」などの“言葉のひげ”は、自信がなさそうに見えるから使わない!というのは皆さんもご存知かと思われます。

しかしこの“言葉のひげ”は、次の言葉を探す時に出てしまうもの。

つまり、完璧なスピーチをするためには、まず完璧な暗記なのです!

原稿の最終稿が決まってから、垣内はひたすら暗記の日々を送っていました。

・繰り返し読む。

・繰り返し書く。(手書きやPCタイピング)

・自分の声を録音して、移動中などに聞く。

・聞きながら、ほぼ同時に口に出してみる。

ということを繰り返していたそうです。

来る日も……

来る日もこんな感じです。

暗記にかかった期間は、二週間。

常にイヤフォンをつけて呟きながら移動しているので、異様な光景でした。

パフォーマンス編(2) 身振り手振りも覚える

垣内のスピーチには、頻繁に身振り手振りが出てきます。

腕を広げたり、手のひらを見せたり。そして、車いすの位置を変えたり。

これらはすべて、事前に“何をするか”を決めていました。

「広いという言葉の時は、手で広げる仕草にしよう」とか

「話のムードが変わる前に、立ち位置を右にしよう」とかです。

話のイメージがつきやすいような的確な身振り手振りを、

きっちりと抜群のタイミングで決めることができました。

また、身振り手振りと原稿が一致するので、覚えやすくもなったそうです。

パフォーマンス編(3) 聴講者を一人ずつ、見つめる

今回、会場にいた聴講者は650名。

この650名から端から端まで、一人ずつ、目が合うように意識して、

会場を見渡す練習をしていました。

目線がキョロキョロしていると、自信が無さそうに見えてしまいます。

人は目が合うと「私に話しかけている!」と当事者意識を持って、話に集中してくれるそうです。

パフォーマンス編(4) スライド操作は、一緒に準備の時間を費やした人に頼む

この場合、それは私です。

当日は「講演者が自分で操作する」か「運営スタッフに任せる」のどちらかが選ばれたのですが、私が操作することになりました。

自分で操作すると、会場前方と後方の距離があるので、赤外線リモコンだとわずかなラグがあります。

ここまで綿密に準備してきたスピーチなので、そのラグも惜しいと考えました。

操作を運営スタッフに任せるよりも、原稿を垣内と同じく暗記している私が操作した方が安全、ということになりました。

こちら、スライドを操作する私からの眺めです。

正直、めちゃくちゃプレッシャーでした。

しかし、これが結果的に功を奏しました。

実は垣内は本番で、後半の伝える順番を間違えています。

内容として問題はないのですが、1稿前の原稿を伝えてしまったのです。

私が咄嗟に「あっ、これは変更前の原稿だ。じゃあここで変えれば良いんだ!」と、ぶっつけ本番で、最終版の原稿に示されている個所ではないタイミングでスライドを進めました。それがドンピシャのタイミングだったんです。

「これ以上ない」と思えるくらい最高の準備をすれば、あとは楽観するのみ。

垣内がよく言っている、言葉です。

この4ヶ月間、私たちにとっては本当に地獄の日々でしたが、これ以上ない準備を重ねたことによって、本番のトラブルも難なく乗り越えられました!

この日々の集大成が、これからスピーチにチャレンジする人にとって少しでも参考になれば、とっても嬉しく思います。

おまけ  夕食は食べ慣れたものを食べる

本番前日、垣内は開場付近のホテルに泊まっていました。

ホテルのレストランやルームサービスなども選べたのですが、食べたのはあえての「餃子の王将」。

親しみのある食べ慣れた餃子をたらふく食べることで、リラックスして臨むことができました。

ちなみに、無事に成功した打ち上げは天下一品でした。

垣内のTEDXスピーチ動画はこちらから
https://www.youtube.com/watch?v=zwW9qvs2M50

岸田 奈美Nami Kishida

株式会社ミライロ 広報部長

12歳の時にベンチャー企業を経営する憧れの父親が心筋梗塞による突然死し、17歳の時に母親(岸田ひろ実)が過労による大動脈解離に罹り緊急手術。後遺症で下半身麻痺・車いす利用者となった母が生きやすい社会へと変えることを目標とし、株式会社ミライロに創業メンバーとして加わった。現在は広報部長を務め、数多くのメディアで経営理念である「バリアバリュー(障害を価値に変える)」を広めることに成功。