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2017年06月14日

視覚障害者はどうやって着替えを選んでいるのか?~ポイントは、触って覚えること~

原口淳

こんにちは。ミライロ講師の原口です。

先月のブログに引き続き、今回も私と仲の良い小学生2人(東灘小学校少年団野球部5年生の家城悠我(いえきゆうが)くん、岡本翔真(おかもとしょうま)くん)と一緒に、私の日常についてお伝えします。

写真 原口と小学生二人

今回のテーマは“服”です。前回のブラインドサッカーの練習が終わり、着替えをしている時に子どもたちからこんな質問がありました。「原口さんって服の色を間違えることはないの?」と。そこで子どもたちに私の家に来てもらい、いろいろと体験をしてもらいました。

アイマスクをした状態で服選びに挑戦!子どもからの学びとは?

今回はアイマスクを付けた状態で洋服を覚え、指定された服に着替えるというゲームを行いました。

写真 手探りで服を探す様子

このゲームを通して一番印象的だったのは、“2人で協力して必要な情報を見つけた“という点です。片方がアイマスクをして、もう片方が服の説明をしたのですが、一番最初の説明は「えっと、なんか普通の服……」と驚くほど雑でした。しかし、その説明があったことによって「ここは何色?これはなんて書いてある?」とアイマスクをしている側が服を触りながら質問をして詳細を得ていきました。

それにより、目の見えない人は“どんな情報が必要なのか”を学んでくれた様でした。結果、アイマスクをする人を交代して行った説明では「この靴下は青色で、ここにアディダスのロゴがある」と相手の手を取りながら的確に服の特徴を伝えることができていたのです。

一度見えない状態を経験することで、こんなにも自然と相手の立場に立って説明することができるんだと驚いたと共に、サポートする側の知識やノウハウがなくても、コミュニケーションによって解決できることがたくさんあることを再認識しました。やはり、子どもの対応力と吸収力の速さとはすごいです。

写真 手で靴下を探す様子

子どもが自分たちで見つけ出した、服の特徴を伝える際のポイント

写真 手で服の特徴を探す様子

見える人が見えない人に服を伝えること
1. 服の種類(Tシャツ、ズボンなど)
2. 色や柄などの見てわかるもの
3.チャック・ロゴ・長さ・質感など触ってわかるもの

服の種類と色や柄は見えている人が伝え、チャックやロゴなどの触ってわかるものは見えない人に直接触ってもらうことで、確認しやすいことがわかりました。

 

「原口さん、どうやって服を買っているの?」

服の特徴を伝える際のポイントがわかった子どもたちから、質問がありました。

私は、店頭で自分に似合う服を選ぶ時が一番困ります。その服が自分に似合っているかを見て判断することができないので、色や模様の説明だけではわからないのです。子どもたちにこのことを伝えると「確かに店員さんってなんでも似合います~っていうよなぁ」と納得してくれた様子でした。

先ほどお伝えしたような手順で服の特徴を教えてもらうのももちろん嬉しいですが、似合っているかどうかを素直に伝えてくれると嬉しいのです。

服の色を教えてくれる!?アプリの紹介

買い物の話が終わると「買ってきた服の特徴を覚えておくのが大変そう」という話になりました。そこで、私が最近使用しているスマートフォンのアプリを紹介しました。カメラで服を撮影するとそれが何色なのかを音声で教えてくれるという優れものです。

写真 アプリの画面

≪グレーの四角の中に「うすい、あおじに、くらいあおの、チェックです」と書かれています≫

子どもたちもその機能に興味深々でした。このアプリがあると、一人暮らしの私でも安心して服を選ぶことができます。

まとめ

最近は便利なアプリなどが出てきていますが、周りの人のサポートが何よりも重要だと私は考えています。また、そのサポートも順序良くすることが大切なのではなく、似合っているかどうかを言ってくれるだけでもいいので、視覚障害者の目になってもらえることが一番です。

たとえサポートする方法が分からなかったとしても、相手の立場に立って考え、行動することでそれが適切なサポートになるのです。

余談ですが……

最後に、初めて私の家に来てくれた子どもたちにこんな質問をしてみました。

「みんなの家とどんなところが違う?」と。

視覚障害者の家ならではの気づきを期待していたのですが、返ってきたのは「部屋が1つだし、なんで廊下にキッチンがあるん?」という驚くべき答えでした。確かに彼らの家とは違いますが、それは視覚障害とは全く関係なく、単に一人暮らしだからです(笑)

やはり、子どもの発想はいつも想像を上回ります。

写真 アイマスクをして服を畳む小学生二人

≪アイマスクをした状態で服を畳むのに挑戦中!≫

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