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2017年11月17日

ホーム転落だけじゃない、視覚障害者にとっての駅での不安とは?

原口淳

写真 駅のホーム

電車利用時、視覚障害者にとっての危険とは?

講師の原口です。

私と同じ視覚障害者が駅のホームから転落し、死亡する事故が近年起きています。

先日も私の住む関西で、死亡事故がありました。

こうしたニュースを耳にするたびに、一人で電車に乗り、移動することの多い私は「他人ごとではない」と思い、慣れている場所ではより注意して歩くように心がけています。

では、視覚障害者が電車を利用する際、日常的に不安に思っていることとは何でしょうか。

私の経験から考えてみました。

 

電車遅延などの情報不足

もちろん、ホーム上は最も危険な場所であり、周囲の方にも見守っていただけていると非常に心強いです。

しかし、日常的に視覚障害者が不安なシーンと言うのは、他にもあると考えています。

最近私は、人身事故や、悪天候による電車トラブルに巻き込まれることが多くありました。

先日は、週に3回も電車遅延に巻き込まれてしまい、講演に遅れてしまうのではないかと、肝を冷やしたことがありました。

いつも、予め時間に余裕を持ち動いているので、遅刻することはなかったのですが…。

週に何度も同じようなことがあると、心臓に悪いのです(笑)

こういったトラブルが起きた際に、情報源となるのは、電車内や駅のアナウンスになるのですが、周囲の人の声などで聞こえないこともよくあります。

また、振替輸送を行っていたとしても、そこまでの行き方が分からず、立ち往生してしまうこともよくあります。

 

最寄り駅で起きた爆破予告で危うく帰宅難民に

私が遭遇した、最大の電車トラブルが数か月前にありました。

仕事を終え、帰宅しようと会社近くの駅に行くと、異様な騒がしさに嫌な予感がしました。

「また電車が遅れてるな」

そう思いながら、とりあえずホームに降りて、駅員さんの放送を聞くことにしました。

「先ほど、◯◯駅で爆破予告がありました。安全が確認されるまで、すべての電車は◯◯駅を通過いたします」

駅員さんの放送を聞いて愕然!!

その駅は私がこれから帰ろうとしている最寄り駅だったのです。

さあ、どうしたものか…。

電車は動いているのに、家に帰れない。

とりあえず行けるところまで行ってみようと思い、いつも利用する電車に乗りました。

電車の中でも、私の降りる予定の駅を通過する旨のアナウンスが繰り返しされていたので、結局一つ手前の駅で降りることにしました。

電車を降り、私はさらに愕然とすることになりました。

電車から降りた瞬間、ホームには大勢の人が…。

改札まで行って、駅員さんに誘導をお願いし、何とか別の路線で帰ろうと考えていたのですが、改札まで行くことすら困難な状況でした。

どうしたものかと考えていた時、近くの人が私に声をかけてくれました。

そして、改札まで連れて行ってくれたのです。

そこで駅員さんに声をかけようと思ったのですが、そこにも長蛇の列が…。

「これだけ人が多いと、駅員さんも私に気づかないだろうな」と考えていると
「もし良かったら、私も振り替え輸送を利用するので、一緒に行きませんか?」と
先ほど改札まで連れて行ってくれた方が声をかけてくれました。

その声掛けがとても嬉しく、自宅に帰れるのか不安な気持ちを一気に解消してくれました。

その方のおかげで、無事に私は自宅まで帰り着くことができたのです。

 

まとめ

駅のホームというのは、視覚障害者にとって「欄干のない橋をわたるようなもの」と比喩されるほど危険な場所です。

そのため、周りの人に見守っていただけているととても安心できます。

それと同時に、一人で歩いている私たち視覚障害者も、気を付けながら歩かなくてはいけないと感じています。

私もこれまで、何度かホームから転落しそうになり、ひやりとしたことがあります。

そんな時は、ほとんどが考え事をしながら歩いていたり、慣れている場所だからという油断があったりと、私自身の「不注意」が原因でした。

周りの方の見守りと同時に、当事者もしっかり注意して歩くことで、こういった危険な事態は少なくなると思っています。

一方、電車遅延などのトラブルは私たちがどれだけ注意しても防ぐことはできません。

そんな時に、周りの人がそっと声をかけてくれる。

そんなサポートが私たち視覚障害者の救いになるのです。


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