全盲の私が眠った時に見る、夢とは?

講師の原口です。

お正月の「初夢」にちなみ、今回は「夢」についてお話したいと思います。

「目の見えない人って、寝ている時に夢を見るの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。

私は夢を見ます。

楽しい夢も、「目覚めて良かった!」と飛び起きるような怖い夢も見ます。

ただ、皆さんと少し違うところは、夢の中でも「物が見える」ということはありません。

 

全盲の私が眠った時に見る、夢とは?

例えば、車を運転する夢です。

生まれつき全盲なので、運転はしたことがないのですが、夢の中ではハンドルを握って自ら運転をしています。

しかし、目の前の景色は見えておらず、普段から車に乗っている時に感じる振動や、カーブを曲がるときの重力だけを感じています。

サッカーをする夢では、静寂が原則のブラインドサッカーではなく、歓声に包まれた通常のサッカーをしている夢を見ます。

私は普段、ボールに入っている鈴の音やチームメイトの声を頼りにプレーしているため、歓声があるとボールの位置すらわからない状態ですが、夢の中ではわかるのです。

しかし、ボールが見えるわけではありません。
視界は普段プレーをしているブラインドサッカーのままなのです。

 

夢は現実……

運転をしたり、歓声の中でサッカーをしたりするなど、夢の中には非現実的なシーンもありますが、これはあくまでも私が触ったり、聞いたことがある範囲でしかありません。

運転中の景色やサッカー選手が華麗なドリブルをする姿は見たことがなく、触ったり、聞いたりしてイメージできるものではないため、夢にも出てくることはないのです。

つまり、私の夢は「見たこと」ではなく「体感したこと」がベースになっています。

中途失明をした私の知人は、見えていた時に出会った人の顔や懐かしい景色が夢に出てくるそうです。

子どもの頃の私は「夢の中だけでも、目が見えるようになりたい」と思っていましたが、記憶や経験にないものを夢で再現するのは難しいようです。

このブログを書いていて、英語を勉強中だった友人が、

「アメリカ人と話している夢を見たが、自分の英語は片言だった。せめて夢の中だけでもペラペラになりたいのに……」と言っていたのを思い出しました。

脳内にデータがないものを、夢で見ることはできない。

夢はなんとも現実的です(笑)

ちなみに去年、私が多く見た夢は、講演中に話す内容を忘れてしまうという、なんとも背筋がゾクッとする夢でした。

今年はより多くのことを「体感」して、夢の中で経験できる幅も広げていきたいです。

原口淳Jun Haraguchi

株式会社ミライロ 講師

生まれつき、視覚障害(全盲)のある講師。2011年より株式会社ミライロに入社。視覚障害者の視点から、教育機関や企業に対してユニバーサルデザイン化のコンサルティングや講演活動を行っている。地元兵庫県のブラインドサッカーチーム「兵庫サムライスターズ」で現役選手として活動する傍ら、小中学生を中心にブラインドサッカーの普及活動も行っている。