一人でも多くのお客様がラーメンを味わい、 幸せを感じていただくためのハート作り

株式会社一蘭

店舗におけるサービス向上のみならず、企業理念の実現やグローバル化など、様々な目的でユニバーサルマナーを活用する株式会社一蘭。総務の宮田友紀 様に、導入のきっかけやご感想を伺いました。

※本記事は、2016年10月時点の情報です。

一人でも多くのお客さまがラーメンを味わい、 幸せを感じていただくための“ハート”作り

聞き手

2015 年の秋を皮切りに、ユニバーサルマナー検定の受講を進めていらっしゃいますが、きっかけは何だったのでしょう?

店内の味集中カウンター

店内の味集中カウンター

宮田

一蘭は代表の吉冨が提唱する企業理念のもと、従業員にもお客様にも地域にも広く愛されることを、追求している企業です。例えば味集中カウンターの暖簾や仕切壁は、一蘭の独自性の象徴として、すっかり有名になりましたが、その発想の原点も「多くの方に心おきなくラーメンを味わって欲しい」という思いにありました。「一人でラーメン店に入るのは恥ずかしい」という女性の声を聞き「麺をすする姿を人に見られたくない」というお気持ちに配慮することで生まれたスタイルだったんです。その後も車椅子対応席や出入り口のスロープなどを導入してはきたものの、「まだまだやれることがあるはず。でも具体的に何から手をつけていいかわからない」という気持ちが多くの従業員にありました。そんな中、2015 年の5 月に開催されたミライロさんのシンポジウムで「ハードはすぐに変えられなくても、ハートは変えられる」という発想に出会い、感動・共感したことからユニバーサルマナー検定への参加を決めました。

聞き手

今後、ユニバーサルマナー検定の受講を全社レベルで進めていく計画だそうですね?

宮田

はい、全社員が受けるという方針は最初から決まっていました。現状約260 名の社員の内、ほぼ半数の130 名が2016 年の7 月までに3 級検定を受けましたし、全国にある店舗の店長クラスでいえば9 割以上がすでに受けています。また約4,000 名のアルバイトに対しても、社内活動の一環として、ユニバーサルマナーを共有し始めています。

浅草で、香港で、ニューヨークで…… ユニバーサルな意識が世界へ広がろうとしている

聞き手

検定にチャレンジした成果は、現場でどのように現れているのでしょうか?

オープンの様子を語る、総務 宮田友紀 様

オープンの様子を語る、総務 宮田友紀 様

宮田

2015 年の年末、東京・浅草に一蘭のお店をオープンしたんですけれど、開店してすぐに車椅子のお客様がいらっしゃいました。浅草店でユニバーサルマナー検定を受けたのは、当時まだ店長だけだったのですが、スムーズに入店してラーメンを味わい、満足していただくことができ、お客様からも喜びの声をいただきました。店のスタッフ一同に“ ユニバーサルなハート” を持つことの意義がしっかり伝わっていたからこその成果だと思い、皆で喜び合いました。浅草は老若男女を問わず国内外に知れ渡る人気観光地です。車椅子のお客様ばかりでなく、高齢のお客様や、初めてラーメンを召し上がるような外国からのお客様も大勢いらっしゃいます。どこよりもユニバーサルマナーやダイバーシティが問われるその店で、オープン早々に明快な成果を上げられたことで、自信を持つこともできました。

聞き手

外国のお客様への対応というお話が出ましたので、御社の海外展開についても教えてください。

宮田

海外では香港で2 つの店舗を営んでいます。そのうちの1 つは仕切り壁のない屋台スタイルも採り入れたお店なのですが、ハードの面で完璧なユニバーサルデザインになっているかというと、まだ100%とまでは言い切れません。ところが、先日このお店にいらした車椅子のお客様からお便りをいただきまして、それを読んで感激したんです。このお客様は以前から「日本の一蘭のラーメンが食べたい」と願っていたらしいのですが、やはり「ちゃんとお店に入って食べられるのかな」という不安もあったそうです。ところがお店に行ってみると「スロープをご用意していますが、ご利用なさいますか?」とスタッフが対応し、不自由を感じることなく念願のラーメンを食べることができて嬉しかった、と書いてくださったんです。

ラーメン業界初の“ハイ・サービス日本300 選” 受賞。それでもなお、サービスの高みを目指す

聞き手

ラーメン業界としては初めて“ハイ・サービス日本300 選”を受賞されましたが、主に何が評価されたのでしょうか?

宮田

経済産業省の所管団体であるサービス産業生産性協議会が選考を行っている賞なのですが、一蘭がこれに選ばれた理由は複数あります。味集中システムをはじめとする社内システムの独自性や業務効率の高さ。そして地元福岡県が推進するラーメン専用麦「ラー麦」開発への取り組みによる地域貢献もまた評価ポイントとなりました。「従業員にもお客様にも地域にも愛される」という当社の企業理念が実を結んだものとして、もちろん誇りに思っていますが、それでもまだ完全ではありません。だからこそ今回もユニバーサルマナー検定の受講を進めることにしたんです。背景には「なんちゃってバリアフリー」でしかなかったことを思い知らされた苦い思い出もあったからです。

聞き手

「 なんちゃってバリアフリー」とは、どのようなものだったのでしょうか?

宮田

当社の店舗では、入口に車椅子のお客様がいらした時のためにインターホンのボタンを設置していました。仮にエントランス部分に段差などがあり入りにくい場合も、店内のスタッフに知らせることができるよう「バリアフリー」のつもりで設置していたわけです。ところがあるとき、お客様から「あのボタン、位置が高すぎて届きませんでしたよ」とご指摘を受けてしまいました。もちろんすぐに対応を施しましたが、いかに私たちの視点が一方的なものだったかを大いに思い知らされることになりました。だからこそ、ユニバーサルマナー検定のコンセプトである「ハードよりもハート」という精神に即反応したんです。今後はもちろんハードの面でもバリアフリーを心がけていきますが、まずはハートのバリアをフリーにすることで、サービスのさらなる向上を目指します。一人ひとりの心を育てる。その大切さをひしひしと感じています。

「 欲ではなく愛」の一蘭だからこそ、 資格のためではなく意識変革のために検定を活用

聞き手

最後に今後の抱負をお聞かせください。

2015年6月の読売新聞で紹介

2015年6月の読売新聞で紹介

宮田

一蘭の企業理念に「すべての目標や言動は欲ではなく愛で行います」があります。ユニバーサルマナー3 級というのは1 つの資格としても価値があることは理解していますが、それ自体のために取り組むのではなく、そこで得た発想や知恵が愛につながる意識を呼び起こすものだからこそ、本気で取り組んでいるんです。一蘭のラーメン、一蘭の店舗が末永くお客様や地域に愛されるため、ここで学んだことを日々の行動に活かしていきたいと思っています。

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