ノウハウ
2021年06月09日

宿泊施設のバリアフリー情報発信で、利用者へ選択肢の提供を

苫米地 麻衣

宿泊施設は、障害のある方、高齢の方、またはそのご家族の方などを含む多様な方々が利用します。本記事では、宿泊施設にご宿泊を希望される多様なお客さまへ、宿泊施設はどのように情報発信を行っていけばよいかご紹介します。

宿泊施設が社会から求められる対応とは

2018年のバリアフリー法改正に伴い、宿泊施設におけるバリアフリー対応客室の設置数は1室から、全体の1%へ変更されました。この法改正により設置数は増加しているものの、バリアフリー対応客室の内部の状況をWebで情報発信している宿泊施設は30%程度とされています。

情報発信をしなければ、せっかく実施しているサービスが認知されず、利用されずに終わることも考えられます。障害のある方や高齢の方が安心して宿泊施設を利用できるよう、事前に情報を取得できるWeb上で、バリアフリー情報の発信を行うことが求められます。

写真 パソコンを使う様子

障害のある方高齢の方が宿泊施設に求める情報発信とは

障害のある方・高齢の方は各個人の心身の状況によって、施設を利用できる条件や、利用するにあたって必要となるサポート内容が異なります。

そのため宿泊施設側には、お客さまご自身で「施設を利用できるかどうか」を事前に判断するための的確な情報発信が求められています。具体的な情報発信内容として、まずは設備や備品、サポートサービス等のバリアフリー対応状況を発信することが求められます。また、段差などのバリアがある状態でも、段差の高さによっては利用できるという方もいます。バリアの情報も発信することで、お客さまご自身で施設を利用できるかを事前に判断できます

写真 ホテル内のユニットバス

情報発信のポイント

Webサイトで情報発信を行う際、以下の2つが掲載内容のポイントになります。

■設備の状況

宿泊施設利用時の行動に関連した設備状況を、断面図を用いて掲載します。断面図を用いることで具体的なイメージが湧きやすく、バリアフリー対応や、バリアの情報をわかりやすく伝えることができます。

画像 客室の断面図
■サポートサービス状況

宿泊施設内におけるスタッフのサポートサービスを掲載します。どのようなサポート対応があるかを掲載することで、お客さまがより安心して利用を行うことができます。設備などのハード面における状況と、スタッフによるサポートサービスの状況を的確に情報発信することで、お客さまご自身で施設を利用できるかを事前に判断できます。

客室情報発信の取り組み事例のご紹介

弊社で行った客室情報発信のWebページ作成の事例として、リーガロイヤルホテル(大阪)との取り組み事例をご紹介いたします。画像 ホームページ

今回の取り組みでは、新たに「車いすでご宿泊のお客さまへ」というページを作成しました。
ページ内では、車いすを使用している方でも利用しやすいバリアフリールームの情報を掲載しています。また、館内の設備についても、断面図や平面図を用いて視覚的に分かりやすく掲載しています。
◇導入事例について詳しくはこちら

まとめ

以上、宿泊施設のバリアフリー情報発信についてご紹介しました。

宿泊施設側は障害のある方、高齢の方を含むすべての方々が利用できるよう、ハード面を整備することが求められています。しかし、お客さまご自身で利用可否の判断が行えるようにするためには、施設内のバリアフリー情報を的確に発信し、利用者に向けて選択肢を提供することが重要です。

この機会に多様な方へ向けた情報発信について、考えてみてはいかがでしょうか。


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