※ミライロは、一般財団法人 花王みらい共生財団と連携し、障害のある生活者やそのご家族に向けて、生活場面で直面する悩みの解決につながる情報をお届けする取り組みをしています。
- . はじめに
- . 「トイレ掃除（便座・床・壁）」に関するグループインタビュー
- . グループインタビューからみえる皆さんの困りごと
- . 形や中身が工夫された商品
―「ラクな姿勢で手の届きにくいトイレの後ろ（奥）までキレイに」
―「仕上げ拭き不要。これ1つで便座・床・壁までキレイに」 - . まとめ
※皆さんのご感想をお寄せいただけるアンケートもご用意しています。
今回は、前回に引き続き、皆さんの関心が高い「トイレ掃除編〈後編〉」です。
前回の記事では、トイレ掃除（前編：便器内）に関する困りごとをテーマに、皆さんの工夫をご紹介しました。
（前回記事はこちら）
前回記事の読後アンケートでは…
「私もトイレ掃除に悩んでいたので参考になりました。」
「今まであまり積極的にトイレ掃除ができていなかったのですが、粉末と錠剤がセットになっているものなど、便利な商品を知ることができたので試してみたいと思えました。」
などの声をいただきました。他にも、有益な情報だといった声など、たくさんのうれしい反響がありました。声をお寄せいただいた皆さん、ありがとうございました。
今回は、「トイレ掃除（後編：便座・床・壁）」についてご紹介いたします。前編の便器内に関しても多くのご意見をいただきましたが、他にもトイレ内の各場所で、さまざまな困りごとがあるようです。
※「トイレ掃除編」は、前回（前編：便器内）と今回（後編：便座、床、壁）の2回に分けてお届けしています。
プロフィール
Aさん：丁寧にしっかり派
40代女性・視覚障害（全盲）
トイレ掃除：週2回。床にはトイレ用マットを使用。マットは汚れてきたらヘルパーに教えてもらい洗濯。便座などのちょっとした汚れは、気づいた家族がしている。
家族構成：夫、娘（高校生）、息子2人（高校生、小学生）
趣味：読書、お菓子作り、手芸のマクラメ編み
Bさん：効率良く清潔派
20代男性・上肢障害（右手指すべて欠損）
トイレ掃除：床はユニットバス（トイレ・風呂・洗面が一体）なので、お風呂の度にシャワーで流す。便器内、便器まわりは、月に1、2回。
家族構成：一人暮らし
趣味：ゲーム、料理や車の運転
Cさん：情報通、こまめに掃除派
60代男性・下肢障害（電動車いすユーザー）
トイレ掃除：床などは、気になったらまめにしている。便器内、便器まわりは、7～10日に1回。
家族構成：妻、父親
趣味：おいしいものを食べに行くこと、お酒を楽しむこと、旅行
皆さん、どのようにトイレ掃除（便座・床・壁）をされていますか？
以前は、洗剤を使っていましたが、拭き取りが面倒で…。現在は、トイレに入ったついでに、床や壁の汚れが気になったら、小さい床掃除用ワイパーにウェットティッシュをつけて拭きます。通常サイズのものだと、狭いトイレでは拭きづらかったのですが、小さいサイズだと使い勝手がすごく良いです。ニオイ対策は、置き型の消臭剤を使用しています。
床や壁は、ユニットバスなので、入浴のついでにシャワーで流し、換気しています。以前の住まいでは、床掃除用ワイパーを使うか、汚れがひどい場合は、スプレータイプの中性洗剤をかけて拭き、その後に少し手間ですが、水拭きもしていました。
便座や便器まわりなどは、雑巾にスプレータイプの中性洗剤をかけて拭き、雑巾をゆすいでから再度拭きます。温水洗浄便座部分も毎回外して、便器と温水洗浄便座の間を洗剤をかけた雑巾で拭きます。温水洗浄便座のノズルは直接スプレーをかけて雑巾で拭き、その後、トイレットペーパーで拭いています。トイレマットは、汚れが目立つ時はヘルパーさんに教えてもらい、洗濯しています。壁は…、掃除してないですね…。これを機にやります（笑）！ニオイ対策は、水洗トイレ用芳香洗浄剤を使用しています。あと、ニオイが気になる時にスプレー式消臭剤を吹きかけています。
トイレ掃除（便座・床・壁）で困っていることはありますか？
うちは古いタイプのトイレで、床面に便器を固定するネジの突起があり、その部分が非常に掃除しにくいです…。平らであれば、床掃除用ワイパーで拭けるのですが…。複雑な形状なので、手袋をはめて雑巾などで拭きますが、拭き残しがあります。便器と床の隙間なども困りますね。汚れによるニオイもそこから出ていると思います。車いすだと、手が届く範囲に限界がありますので、降りて拭かないといけません。特に便器の下側、後ろの方をかがんで掃除するのは大変です。
便座の表や裏に洗剤をスプレーする時、思ったところにスプレーできず泡が床に飛び散ってしまうことがあります。なかなかうまくいかず、雑巾に直接スプレーして拭くようにしました。
どういった商品があれば、困りごとを解決できると思いますか？
以前使っていた洗剤はフタを外すタイプでした。フタを外して置いておくと、どこにあるかわからなくなってしまいますが、スプレータイプなら、その心配がないです。
狭い所でも使いやすい小型の電動床ブラシがあったら良いなと思います。力を使わず、よりラクに掃除ができるかもしれません。
便利だと思うのは、スプレーしてトイレットペーパーで拭ける洗剤です。普通の水だとトイレットペーパーは溶けちゃいますが、溶けにくくできています。便座やフタの裏側などに気軽に使えて良いです。その場でサッと使って流せるので便利でした。
サッと使えるのが良いですね。掃除のハードルが下がると、汚れが蓄積する前に掃除できるので、結果的にラクになります。
シートタイプを使っているのですが、少しの汚れをサッと拭いて1回で捨てるのはもったいないと感じます。そのままトイレットペーパーに吹きかけて使える洗剤、気になります！
スポンジにかけているのと同じようにトイレットペーパーにシュッとかけて拭くだけなんです。
そう。ちょっとの掃除に便利ですよ。
試してみます！
笑
グループインタビューを終えて
トイレ掃除に関して、あまり語ることがないので、とっても良い機会でした。
ないですよね。これ良いよ！という会話はなかなかしないです。
本当に、良い機会でした。
知らなかった情報をたくさん知ることができて良かったです。また、お話ししたいです！
トイレ掃除に関しては、語り合う機会が少ないこともあり、今回のグループインタビューでは、困りごとだけではなく、お互いの掃除の仕方や商品についての情報交換を活発にされている様子が印象的でした。ご協力いただき、ありがとうございました。
ここまでの皆さんのお話から、狭いトイレ空間では、手が届かず掃除しにくい場所があり、特にトイレの後ろ（奥）の方・便器と床のすき間・床と壁の境目はキレイに拭けず、とても苦労されていると感じました。また、もっと動作を減らして負担なく掃除をしたいという思いがあることがわかりました。
具体的には…
「肌が触れるところなどには、仕上げ拭きをしなくても安心してラクに使えるものが良い。」
「しゃがまずに立ったまま掃除したい。」
「手軽さが必要。掃除のハードルを下げて、蓄積汚れを減らしたい。」
などの意見があがっています。
「ラクな姿勢で手の届きにくいトイレの後ろ（奥）までキレイにできる」手軽に使える掃除用ワイパーなどで困りごとを解決しましょう！
狭いトイレ空間の掃除のこれらの困りごとは、お使いの掃除用具やトイレ用洗剤を変えることで解決できるかもしれません。ここでは、トイレ空間の特徴と汚れに合わせた「形や中身が工夫された商品」をご紹介します。
“トイレの後ろ（奥）へ”「狭い場所用」の掃除用ミニワイパー
トイレ空間は狭く、特に手の届きにくい便器の後ろ（奥）の床や壁を掃除するには、しゃがんで床にひざをついて手をのばして拭いたり、その際に便器に顔を近づけなくてはいけなかったり…。特に動作に制限のある方には作業しづらい場所の1つです。そんな場所の掃除をラクにしてくれる掃除用具があります。
リビングの床掃除ではおなじみのワイパータイプの掃除用具。狭いトイレ空間でも使いやすいように、小さいヘッドと短い柄で、ストッパーを開いてトイレ用掃除シートを挟むだけで使えるミニタイプのトイレ用ワイパーがあります。床にひざをついたりせず、ラクに奥の床まで掃除できます。推奨の流せるタイプのシートを使えば、使用後はシートをそのまま流せるのも良いですね。また、便器のカーブに沿って便器と床の境目もキレイに掃除しやすいように、ワイパーのヘッド部分がカーブ形状になっています。尿ハネなどの汚れもキレイになるので、ニオイ対策にもなりそうです。
“すき間のホコリへ”「手の届きにくい場所用」の伸縮自在の掃除用ワイパー
便器の種類によっては、床面にネジの突起があったり、温水洗浄便座ではコンセントからの配線もあり、複雑な形状にたまるトイレットペーパーの紙粉や髪の毛などのホコリが取りにくいことがあります。このような場所には、伸び縮みする柄と角度の変えられるヘッドに装着したもふもふのシートで、ラクな姿勢でホコリを簡単にからめ取ってくれるワイパーが役立ちそうです。
「狭い場所用の掃除用ミニワイパー」「手の届きにくい場所用の伸縮自在の掃除用ワイパー」
～使用した方の声※～「歳をとると、腰を曲げたり、かがんで掃除をするのは大変なので、この商品はとても便利に使っています。」
「現在、脚を痛めていて、立ったまま使えるのがとてもうれしいです。」
「介護をしていて、トイレに連れて行くと汚れてしまいます。床に物も置いているので、トイレの後ろを拭くのは本当に大変でした。今まで潜り込んで手を伸ばして掃除していましたが、この商品を使って掃除がすごくラクになりました。」
「便器のカーブにぐるりと沿って本当に使いやすい。柄の長さもちょうど良い。便器の後ろの壁と便器の隙間がうちは狭いので、そこはふわふわのシートのものを使うことにした。今まで顔に便器が触れる状態で床掃除をしていたので掃除がラクになりうれしくて連絡しました。」
※メーカーのお客様相談室に寄せられたご意見を提供いただいています。
（声が寄せられた商品：花王 クイックル ミニワイパー、花王 クイックル ハンディ 伸び縮みタイプ）
「仕上げ拭き不要。これ1つで便座、床、壁までキレイにできる」手軽に使えるトイレ用洗剤やトイレ用掃除シートで困りごとを解決しましょう！
“トイレットペーパーを活用！”「いろいろな場所に使える」トイレ用洗剤
専用の掃除シートを使うほどではないけれど、トイレ内のちょっとした汚れが気になった時に、サッと拭き取って、そのままトイレに流すことができると、お掃除のハードルが下がって、おっくうな作業が減るかもしれません。
いろいろな場所に使えるトイレ用洗剤は、便座・フタ・床などには、トイレットペーパーにスプレーして汚れを拭き取るだけ。便座など肌に触れる場所でも仕上げ拭き不要で、あとはトイレに流すだけなので、手軽に使えそうです。便器内にも使用できるものは、そのままスプレーして軽くブラシでこすります。逆さスプレーもできるので、フチ裏まで洗剤が届きます。洗浄、除菌、ウイルス除去、消臭、汚れ予防、抗菌、美観維持、防臭など、気になる状況に合わせて選べるのも良さそうです。
「いろいろな場所に使えるトイレ用洗剤」
～使用した方、ご家族からの声※～「発達障害の息子がいます。おしっこをこぼすことが当たり前でした。最近は、やっと本人がスプレーをかけて拭くことができるようになりました！扱いやすさに気づいたようです。
手についても、かぶれるような強さでないにも関わらず、少量でも固まった尿をスッと拭き取れる。ああ、キレイになったとうれしくなります。
本当に嫌だった作業が、トイレットペーパーでサッと拭いて捨てられる手軽さ、キレイに汚れが落ちること、尿や洗剤自体のニオイも素早く消えるなど、この商品のおかげでストレスなく、だいぶラクになりうれしいです。」
※メーカーのお客様相談室に寄せられたご意見を提供いただいています。
（声が寄せられた商品：花王 トイレマジックリン 消臭・洗浄スプレー）
“便座から床まで”「スプレーせずにそのまま使える」トイレ用掃除シート
スプレータイプにすることで便利に使えるトイレ用洗剤が多くありますが、一方でスプレーをする動作が難しい方や、思ったところにスプレーしにくい視覚障害のある方などには使いづらいことがあるかと思います。そんな時は、スプレーせずにそのまま使えて、キレイにしてくれるトイレ用掃除シートを活用しましょう。
トイレ用掃除シートは種類がいろいろありますが、大判厚手で、たっぷりの洗浄液が含まれているものは、便器から床まで汚れをスッキリ落とすことができます。さらに、便座裏のがんこな乾燥汚れも落とせて、あとはトイレに流せるので手軽に使えそうです。シートの真ん中にミシン目が入っていて、半分に切って使えるものもあり、汚れ具合や場所によって使いわけできたり、はじめにご紹介したミニワイパーに使えるのも良いですね。使い捨ては、もったいないと思う方も、汚れの少ない場所から拭きはじめて、1枚のシートを無駄なく使ってトイレ全体をキレイにするのもおすすめです。
トイレにおすすめの拭き掃除の方法
床や壁の簡単な掃除方法
「お掃除Q&A トイレ 参照」
※はじめて使用する洗剤や掃除シートは、その使用方法や使える場所など使用上の注意をしっかり確認しましょう。また、ワイパーなどの用具は、組み立て方法なども確認しましょう。
※商品にも記載がありますが、メーカーの公式ホームページでもよりわかりやすく紹介されているので、ぜひ参考にしてみてください。
工夫次第で、トイレ掃除はもっとラクになります。
ぜひ、今後の暮らしにお役立てください。
いかがでしたか？今回は、トイレ掃除（便座・床・壁）の「拭く」「しゃがむ」に関する困りごとと、それを解決するための工夫をご紹介しました。
日常生活には多くの動作が存在し、それぞれに困りごとを感じている方がいらっしゃいます。より多くの方に、皆さんの困りごと、そして工夫を知っていただき、お役に立つことができればうれしく思います。障害のある生活者やそのご家族が日常生活で直面する悩みや困りごとを理解して、その声を皆さんと、そして社会と共有しながら、解決につながる活動を行ってまいります。ぜひ、ご感想と共に皆さんの困りごとや日常での工夫の声などをお寄せください。
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