新型コロナウイルスの流行に伴う「障害のある学生への授業環境」を調査しました

ミライロでは、新型コロナウイルスの流行に伴いオンライン授業を実施する大学の増加などを受け、障害のある学生への学習環境に関する課題を調査しました。

調査報告書

 

スライドショーが見にくい方や音声読み上げでご覧になりたい方向けにWord版もご用意しております。
次のリンクからダウンロード可能です。
新型コロナウイルスの流行に伴う障害のある学生への授業環境.docx

調査概要

調査内容】新型コロナウイルスの流行に伴うオンライン授業の導入状況
      障害のある学生への対応、課題 等
【調査日】2020年4月23日(木)~ 5月8日(金)
【調査対象】アンケート趣旨に賛同していただいた各大学のご担当者様
【人数】総回答数:35校
【調査手法】Webアンケート

障害のある学生に対する施策

◆障害のある学生に対して普段から行っている施策で多いのはエレベーターの設置や移動導線の確保といった「アクセシビリティ」

調査結果の棒グラフ「障害のある学生に向けて取り組んでいる施策」

 

・各大学が普段から障害のある学生に向けて行っている施策で最も多かった項目はエレベーターや教室割りといったアクセシビリティの割合が高いことが分かった。(①)
・一方で情報保障に関する施策を実施している大学数は 50 %以下に留まった。(②)
・その他の中には「個別の声掛け、専門家への相談」や「休憩室の設置」といった施策が見られた。

 

オンライン授業における課題

◆回答した大学の90%以上でオンライン授業を実施

調査結果の円グラフ「オンライン授業の導入状況」

96 %の大学でオンライン授業(一部導入含む)が実施されていることが分かった。
・実施していない大学の理由は「オンライン授業を行うための環境が整っていないため」であった。

 

◆回答したすべての大学がオンライン授業の際、障害のある学生への対応に「課題を感じている」もしくは「課題を把握できていない」

調査結果の円グラフ「オンライン授業における課題を感じているか?」

オンライン授業の際に「課題を感じていない」と回答した大学はなく、回答者以外の大学でもオンライン授業の際の障害者対応に課題があると考えられる。
障害のある学生への対応に課題を感じている大学が61%、課題を把握できていない大学が 39%であった。

 

◆情報保障においては「視覚に障害のある学生が在籍する大学では45%」、「聴覚に障害のある学生が在籍する大学では73%」が明確に課題を感じている

調査結果の円グラフ「オンライン授業において視覚障害および聴覚障害がある学生への対応に課題を感じているか?」

・オンライン授業をする際に課題に感じていることについて、視覚や聴覚に障害のある学生が在籍している大学を分母として課題に感じている割合を算出した。
視覚障害のある学生への情報保障については 45 %が課題に感じているのに対して、聴覚障害のある学生への情報保障については73% が課題に感じている。

・具体的な課題としては、以下が挙げられた。
 -聴覚に障害のある学生への情報保障(手話や文字等)
 -視覚に障害のある学生への情報保障(音声読み上げ等)
 -障害のある学生への対応が今はできていない
 -障害のある学生への対応方法が分からない

 

◆ミライロの見解
普段から障害のある学生の受け入れに向けて、各種取り組みを行っている大学においても、新型コロナウイルスの影響によるオンライン対応など慣れない環境下で、障害のある学生への対応には課題が浮き彫りとなった。

特に、オンライン授業における情報保障では、聴覚障害のある学生への対応に課題を感じている大学が多い。遠隔手話や音声を可視化するアプリケーションの導入などの必要性が高いと考えられる。

また、今後はオンライン授業導入における課題の解決だけではなく、新型コロナウイルス終息後の大学生活を視野に入れて、対応を考えていくことが求められる。

これは視覚障害や聴覚障害のある学生への情報保障だけでなく、消毒液を不自由なく使うことのできる高さに設置するといった車いすユーザーへの配慮や、精神障害のある学生の不安を軽減できるよう、問い合わせ窓口を明確にするなど、時間や費用の負担が少なく実施できることも多い。

まずは、障害のある学生と向き合い、個々のニーズを把握することからはじめていくことが大切である。

障害学生の授業における「課題」と「想定される対応」とは?

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