国内の合理的配慮に関する実態調査を公開~約1,000名の障害者と300の事業者の声を集めました~

「バリアバリュー」を企業理念とし、障害のある当事者の視点から障害=バリアを取り除き、価値=バリューに転換するインフラやソリューションを提供する株式会社ミライロ(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:垣内俊哉、以下「ミライロ」)は、2021年10月に有識者を招いて「民間事業者による合理的配慮提供の推進委員会」を発足しました。

委員会の最初の活動として、合理的配慮※1の提供に関する実態を把握するため、約1,000名の障害者と、300の事業者へアンケートを実施しました。

障害者差別解消法は2006年12月13日に採択された障害者権利条約を踏まえて国内法として整備されました。その15年目となる2021年12月13日にアンケートの集計結果を公開します。
資料の表紙イメージ:合理的配慮に関する実態調査 約1,000名の障害者と 300の事業者へのアンケート調査結果 2021年12月13日 民間事業者による合理 的配慮推進委員会

合理的配慮の義務化について、民間事業者への認知は行き渡っていない

「2021年に成立した改正障害者差別解消法において、民間事業者の合理的配慮提供が法的義務になることを知っていますか?」という質問に対して、官公庁・地方公共団体は8割が知っていた一方、民間事業者においては回答者の約半数が「知らない」と回答しました。

事業者向けアンケートは株式会社ミライロの法人向けメルマガを購読している事業者等、比較的合理的配慮に関心が高い民間事業者から回答を得られましたが、それでも改正障害者差別解消法によって民間事業者の合理的配慮が義務化されることの認知度は約半数と低い状況でした。

官公庁・地方公共団体(n=51)知っている80.0% 知らない20.0% 民間 事業者等(n-249)知っている51.0% 知らない49.0%

改正障害者差別解消法の3年以内の施行に備え、合理的配慮提供の指針策定に取り組んでいる事業者等が出てきている中で、合理的配慮提供の義務化について認知していない民間事業者が約半数という状況に対し、委員会としては法改正の認知度を広げる事業者向けの啓発活動を継続的に進めてまいります。

合理的配慮の提供がなされていないと感じた時、「何もしない」という当事者が多数

障害のある当事者へのアンケート内で、「合理的配慮の提供がなされていないと感じた時、どのようなアクションをとるか」という問いを設けたところ、最も多い回答が「何もしない」でした。「あきらめている」というコメントも多く寄せられ、「直接言わないが、SNSに書き込む」という回答もあり、事業者に対して直接声をあげない障害者が多数いることがわかりました。


合理的配慮の提供がなされていないと感じた時、どのようなアクションを とるか。(n=1,105、複数回答可) 何もしない、と答えた人がもっとも多く、 「あきらめている」というコメントが多数。 何もしない 447件、その場で指摘 して対応を求める 182件、事後に事業者に問い合わせて改善wの求める 175件、 行政窓口へ相談する 143件、その他(具体的に)90件、無回答 239件 その他の 記述内容(抜粋)周りの人に相談する(家族、友人、上肢、同僚、付き添い人や ケアマネージャー等。SNSで意見を述べる。何もしないというより、何もできな い。どうしたらいいかわからずあ、あきらめている。

受動的な対応ではなく、障害者の期待値を積極的に把握することが重要

これまで多くの事業者では、障害のある当事者からの求めに応じて対応可否を判断することが一般的でした。ただし、事業者に対して直接申し出をしない当事者が多数存在する状況においては、受動的な姿勢ではなく、当事者がどのような事を求めているのか、事業者側から障害のある方々との対話の機会を設けたり、アンケートを活用したりするなど、積極的に声を収集していく姿勢が必要です。

当事者の声や期待を積極的に収集し、その上で合理的配慮提供の方針を定めることで、結果的に現場の混乱やすれ違いを未然に防ぐことができます。

委員会の今後

事業者としても、どこまで合理的配慮を提供すべきか指針を定めたいが、それを定めるための根拠となる業界内の事例や当事者からの声が十分に事業者側に行き届いていないというコメントがアンケートに多く寄せられました。事業者としても、判断材料が無いままに合理的配慮が義務化されることの不安感が増しているように思います。

委員会としては、合理的配慮義務化の認知度を高めるために、事業者側への啓発活動に取り組んでいくと共に、民間事業者に期待される合理的配慮の提供に関して障害のある当事者の声を継続的に収集し、提言をしてまいります。

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※1 合理的配慮
障害のある人が障害のない人と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する困りごと・障壁を取り除くための調整や変更のこと。2006年に国連で採択された、障害者権利条約(障害者の権利に関する条約:日本は2014年批准)の条文に盛り込まれたこの考え方は、2016年国内法として施行された障害者差別解消法に盛り込まれ、認知が広まった。

調査結果は委員会のウェブサイトよりご覧いただけます。

調査結果をご覧になる方はこちらから

本プレスリリースに関するお問合せ

株式会社ミライロ 経営企画部 梶尾(合理的配慮推進委員会事務局)
【E-mail】press@mirairo.co.jp
【委員会ウェブサイト】https://www.mirairo.co.jp/rapc