※このブログ記事は、私、岸田ひろ実が講演をする中で、いただいた質問などをもとに書いています。
娘と息子の話をしていると、こんな質問をいただくことがあります。
「私には二人兄弟の子どもがいます。次男に障害があり、長男はそんな次男を受け入れられずにいます。どうしたら、岸田姉弟のようになれるのでしょうか」
そんな風に思ってもらえるなら、娘と息子も、きっと喜びます。
私は、娘に「弟と仲良くしなさい」と言ったことはありません。
娘が幼稚園生の時「ママは私のことが嫌いなんでしょ」と言われたことがあります。
びっくりして、理由を尋ねました。
「ママが好きなのは良太だけ。良太なんか生まれてこなきゃ良かったのに」と、娘は大泣きしました。
ダウン症の息子は当時、とても手のかかる子どもでした。
娘の目には、私は良太ばかりかわいがって、娘ばかり叱っていたように見えたのかもしれません。
そんなつもりは、もちろんありませんでした。
むしろ、どれだけ娘を頼りにしていたことでしょうか。
落ち着きがなく、すぐに飛び出してしまう良太に、私は必死で付き添っていました。向き合っていました。
お利口さんな娘だったからこそ、それができていたのです。
でも、娘にとっては、それは重荷でしかなかったのです。
手のかかる息子がいるから、私に対して普通に甘えられなかったんだ、寂しかったんだ、とその時はじめて気づきました。
それから、私は娘のことをよく抱きしめるようにしました。
「あなたのことが大好き」「あなたのことが大切」と、思った時にすぐ伝えました。
娘が変わってきたのは、それからです。
気がつけば、息子のことを誰よりも愛し、誰よりも大切にしてくれるようになりました。
障害のある子の方が、手がかかる。目が離せない。
それは、仕方がないことです。
仕方がないけれど、そんな大人の事情は、子どもにはわかりません。
寂しい思いをしている子どもに気がつくこと。
そして、できるだけ手をかけて、気にかけることを忘れないようにすること。
愛する子どもに、しなくても良い我慢をさせないこと。
それが、私が娘から教えてもらった、子どもたちとの向き合い方でした。