どなたでも安全に、安心してご利用いただける駐車場作り

アマノマネジメントサービス株式会社

アマノマネジメントサービス株式会社では、駐車場を利用するすべての方々が快適であるために、より安全で、安心して利用できる駐車場管理の提供を行っています。駐車場を通して街と車をつなぎ、地域を活性化させるとともに、安全・持続可能な交通社会の実現に努めています。

このたび、デジタル障害者手帳「ミライロID※」アプリを用いた駐車場利用における減免処理システムを開発しました。さらに安全や安心は、ハード面だけでなく、駐車場スタッフや運営に関わる従業員の思いやりの心からも提供されるものであるとの想いから、ユニバーサルマナー検定3級を取得しました。

駐車場管理・運営に関わる全従業員一人ひとりが同じ方向を目指し、すべての利用者に寄り添ったサービスの実現に向けた取り組みについて、ご担当者さまにお話を伺いました。

デジタル障害者手帳「ミライロID」
障害者手帳を所有している方を対象としたスマートフォン用アプリケーションです。ユーザーは、障害者手帳の情報、福祉機器の仕様、求めるサポートの内容などをミライロ ID に登録できます。公共機関や商業施設など、ミライロ ID を本人確認書類として認めている事業者において、障害者手帳の代わりに活用することで、割引などが受けられます。

20年以上も試行錯誤を続けてきた減免手続き

聞き手

障害者割引の駐車場減免手続きにおいて直面してきた課題と課題解決のための過程について教えてください。

障害者手帳を用いた運賃割引制度が1952年に定められて以来「障害者割引」は映画館、カラオケ、ボウリング場、スポーツ観戦など多くの施設で広く普及しています。一部の駐車場では、駐車場使用料の減免制度が適用されている一方で、手続き面に課題がありました。

事業企画本部 営業企画部 坂本 詞織  様

事業企画本部 営業企画部
坂本 詞織 様

弊社が管理・運営する駐車場における減免手続きも例外ではありません。駐車場使用料の減免対応については、長年に渡り、課題・使命と位置づけて試行錯誤を重ねてきました。

当初はドアホン型のインターホンでやりとりを行っていましたが、オペレーターとの遠隔対話中の会話が周囲に漏れる問題がありました。

その後も、受話器型のインターホンとウェブカメラを組み合わせたシステムを導入するなどして本人確認を行っていました。しかし、繋がりにくい時間帯ができてしまい、減免処理中の待ち時間が原因で、後続の利用者を待たせてしまう課題もありました。
また受付時間外や係員が不在の場合は、精算機に設置されたインターホンを通じてコールセンターに連絡し、カメラを使って障害者手帳の認証を行う必要があります。カメラを介した確認に時間がかかり、さらに聴覚障害のある方々が利用できないなどの課題があり、20年以上も試行錯誤を続けてきました。

駐車場精算機とミライロIDの連携を実現

聞き手

ミライロIDを用いた駐車場利用における減免処理システムについて教えてください。

常に利用者の立場に立ち、最適な解決策を模索してきた中で、ミライロとの良いご縁が生まれました。

ミライロが運営するデジタル障害者手帳「ミライロID」アプリを活用し、直接減免処理を行えるシステムを開発したことで、長年抱えていた課題を解決することができました。

利用者は事前に障害者手帳をアプリに登録しておくだけで済みます。駐車場での精算時には、アプリを開いて表示されるQRコードを精算機にかざす、もしくは精算機のQRコードを読み取るだけで、スムーズに減免が適用されます。

画像 本システムのイメージイラスト ビフォア「係員がいないと障害者割引を受けられない」アフター「無人でも障害者割引を受けられる」

AMS_システム_システム別
<利用方法>

事前の準備 ① ミライロ ID アプリをダウンロードし、アカウントを作る
② お持ちの障害者手帳を撮影・送信の上、登録を完了させる
駐車場料金の精算時 A:ゲート式駐車場の場合
① 駐車料金を確認する
② ミライロ IDを起動する
③ ミライロ ID を精算機のQRリーダーにかざす
④ 割引の適用を確認して精算する

B:フラップ式駐車場の場合
① 駐車料金を確認する
② ミライロ IDを起動する
③ ミライロ ID で精算機のQRコードを読み取る
④ 割引の適用を確認して精算する


<導入済みの駐車場・駐輪場>

2022年08月 広島市市営駐車場
2023年06月 東大阪市花園中央公園駐車場
2023年09月 アットサイクルパーキング藤井寺駅南駐輪場
2023年10月 岡山後楽園駐車場 
2023年12月 藤井寺市立市民総合会館駐車場
2023年12月 岡山空港第一駐車場
2024年04月 福岡市アイランドシティはばたき公園駐車場

利便性・公平性の向上と引き合いの急増

聞き手

ミライロIDと連携したシステムの導入後、駐車場の運営にどのような変化が見られましたか?

写真 精算機にスマホをかざしている様子
利用者自身によるスマートな減免対応が可能となったことで、利用者満足度および駐車場の利便性・公平性向上へ寄与していると実感しています。

さらに、24時間稼働の駐車場では人員配置が不可欠でしたが、システムの導入により、人員や対応工数の削減ができました。そして今回の取り組みで何よりうれしかったのが、利用者からメールや手紙でも感謝の声や肯定的な声が多数寄せられ、施設オーナーとともに喜んでいます。

また今回の取り組みは多くの行政から注目を集め、はじめて導入した広島市には多くの視察があると聞いています。
グラフ 導入効果 詳細は本文に
行政からの引き合いは、営業的な観点からもとって大きなメリットとなっており、取り組みが業界内外で高く評価されています。2023年度だけで10を超える行政からの引き合いがありました。

右のグラフは、とある駐車場における「ミライロIDの利用状況」と「コールセンターへの問い合わせ」の変化を示しています。ミライロIDの利用増加に伴い、コールセンターへの問い合わせは50%減少しました。

駐車場の管理・運営ビジョンの1つ「おもてなし」

聞き手

どのような理念のもと、多様な利用者のニーズに応えているのでしょうか?

駐車場は運転初心者や外国人、障害のある方など多様な利用者がいます。そのため誰でも分かりやすいサインの設置や誰もが容易に駐車できる設計が求められます。

特に施設に併設されている駐車場は、施設の「顔」としての役割も担っています。訪れた方が快適に利用し、満足して帰っていただけるよう、不都合が生じた場合は、事業者として迅速に改善する責任があります。

商業施設や病院など、駐車場が併設されている施設では、駐車場に車を停めた瞬間から施設の評価が始まります。駐車場は、一見無機質に見えるかもしれませんが、その印象を良好なものに変えることを目指しています。

この理念のもと、利用者一人ひとりのニーズに対応するより質の高いサービス提供に向けて、ソフト面の取り組みもスタートしました。具体的にはミライロが提供しているユニバーサルマナー検定3級を所長クラス70名のスタッフが取得しました。

「合理的配慮の提供」と「環境整備」を両輪で推進

聞き手

今後の展望をお聞かせください。

2024年4月に改正障害者差別解消法が施行され、合理的配慮の提供が民間事業者にも法的義務化されました。不特定多数の障害のある方の利用を想定して、環境整備を進めると共に、個別の申し出には建設的な対話を通じて社会に存在するバリアの解消に努めたいと思います。

環境整備の面では、現在約30ヶ所で展開しているシステム連携を年度内に200ヶ所以上へと拡大する計画です。そして、ソフト面については、全駐車場スタッフが適切に対応できるように、ユニバーサルマナー検定の受講を推進します。2級および1級への挑戦を続け、サービスレベルをさらに向上させます。

法改正への対応だけでなく、SDGs(持続可能な開発目標)に基づく、社会的責任を果たす企業として、積極的にこれらの取り組みを推進していきます。

写真 坂本様
弊社の最大のセールスポイントは、あらゆる技術を活用して利用者の利便性を高めることにあります。この技術を駐車場業界での重要な差別化要素として推進しています。

ただのサービス改善にとどまらず、利用者に新たな価値を提供し、業界の標準を変革していきます。今後も、より多くの方が安心して利用できる環境を整え、利用者の声に耳を傾けながら、より良い駐車場づくりを目指していきたいと考えています。
聞き手

本日は貴重なお話をありがとうございました。