目指すは「あまねく広く、すべての人に寄り添っていく」こと

株式会社クレディセゾン

株式会社クレディセゾンは、「サービス先端企業」という経営理念のもと、独自のノウハウ、経営資源、社員一人ひとりの経験を活かし、クレディセゾングループだからこそできる持続可能な社会発展・課題解決への取り組みを進めています。

その中で、すべてのお客さまの満足度向上の一環として、ミライロのユニバーサルマナー検定、接遇マニュアルの制作、Webアクセシビリティ勉強会、障害者対応を見える化するミライロサーベイの実施など、多岐に渡る取り組みを進めています。

一連の取り組みについて、CS推進部のご担当者さまにお話を伺いました。

グループ会員3,500万人に喜んでいただく環境を作る

聞き手

さまざまなお客さまの顧客満足度向上に対する考えを聞かせてください。

クレディセゾン担当者さま

現在、当社のカード会員はクレディセゾングループ全体で3,500万人います。お客さまの中には障害のある方も、ない方もいらっしゃいます。さまざまなお客さまに対して、等しく同じように喜んでご利用いただける環境を作りたいと思い、取り組みを進めています。

過去は「苦情を受けて、対応する」という色が強かったのですが、現在はお客さまの声に耳を傾けて、先回りして改善を推進していくことができるような体制を作っています。私自身も、社内に対して定期的に多様性に関連する情報を発信して、社内の意識醸成を図る取り組みを地道に続けています。

聴覚障害のある方への満足度向上を検討する中でミライロと出会う

聞き手

ミライロとはどのようなきっかけでお付き合いが始まったのでしょうか。

クレディセゾン担当者さま

株式会社クレディセゾン
CS推進部 課長
佐藤 有悟 様

お客さまからの声で一番多かったのが、聴覚障害者からの「電話ができないのに電話の窓口ばかり。問い合わせはどうすればいいのか。」というものでした。電話リレーで受けられる体制を整える必要性はさまざまな部門で感じていたものの、実現に向けたハードルが高く、実現には至っていませんでした。そんな中、聴覚障害や手話のことを調べていく中でミライロと出会いました。

私たち自身、世の中に障害のある人がいらっしゃることをもちろん分かってはいるのですが、接する機会が少ないと自分の当たり前の中から消えてしまうことがあります。ミライロは障害のある方へのサポートも含めて総合的に取り組まれていることが魅力的に感じました。

ユニバーサルマナー検定のメッセージと内容に感銘を受けて導入へ

聞き手

ユニバーサルマナー検定を導入した決め手は何でしたか?

私自身がユニバーサルマナー検定を受けてみて「感銘を受けた」ということです。特に検定で伝えている「ハードは変えられなくても、ハートは今すぐ変えられる」というメッセージですね。いまだに覚えています。

例えば、検定では「自然体でお客さまに寄り添う心が必要」、「心情に寄り添った対応をしていきましょう」という内容がありました。これは当たり前のことなのですが、実際は障害のある方というだけでどこかで線を引いてしまっています。私だけに限らないと思いますが、「この人は特別な人だから、何か特別なことをしなければいけないのではないか」と思い込んでいるところがあります。そうではなく「同じように接すればいい」、「できることをやればいい」ということを教えていただけたことが強く印象に残っています。当時の上司も「知らない世界がたくさん見えて、とても良かった」と評価していました。

現在、ユニバーサルマナー検定は社内で希望者を募る方法で実施しています。年間30~40人が受講し、現在99人(2023年7月現在)が取得しています。受講希望者は、40代、50代とベテランクラスの社員が多い状況です。LGBTQ+対応マナー研修においても、自身の身近に当事者の方がいると、「きちんと理解していきたい」という感じで受講しています。

知識をチームで共有、独自レポートを作成する社員も

聞き手

ユニバーサルマナー検定を導入してから社内で変化はありましたか?

ユニバーサルマナーブックの表紙

ユニバーサルマナー検定の取得者が、「自分の部や課、チームの中で検定の知識を共有し、お客さま対応を一緒に考えている」といった話が私の元にも届いています。中には、自身が作成したレポートをチーム内に配っているという社員もいました。取得した社員が、同じチームの同僚に“良かったから受けてみたら”と声掛けしてくれるケースもあるようです。

全社員受講できればいいのですが、費用や時間的な制約もあるため、少しでもユニバーサルマナー検定で習う内容をいつでも確認できるようにしたいと考え「ユニバーサルマナーBOOK」を作成しました。検定はその場限りということもあり、時間が経つとどうしても忘れてしまう部分が出てきます。何かあったときに見返せるものが欲しいと思ったのと、何らかの制約で受講できてない人も見られる環境を用意したいということで作ることにしました。

対応が遅れていないかをミライロサーベイでチェック

聞き手

障害者対応を見える化する「ミライロサーベイ」を実施した目的を教えてください。

ミライロサーベイ

※ミライロサーベイの報告書イメージ

改正障害者差別解消法の施行が2024年4月に予定されています。当社の取り組みの現状や他社と比べて対応に遅れがないか等、第三者にチェックしてもらうために実施しました。

ミライロサーベイの結果、現状の対応状況を把握、優先順位を確認することができました。結果をもとに、今後もできることから着実に取り組んでいきたいと思います。ハード面は費用が掛かるためすぐに対応が難しいこともありますが、社員のハートは引き続き変えていきたいと考えています。

誰もが利用しやすいWebサイト構築に向けて勉強会を開催

聞き手

Webアクセシビリティ勉強会を開催した目的も教えてください。

全盲の社員が仕事をしている様子

聴覚障害のお客さまに対する取り組みを行ったあと、視覚障害のお客さまの満足度向上に向けても検討をはじめました。ホームページのリニューアルにあわせて、Webアクセシビリティの勉強会を開催しました。

社内のWeb制作部門の担当者に視覚障害のある方が普段どのようにWebサイトを閲覧しているのか、スクリーンリーダー(音声読み上げソフト)で読み上げている様子などを知ってもらうことを目的に実施しました。

元々、Webアクセシビリティについては、JIS規格の適合レベルAへの準拠の準備を進めていました。ただ、継続して取り組んでいくためには制作側のマインドが必要です。“書いてある通りに作ればいい”ということではなく、しっかりと当時者の話を聞くことにより、制作の際に注意すべきことや気づきにもつながるのではと考えました。勉強会終了後は、”スクリーンリーダーはこんな速さで聞いているのか”と驚いたことや、”実際に当事者の方がどのようにWebサイトを利用しているのかを知ることが出来て良かった”という声が上がっていました。

すべての人に対応できる柔軟な体制を作っていきたい

聞き手

今後、さらにお客様満足度向上のための意気込みを教えてください。

クレディセゾン担当者さま

障害の有無に関わらず、すべてのお客さまに喜んでいただける環境を作る。そのために支障となっているものは取り除いていく考え方で取り組んでいます。また”これだけやっておけばいいでしょ”というお茶の濁し方ではなく、価値観が多様化している中ですべての人に対応できる柔軟な体制を作っていきたいと考えています。

当社は幅広いお客さまにご利用いただいているカード会社なので”あまねく広く、すべての方に寄り添うこと”を目指していきます。ミライロには、今後もわれわれが知らない部分の情報を教えていただけることを期待しています。

聞き手

 本日は貴重なお話をありがとうございました。