どの拠点でも快適に働ける職場環境の実現を目指して

パナソニック インダストリー株式会社

パナソニック インダストリー株式会社は、2030年のビジョンとして「未来の兆しを先取り、お客様と共に社会変革をリードする」と掲げています。社員一人ひとりが挑戦を称賛され報われる文化をつくるとともに、人と組織が共に成長し続ける会社を目指して新たな人事制度や仕組みを積極的に導入しています。

全従業員がいきいきと働ける職場環境づくりに向けてダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)を推進しており、その中で障害者雇用の推進とバリアフリーな環境整備に取り組んでいます。

「国内主要製造拠点の事業所内のバリアフリー化」を計画したプロジェクトについて、DEI推進室のご担当者さまと総務部総務企画課のご担当者さまにうかがいました。

2030年の「働きたい会社No.1」を目指す

聞き手

職場環境のバリアフリー化に取り組まれた背景を教えてください。

パナソニック インダストリー株式会社は、産業、情報通信、車載をはじめ、幅広い用途に向けた電子デバイス・産業デバイスに加え、お客様のお困り事を解決するためのソリューションも提供している会社です。

2022年4月、パナソニックグループの事業会社化に伴い創業した当社は、グローバルに社員42,000人と82拠点(国内33拠点)を有しています。

創業者・松下幸之助が描いた「物と心が共に豊かな理想の社会」を、デバイス事業において目指していくにあたり、ミッション・ビジョン・バリューから成る企業理念を掲げ、社員一人ひとりの実践を通じて、より良い未来、豊かな社会の実現を目指しています。
経営戦略 - パナソニック インダストリー – Panasonic 


現在、ビジョンの実現に向けて人財資産をはじめとするバリューの拡張を目指し、中長期の経営戦略の一環として人財戦略を推進しています。「想いを、動かせ。」というコンセプトのもと、人財戦略を通じて「一人ひとりの“想い”を実らせる」ことを重要視しています。

会社として人事政策や制度をきちんと整え、誰もがいきいきと活躍できる職場環境を作ることが大切だと考え、2021年4月から活動を本格化、2030年の「働きたい会社No.1」を目指しています。

公平な機会の提供に向けて、障害のある社員がどの拠点でも快適に業務を遂行できるようにするため、バリアフリープロジェクトを始動しました。

画像 バリアフリーガイドラインの表紙

 

他の拠点に出張しても快適に過ごせる職場へ

聞き手

バリアフリープロジェクトの内容について教えてください。

DEI推進室 主務 藤嶋綾乃さま

DEI推進室 主務 藤嶋綾乃さま

バリアフリープロジェクトは、2024年度末までに国内主要製造拠点(26拠点)をバリアフリーな環境に改修するという大きな目標を掲げています。この目標を実現するために、DEI推進室と総務部が協力して取り組んでいます。

2024年度末までに国内主要製造拠点をバリアフリーへ | 経営・財務 | 企業・経営 | プレスリリース | Panasonic Newsroom Japan : パナソニック ニュースルーム ジャパン 

社長の坂本も高い関心を示していることに加え、DEI推進室では社内アンケートを実施するなど、トップダウンとボトムアップのアプローチを組み合わせて進めています。

【国内主要製造拠点バリアフリー化のステップ】
・ステップ1:2022年度末 モデルとなる2拠点を調査、ガイドライン策定
・ステップ2:2023年度~ 国内主要製造拠点へ順次展開
・ステップ3:2024年度内 国内主要製造拠点のバリアフリー化を予定

パナソニックには「高位平準化」という言葉があります。高いレベルで物事を均一化して偏りをなくすことを意味しているのですが、今回のバリアフリープロジェクトにおいてもこの考え方がベースにあります。

具体的には、障害のある社員が自身の働く拠点だけでなく、他の拠点に出張しても同じように快適に過ごせる職場環境を目指しました。

類似業務の実績と企業理念に共感

聞き手

ミライロに依頼した経緯や期待を教えてください。

総務部 総務企画課 田井雄士さま(左)/DEI推進室 主務 藤嶋綾乃さま(右)

以前、障害のある社員からハード面について課題感の共有があり、会社としてバリア解消に向けて、施設を改修したことがありました。

良かれと思って改修したところ、実は障害のある方が望んでいた内容の改修ではなく、結果としてバリアが解消されていませんでした。そのため再度改修が必要になり、コストも余計にかかりました。

こうした過去を考えると、プロの専門的な視点からアドバイスをもらった方がいいのではないかということになり、インターネットで検索してミライロを知りました。

ミライロのことを調べていると、ホームページの導入事例ページ※に自動車メーカーの導入事例が目に留まりました。同じ製造業に対して、当社が目指す取り組みの実績をすでに持っておられることが決め手となり依頼することにしました。その他にも、企業理念に共感したことや官公庁や大手企業との業務実績も豊富で、とても安心感がありました。

導入事例ページ

モデル拠点の調査~ガイドライン策定

聞き手

プロジェクトの具体的な進め方を教えてください。

総務部 総務企画課 田井雄士さま(左)/DEI推進室 主務 藤嶋綾乃さま(右)

まず最初に行なったことは、現状を把握するための調査対象となる拠点選びです。本来であればすべての拠点を調査することが望ましいのですが、時間的にもコスト的にも負担が大きいことから、管理部門のオフィスのある拠点と製造拠点の2つの拠点をモデルに調査することとし、数ある拠点の中から、選定基準として、障害のある社員が一番多く働いていて、障害種別も多岐にわたる拠点を選び、着手しました。

ミライロは障害のある当事者視点も持ち合わせているため、調査時にいただいた指摘には新しい発見がたくさんあり、同行していた私たちにとっても非常に学びの多い時間でした。

たとえば、通路にある水はけの傾斜は車いすの方には負荷がかかっていることや、サイネージに使われている文字のフォント、明朝体の縦と横の線の太さで視認性が違うなど、お聞きしないと気づかないことを知ることができました。

調査後、ミライロからいただいた報告書をもとに、現状の課題と傾向を抽出、改善の方針を整理したうえで全社展開すべく検討を重ね、バリアフリーガイドラインを作成しました。このガイドラインは、屋外移動、駐車場、屋内移動、共用施設、緊急避難時の移動、各施設のサイン、人的サポートなど、7つのカテゴリーにわたり、対応すべき項目の詳細だけではなく、優先度も併せて明確にしており、当社のバリアフリーに対する意志を込めたものとしております。

ガイドライン策定後も、各拠点の理解を得るために分かりやすい資料を作成したり、全国の総務担当者向けに何度も説明会を開いたりしました。会社が目指す方向性やバリアフリー化に向けた取り組みの理解を得ることに努めました。

その後バリアフリーガイドラインをもとに、拠点ごとに自主調査を実施してもらいました。今後は改修に向けて各拠点の整備計画をまとめて実行にうつしていくフェーズになりますが、引き続き関係者で力を合わせて取り組みを進めていきたいと思います。ハード面の改善が難しい所はソフト面での対応も併せて考えていく必要性も感じています。

余談になりますが、全拠点への説明を終えた後、各拠点から想定以上の質問が多く寄せられました。それらの質問に対して、ミライロがスピーディかつ丁寧に回答してくれて、担当としてはとても助かりましたし、心強かったです。


<バリアフリーガイドラインをもとに改修を実施した例>

PID_前後

環境・意識・情報のバリア解消へ

聞き手

施設のバリアフリー化以外の取り組みについても教えてください。

総務部 総務企画課 田井雄士さま

総務部 総務企画課 田井雄士さま

当社では、バリアフリーな環境の整備においてハード面とソフト面の両方に焦点を当てています。障害の有無にかかわらず、全社員がいきいきと働ける職場環境の実現を目指し、職場での定着率向上を実現するための取り組みを進めています。

多様性と公平性の推進において、従業員一人ひとりの理解が不可欠です。2023年度からミライロに依頼してユニバーサルマナー検定を実施します。当社は基本のマナーをとても大切している会社のため、ユニバーサルマナーの考え方と親和性が高く導入を決めました。

現状のソフト面の対応は各拠点が独自に実施しているため、ユニバーサルマナー検定を通じて、会社全体として障害の理解や意識を高めていきたいと考えています。

また、情報の観点においても、面接や面談、会議、研修等のシーンで聴覚に障害のある方への情報保障が必要な場面が多くあります。こうした場面においても、ミライロには手話通訳等の年間契約や音声情報をリアルタイムに文字化できるアプリ「UDトーク」の導入サポートをお願いしております。聴覚障害のある社員にも、聴者と同じタイミングで情報を伝えることができるように取り組みを進めています。

聴覚に障害のある社員からは「ミライロの通訳は質が高い。次回からも同じレベルの方をつけてもらいたい」といった声が届いています。オンラインでの対応もしていただけるので助かっています。

グループ全体への波及に期待

聞き手

今後の展望を教えてください。

今後も全国の拠点と連携を強化しながら人事政策や制度を整備していくことで、障害の有無にかかわらず、誰もがいきいきと活躍できる職場環境を作っていきたいと思います。

最後になりますが、当社の取り組みがパナソニックグループ全体にも波及していっていることを感じています。今後さらに活動の輪を広げていけたらと思っております。

PID_サイン前

聞き手

本日は貴重なお話をありがとうございました。