みんなに優しい銀行実現のために

株式会社ふくおかフィナンシャルグループ

平成18年から「みんなに優しい銀行」を目指し、独自の取り組みを続けられてきた株式会社ふくおかフィナンシャルグループのクオリティ統括部副部長 坂下正治様(現在は曽根支店支店長)、クオリティ統括部調査役 高木雅代様に、導入のきっかけやご感想を伺いました。

誰もがもっと利用しやすい、 みんなに優しい銀行を目指して挑戦

聞き手

ユニバーサルマナー検定導入のきっかけは?

クオリティ統括部副部長 坂下正治様(現 曽根支店支店長)

クオリティ統括部副部長 坂下正治様(現 曽根支店支店長)

坂下

きっかけは2014年12月に代表理事の垣内さんのお話を伺ったことが始まりでした。理由としては、障害者差別解消法の施行があります。当行ではブランド施策の一環として「ユニバーサルアクション※」という活動を続けておりましたので、改めて特別に取り組まなくてはという意識ではなく、適切な知識と理解の裾野をさらに広げていくという意味でユニバーサルマナー検定に取り組むことを決めました。また「一人、ワンスキル」という考え方もあり、これは救命救急士や認知症サポーターや、ご当地検定など、お客様に喜んでいただけるスキルを皆でそれぞれ身につけていこうというものです。これからは障害のある方にも喜んでいただきたくて、ワンスキルにユニバーサルマナー検定を加えたいと思いました。

聞き手

ユニバーサルアクションとはどのような活動でしょうか?

車いすのお客さまにご利用いただきやすいカウンター

車いすのお客さまにご利用いただきやすいカウンター

坂下

平成18年から続けている、ブランド施作の一環です。障害のある方やご高齢の方を含む、誰もがもっと利用しやすい「みんなに優しい銀行」を目指しています。具体的には、車椅子・助聴器・コミュニケーションボードなど各種ユニバーサルツールの全店配置を行う「ハード」、朝礼での手話トレーニングの実施・お客様責任者(サービス介助士2級資格保有)を中心とした技術の習得などの「ソフト」、そしてお客さまへの応対や地域貢献活動を通じた「ヒューマン」の各側面から取り組んでいます。福岡市がユニバーサルデザインについていち早く精力的に活動されていたので、私たちもヒントをいただきながら進めていました。一年ほどかけて店舗を調査し、誰もが使いやすい手すりやトイレの在り方などは新設の店舗から改善していきましたね。

グループ社員1,000名が受講、時間と内容の両立が決め手に

聞き手

ユニバーサルマナー検定を選んでいただいた決め手は?

坂下

コミュニケーションに重点を置いた内容と、受講のしやすさです。前者については、法律があるから義務的な対応をするのではなく、お客さまに気持ちよく喜んで頂くための優しいコミュニケーションをしたいと考えていました。「何かお手伝いできることはありますか?」という優しい声かけから始まるユニバーサルマナーは私たちが取り入れたいイメージに合っていました。後者については、上級者向けの対応研修は従来から取り入れていましたが、数日間の拘束と事前勉強が必要な試験がありました。日々の業務の中でなかなか時間を設けることは難しく、全行員が受けづらいという課題がありました。

クオリティ統括部調査役 高木雅代 様

クオリティ統括部調査役 高木雅代 様

高木

ユニバーサルマナー検定は2時間という短い時間で、多くの行員に学んでもらえたのが良かったです。現場ですぐに使える大切な知識を、まず知ってもらうということができたと思います。

聞き手

何名が、どのように受講されましたか?

坂下

27年度はまず、グループ社員約6,000名の内、1割の受講を目指そうという目標を掲げました。博多、北九州、熊本、長崎、佐世保などの各支店から600名が受講を終え、今年3月からは新入社員の集合研修にも導入したので1,000名を越えました。

ユニバーサルマナー検定の様子

ユニバーサルマナー検定の様子

高木

各支店からの600名は、自主的な参加です。遠隔から宿泊してでも参加する社員もいて、内容も非常に好評でした。研修の開催前、「当行で広げる意味」「障害のあるお客様やご高齢のお客様への応対で、困ったことはないか?」というような役員からのメッセージと共に、参加者の募集を各店舗で行いました。銀行の窓口には多様なお客さまがいらっしゃるので、現場でどう対応したら良いか悩んでいた社員はとても多かったのだと思います。特にご高齢のお客さまの来店も増えていますので。

窓口対応、お見送りなどお客様からの お褒めの声も

聞き手

受講の感想や、行員の変化はありましたか?

高木

私は障害のある方が来られた時どうしたら良いか わからなかったところ、自信を持ってお声がけすることができるようになりました。(車いす講師の)岸田ひろ 実先生のエピソードがとても感動的で、良かったです。女性で子育てを経験している社員は特に共感して、お話も落とし込みやすかったと思います。

坂下

車いすを利用するお客さまと目線を合わせてお話する、駐車場までお見送りするなど、さりげないことが自然に実践できるようになり、お客さまからお褒めの声を頂いているということを聞いています。各店舗に車いすなどの設備も用意していますので、いざお客様が来ら れた時に適切に案内もできるようになったと思います。 また警察と営業店がタイアップをし、公民館や高齢者施 設などを訪問して振り込め詐欺を防止する啓発イベント なども積極的に実施しているのですが、行員がご高齢の方への接し方を知っているという経験も役立っていると思います。

地域の街を皆で歩いてバリアフリー調査を実施

聞き手

街のバリアフリー調査イベントも行っていただきましたね。ご感想をお聞かせください。

ブレーメンの調査隊

ブレーメンの調査隊

坂下

2016年6月「Bmaps(バリアフリー地図アプリ)」 を使って、街のバリアフリー情報を収集する「Bremenの 調査隊」を行いました。約60名の行員が、実際に車いす に乗ったり高齢者体験キットを装着したりして、博多・ 北九州・小倉・長崎の四箇所を調査しました。その日は 約500件のスポット情報をアプリに登録できました。当事者体験が特に印象深いです。障害のある方やご高齢の方がお店選びの際に困るポイントなどを知ることができて、とても良かったです。調査中に街行く人から 「何をやっているんですか?」と声もかけられ、その場 で交流にも繋がりました。

聞き手

今後、どのような取り組みを進められますか?

耳マークの設置風景

耳マークの設置風景

坂下

私たちはお客さま視点のサービス向上を一番大切にしています。行員が自ら、ご高齢のお客さまや障害のあるお客さまと触れ合い、ご意見を吸い上げて、改善に繋げていくことを続けていきたいですね。店舗のさらなるバリアフリー化など、幅広い取り組みを進める予定です。