障害のあるお子様やそのご家族を招く、アドベンチャーワールド(株式会社アワーズ)の特別な一日「ドリームナイト・アット・ザ・ズー」。イベント成功の背景には、ユニバーサルマナー検定を受講した350名の社員様の活躍、障害のある当事者モニターによる事前調査とフィードバック研修がありました。取組みについて、飼育部サファリ課の武分 渉様、運営部エンジョイ課の前田 智基様に、お話を伺いました。
障害のあるお子様やご家族が1,047名来場、ドリームナイト・アット・ザ・ズー
株式会社アワーズ
350名のユニバーサルマナー検定受講と、ミライロ・リサーチによる事前調査
聞き手
今回1,047名の障害のあるお子様やそのご家族が来場した「ドリームナイト・アット・ザ・ズー」は、国際的に開催されているプログラムですが、開催を提案したのはどなたですか?
飼育部サファリ課 武分渉 様
武分
部長の中尾が提案した後、社内で説明会を開き、開催が決まりました。開催決定後、実現に向けて話し合いを続ける中で、障害のある方への適切な接客方法を学びたいという社員の想いが一致し、ユニバーサルマナー検定とミライロリサーチの導入が決まりました。
聞き手
ユニバーサルマナー検定を350名の社員の皆さまに受講いただき、とミライロリサーチを活用した研修(障害のあるモニターが園内を調査し、そのフィードバックを行う)を導入後、具体的に何を改善されましたか?
運営部エンジョイ課 前田智基 様
前田
私が担当する遊園地エリアでは、営業中のアトラクションの説明の他に各乗り物にある段差の数も掲載したマップを作成しました。園内全域のマップも作成したのですが、そちらにはスロープやエレベーター、オストメイト対応トイレなどの場所を調べて記載しました。
改良されたケニア号
武分
サファリエリアでは、敷地内を一周するバス「ケニア号」の改善を行いました。通常は一車両に車いすのまま乗車できる席が1列分の3席のみですが、より多くの車いすやベビーカー利用者に乗っていただけるよう、一列ごとにベンチを外し、12席全ての座席に車いすのまま入れるようにしました。
もう一ヶ所、キリンフィーディングの改善も行いました。通常はテラスの上からキリンに餌をあげられるのですが、車いすやベビーカーのまま近づくことが難しいので、場所を変更しました。事前にスタッフが車いすに乗って体験することで、楽しんでいただくにはどんなルートが良いのかを考えました。キリンにも車いすのお客さまに慣れてもらうよう工夫もしました。
高評価となった、来場者の満足度アンケート
聞き手
スタッフの方が改善に向けて自発的に動いてくれたと聞いたのですが、なぜそのような流れになったのでしょうか?
ユニバーサルマナー検定受講の様子
武分
当日いらっしゃるお客さまを笑顔にしたい、という強い想いがあったからだと思います。企業理念「こころでときを創るSmile カンパニー」とあるので、そういった意識を持っているスタッフは多いです。現場の一人ひとりができることを考え、共有したことで改善を進めていくことができました。
今回のイベントを終えた印象と今後の課題を教えてください。
前田
お客さまに喜んでいただけたことがなによりも嬉しいです。イベント開催前に、障害のある当事者の方々のアドバイスをいただけたことで、社員の意識も課題解消に向けて前向きになり、結果的にお客さまにも満足いただくことができました。しかし、ウォーキングサファリの距離が長く、車いすやベビーカーユーザーの参加者が少なかったなどの課題に改めて気づきました。これらの課題をいかに日々の運営に落とし込んでいき、より良いものにしていけるかということに注力していきたいと思います。