「明日の笑顔を共に創る」D&I推進の取り組み ~誰もがよりお買い物しやすい環境へ~

株式会社セブン‐イレブン・ジャパン

株式会社セブン‐イレブン・ジャパン(以下、セブン‐イレブン)は、2023年11月に創業50周年を迎えました。1974年に日本初となる本格的なフランチャイズシステムによるコンビニエンスストアをオープン。質の高い商品やサービスを提供し「経済的価値」の提供を行うことで、多くのお客さまから支持されて、成長を続けています。

現在、世の中は便利になる一方で少子高齢化や地域の過疎化などさまざまな社会課題に直面しています。セブン‐イレブンでは、これまで以上に人や地域とのつながりに目を向けて、社会課題の解決に貢献するため、目指す姿として「明日の笑顔を 共に創る」を策定しています。

今回は、お客さまの多様化するニーズに合わせて「経済的価値」を提供するとともに、社会課題解決の一助となる「社会的価値」の追及に向けて進化を続けるセブン‐イレブンのD&I推進や障害者差別解消法の改正に対応した取り組みについて、人事本部の皆さまにお話をうかがいました。

画像 セブンイレブンの店舗。「明日の笑顔を共に創る」と書かれている

バリアバリューの考えに共感

聞き手

ミライロと取り組みをはじめた経緯について教えてください。

講演会で、ミライロの社長である垣内さんの言葉に心を打たれたことがきっかけで、取り組みがスタートしました。垣内さんの偽りのない言葉が私たちの琴線に触れ、心を揺さぶりました。

「バリアバリュー」。障害を価値あるものへと変えていく。この考えを聞いた当初は「そんなことができるのだろうか」と思わずにはいられませんでした。

しかし、垣内さん自身がこの考えを実生活において実践し、ビジネスへと繋げている話を聞いているうちに、垣内さんの強さと信念を感じたことを今でも鮮明に覚えています。

セブン‐イレブン・ジャパン_藤本様


(取材当時) 
株式会社セブン‐イレブン・ジャパン 取締役 常務執行役員 人事本部長
セブン&アイグループ D&I推進プロジェクトリーダー
藤本 圭子 様

ハードは変えられなくても、ハートなら今すぐ変えられる

聞き手

ユニバーサルマナー検定を導入した狙いはどういったところにあるのでしょうか?

写真 検定受講の様子

お客さまあっての小売業です。もっと多くの人々にセブン‐イレブンを利用してもらうために「私たちは何ができるだろうか」、と考えました。

コンビニエンスストアでは、スペースやレイアウトの都合などから物理的な施設(ハード)を変えることは難しい場合もあります。しかし、心のあり方(ハート)を変えることはすぐにできます。そこで、社会のバリアによって困っている人がたくさんいることに気づくきっかけを提供しはじめることにしました。

垣内さんの言葉にインスピレーションを受けた私たちは、障害を価値に変えるという考えを実現しようと、2018年からユニバーサルマナー検定※の受講案内を社内で開始しました。

この取り組みはビジネスの成功を追及するだけではなく、社会全体がより良くなるよう、何かできないかと始めたものです。私たちの活動が一人でも多くの人々の心に響き、明日の笑顔を共に創る一歩となることを目指して、取り組みをスタートしました。

※ユニバーサルマナー検定とは
障害者や高齢者など多様な人々に向き合うための「マインド」と「アクション」を体系的に学び、身につけるための検定です。

改正障害者差別解消法の施行に向けた取り組み

聞き手

2024年4月の法改正に向けて取り組んだことはありますか?

セブン‐イレブンには、企業行動部会という組織があります。この部会のもと、2024年の改正障害者差別解消法の施行に向け、2022年10月にD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)のワーキンググループが発足しました。

改正法の施行に伴う具体的な取り組みの一つとして「指差しシート」を全国の店舗で設置しています。指差しシートは、お箸やカトラリーの必要有無をはじめ、レジ袋の購入有無、お弁当類の温めの有無などについて、レジカウンターにてお客さまに指差しで意思疎通いただくツールです。だれもがより快適にお買い物ができる環境を整えるため、2022年11月より一部直営店での設置テストを進め、2024年3月には全国の店舗に拡大いたしました。

指差しシート画像編集
※店舗のレジカウンターに設置した「指差しシート」 

セブンイレブンアプリ
※セブン‐イレブンアプリ内で表示可能な指差しシート


指差しシートの設置に加えて、適切な教育と啓発を行うため、管理職を中心にユニバーサルマナー検定3級の受講を推進しました。2024年2月時点で955名が障害者や高齢者、ベビーカー利用者、外国人など、多様なお客さまに対して、適切な心構えを学んでいます。

ロゴ ユニバーサルマナー検定
<ユニバーサルマナー検定を受講した従業員の感想>
・勝手にハードルを上げてしまっていたが、一歩踏み出す勇気をもらえた
・押し付けるのではなく、まずは聞くことからはじめたい
・障害のある方にも使いやすい店舗であるか、改めて考えたい
・これまで行動できなかったのは適切なお声がけの方法がわからなかったからだと気づけた
・合理的配慮の必要性をチームに共有したい

店舗における合理的配慮の提供に向けて

聞き手

店舗で働く方々への教育研修はどのように進めていますか?

今回、ミライロにも協力をいただいて「ユニバーサルマナーBOOK」を作成し、加盟店向けに配布をいたしました。このマニュアルでは、障害者や高齢者を含む多様なお客さまへの対応方法を、イラストを交えて具体的に解説していますので、店舗での接客の際にぜひお役立ていただきたいと考えています。

「法改正にあわせて」ではなく「いかに気持ちよく利用していただくか」

聞き手

今後の展望をお聞かせください。

これまでセブン‐イレブンは、2004年頃からユニバーサルデザインの取り組みを進めており、車いすユーザーが利用可能なトイレや駐車場のサイン設置など、一部店舗において基本的なアクセシビリティの向上を図ってきました。

ハード面での対応だけではなくソフト面での補完を含め、今後も多様なお客さまが快適に店舗を利用できるよう努力を続けていきます。

これらは法令順守に加え、企業が社会的責任を果たす上での重要な取り組みだと考えております。企業文化としてユニバーサルマナーへの意識を醸成し、より包摂的な社会の実現を目指し、業界内でのリーダーシップを強化していく計画です。

引き続きミライロと協力し、その専門的な視点からアドバイスを受けながら着実に取り組みを進めて行きたいと考えています。

写真 担当者様

株式会社セブン‐イレブン・ジャパン 人事本部の皆さま
(左から唐松様/藤本様/丸橋様/田中様)

聞き手

本日は貴重なお話をありがとうございました。

●株式会社セブン‐イレブン・ジャパンのホームページ「快適なお買い物体験の提供」
ユニバーサルマナー検定のウェブサイト