すべてのお客さまの楽しさを共に実現するために

株式会社東京ドームホテル

東京ドームホテルは、今までにない新しいホテル文化を創造し、訪れるすべてのお客さまに楽しんでいただくことを目指しています。この目標を実現するために、2015年に全スタッフの意識改革を図る一環として「ユニバーサルマナー検定」を導入しました。

この取り組みについて、管理部 教育・安全課のご担当者さまにお話をうかがいました。 

写真 東京ドームホテル外観写真 東京ドームホテルの宿泊ルーム

 

ミライロの理念やユニバーサルマナーの考えに共感

聞き手

ミライロとの出会いについて教えてください。

管理部 教育・安全課マネジャー中島 サヤ乃 様

管理部 教育・安全課
マネジャー
中島 サヤ乃 様

約10年前の2014年頃だったと記憶していますが、垣内社長にお話をうかがう機会がありました。

その当時、私は宿泊部門の研修担当として勤務しており、ご高齢の方や障害のある方など、多様なお客さまをお迎えしていました。

垣内社長との会話の中で、ミライロの設立経緯や企業理念「バリアバリュー」の想いをうかがいました。 その時に、ユニバーサルマナーについても紹介いただき、自分とは違う誰かの視点に立ち行動することは、特別な対応ではなく「マナー」の一つであるという重要な気付きを得ました。

技術を学ぶ前にマインドの醸成が必要

聞き手

ユニバーサルマナー検定を導入した背景を教えてください。

写真 研修風景

東京ドームホテルでは、ミッション・ステートメントに「日本で一番安全で安心なホテルを目指します」という目標が掲げられています。東京ドームシティ内に位置する当社は、多様なお客さま層を持ち、それぞれに高品質のサービスを提供することが求められています。

2000年の開業以来、当社スタッフに対し、多くの資格取得と研修を積極的に推進しており、障害のある方やご高齢の方に適切なサービスを提供する技術も習得してきました。

しかし10年前は、障害のある方やご高齢の方への対応が「特別なもの」とみなされがちでした。つまり、特別な注意を払い、より丁寧に接しなければならないという、何となくの思い込みがあったように思います。
このような状況を改善するためには技術を学ぶ前にスタッフのマインドを醸成することが重要であると考えました。そのため、宿泊部の研修担当者やキーパーソンと共にユニバーサルマナー検定を受講し、スタッフの意識改革を図ることにしました。

※ユニバーサルマナー検定とは
障害者や高齢者など多様な人々に向き合うための「マインド」と「アクション」を体系的に学び、身につけるための検定です。

心に響く気づきや説得力のある学び

聞き手

ユニバーサルマナー検定を受講した感想を聞かせてください。

写真 管理部 教育・安全課の皆さま(左から野村様、中島様、鈴木様)

管理部 教育・安全課の皆さま
(左から野村様、中島様、鈴木様)

ユニバーサルマナー検定を受講して特に印象的だったのは「100点満点を目指さない」というフレーズです。これまでの研修では完璧を求めがちでしたが、この言葉によって、迷わず行動に移して対話することの大切さを学びました。

ユニバーサルマナー検定を受講したスタッフのアンケートから、以下のような感想を聞くことができました。
  • 100点満点を目指さず、迷わずすぐに行動する
  • 気負わず自然体で接して良いという安心感
  • 講師の実体験を交えたエピソードから学びを得た 
  • 講義内容が自分事として理解しやすいよう配慮されている
  • 「分からない」という不安をなくすことができた 

スタッフのマインドを醸成するためには、障害当事者の講師から発せられる、心に響くような大きな気付きや説得力のある学びが特に重要だと思います。

ユニバーサルマナー検定を受講した多くのスタッフが、検定を通じて得られたことが実際の仕事に直接役立っていると感じ、お客さまからの評価も向上しています。

全部署および全スタッフが受講

聞き手

ユニバーサルマナー検定の受講対象者について教えてください。

当初は宿泊部を対象に実施する予定でしたが、最終的にはお客さまとの接点が比較的少ない管理部門や調理部門のスタッフなど、全部署・全スタッフを対象にしました。

狙いとしては、ユニバーサルマナーを一つのマナーとして捉えるのであれば、一社会人として、ホテルで働くスタッフは全員受講すべきと考えたからです。

調理場のスタッフもオープンキッチンでお客さまと接する機会があるかもしれないし、その他のスタッフについても偶然、館内でお客さまに声をかけられるかもしれません。

画像 

※東京ドームホテルの教育体系図

何よりも、ミッション・ステートメントに掲げている「日本で一番安全で安心なホテルを目指します 」という目標を達成するためにも、一部のスタッフだけでなく、全スタッフが身につけていて当たり前だと考えました。
現在では大半の社員が受講しています。2022年からは、アルバイトスタッフの受講も開始し、毎年4月には新入社員研修に盛り込むなど、全スタッフが受講できるように継続して取り組んでいます。

ユニバーサルマナーを文化に

聞き手

今後の展望があればお聞かせください。

スタッフは自発的に接客技術を向上させるための動画マニュアル(宿泊編とレストラン編)を作成し、車いすをご利用のお客さま向けのアクセスルートをウェブ上に公開するなど、積極的な取り組みを展開しています。

また、ユニバーサルマナー検定は東京ドームホテルだけでなく、同じく東京ドームシティ内の遊園地スタッフも受講を始めており、その教育の波及効果が広がっています。

東京ドームシティはデジタル障害者手帳「ミライロID」にも対応しており、訪れるすべての方がどこに行っても安心できる環境を提供したいと考えています。

10年前には特別視されていた対応が、今では一般的なマナーとして、ユニバーサルマナーの文化が根付いています 。これからも私たちは、すべてのお客さまにとって安全で安心なホテルを目指します。

写真 管理部 教育・安全課の皆さま

 

聞き手

本日は貴重なお話をありがとうございました。