「業界初」ユニバーサルマナー検定を全行員が取得

株式会社名古屋銀行

株式会社名古屋銀行(以下、名古屋銀行)は、パーパスとして掲げる「未来創造業」の実現に向けて、役職員とそのご家族の心身の健康を基盤とした持続可能な組織づくりを推進しています。

その中核にあるのは、働きがいを感じられる職場環境の整備、多様な価値観を尊重し合う組織風土の醸成、そして一人ひとりが思いやりを持って行動できる職場づくりです。

育児・介護・治療と仕事の両立支援をはじめ、障害のある方への理解促進や働きやすい環境の整備など、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の観点からも先進的な取り組みを展開しています。その一環として、2024年には全行員が「ユニバーサルマナー検定3級(※)」を取得し、銀行初の先進的な実践事例となりました。

この取り組みの背景には、すべてのお客さまにとっての「安心・信頼」の提供を目指す銀行として、制度対応にとどまらず、行員一人ひとりが思いやりをもって行動できるようになることへの強い想いがあります。

今回の取り組みについて、人材開発部のご担当者さまにお話を伺いました。

※ユニバーサルマナー検定は、障害の有無や年齢、国籍にかかわらず、すべての人と向き合うために必要な“マインドとアクション”を身につけるための研修です。

【キャッチコピー画像】名古屋銀行、私たちは、地域ナンバー1銀行として企業価値の一層の向上に努めています。今後も堅実な経営に取り組むとともに、さらに魅力ある銀行を目指します。

障害者差別解消法の改正を契機に管理職からスタート

聞き手

今回、ミライロのユニバーサルマナー検定を導入した背景について教えてください。

2024年4月に改正された障害者差別解消法では、民間企業においても「合理的配慮の提供」が法的義務となりました。名古屋銀行では、これを単なる「対応義務」ではなく「より良いサービスのあり方を見つめ直す機会」と捉え、いち早く社内の意識改革に着手しました。

まず2023年、部店長および本部行員93名が先行してユニバーサルマナー検定3級を受講しました。高齢者や障害のある方、ベビーカー利用者、外国人など、多様なお客さまへの適切な応対に必要な考え方や行動を学ぶ機会となりました。

【写真】ユニバーサルマナー検定3級を受講している様子
さらに同年、「ミライロ・サーベイ(※)」を実施し、障害のあるお客さまへの対応状況を可視化しました。これは、具体的な改善点を明らかにし、より実効性の高い取り組みへとつなげるためのものです。

こうした段階的な取り組みを通じて「誰もが安心して利用できる銀行を目指す」という共通意識が行内に広がり、最終的には2024年3月末までに正行員および嘱託職員1,869名が検定3級を取得。全行を挙げてユニバーサルマナーの実践に取り組む姿勢は、業界内外からも注目される事例となりました。

※ミライロ・サーベイは、企業の障害者対応状況を可視化し、改善をサポートするための調査ツールです。

アンケート結果からみる研修の効果

聞き手

行員の方々にどのような変化が見られましたか?

ユニバーサルマナー検定は「自分とは違う誰かの視点に立ち、行動する人を育てる」ことを目的とした教育プログラムです。高齢者や障害のある方などに対する基本的な配慮の考え方、声のかけ方、接し方などを具体的に学べる構成となっており、多くの行員が意識の変化を実感したようです。

ユニバーサルマナー検定実施後のアンケートでは「困りごとに対して当事者意識を持って取り組む必要性を感じた」と回答した人が221名中180名(約81%)にのぼり、多くの受講者にとって「障害や多様性の課題が自分に関係のあるテーマ」として受け止められたことがわかります。

これは、行員が他人ごとではなく「自らが考え、行動すべきこと」として意識を転換した結果であり、ユニバーサルマナー検定が意識変容につながったと考えることができます。

【アンケート結果グラフ】満足度96%、当事者意識を持つ必要性を感じた81%

多様性への理解とサービス改善の両立へ

聞き手

ユニバーサルマナー検定が組織づくりにも影響を与えていると感じますか?

ユニバーサルマナー検定の導入は、お客さま応対だけにとどまらず、職場風土にも良い影響を与えています。名古屋銀行では、障害のある社員の受け入れ、介護・育児との両立支援、多様な価値観や働き方の尊重など、インクルーシブな組織づくりにも寄与しています。

合理的配慮の提供を制度やマニュアルに頼るのではなく、行員一人ひとりが自然に実践できる文化として定着させることが目標です。

今後は、行員からのアイデアをもとにしたサービス改善や、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた店舗づくりなどにも広がっていくことを期待しています。

地域に根ざし、誰にとってもやさしい銀行へ

今回の取り組みは、サービス品質の向上や法令対応にとどまらず、金融機関としての社会的責任と公共性を果たすことを重視したものです。お客さま一人ひとりの状況や多様なニーズに寄り添い、すべての方が安心して利用できる金融サービスを提供することは、地域のインフラとしての銀行の本質でもあります。

ユニバーサルマナーの実践は、単なる研修にとどまらず、思いやりを行動に変える力を全行員が備えるための重要な土台となりました。お客さま対応はもちろん、行員同士の相互理解や組織文化にも良い循環を生み出しており、これからの銀行づくりにおいて不可欠な視点だと感じています。

今後も、社会課題や法制度の変化を見据えながら、地域社会とともに歩み、誰にとってもやさしく、頼れる存在として進化し続けてまいります。

名古屋銀行の社員の方たち6名が名古屋銀行の看板の前で撮影
聞き手
本日は貴重なお話をありがとうございました。