障害のある当事者の視点から、ユニバーサルデザインのコンサルティング事業を行う株式会社ミライロ(大阪市、代表取締役社長:垣内 俊哉)は、新型コロナウイルスに関する情報を受け取りづらい日本に住む外国人の聴覚障害者や、日本手話を日常的に使う日本人の聴覚障害者に向けて、国際手話と簡単な日本手話で最新の情報を発信します。尚、動画の作成は聴覚障害のある当事者が行い、ミライロは自社のYoutubeやSNSなどで発信を行います。
取り組みの背景
新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、国や各自治体、専門家等がさまざまな形で情報提供を行っています。また、報道各社もテレビやラジオ、新聞等で大切な情報を発信し続けています。最近では、聴覚障害者やその関係者の働きかけもあり、一部のメディアでは記者会見等にも手話通訳者が映されるなど、大きな変化がありました。
しかし、まだなお全ての番組に手話通訳がついているわけではありません。また、日本に住む外国人の聴覚障害者は特に、得られる情報がほとんどありません。
そこで、手話や文字での情報保障を行う事業「ミライロ・コネクト」では、手話が第一言語である聴覚障害者にも最新情報を届けるべく、日本に住むアメリカ人のろう者や海外経験の豊富な日本人ろう者と共に最新情報を動画にすることを決めました。
動画の特徴
今回配信する動画は2種類。
「国際手話」と「簡単な日本手話」で新型コロナウイルスの状況を発信するものです。
≪国際手話≫
≪厚生労働省から発表された「新型コロナウイルスに関する説明」を、国際手話で解説する様子≫
◇対象:日本に住む外国籍の聴覚障害者/海外に住む国際手話ユーザー
◇必要な理由:
・手話は国や地域によって違うため、日本の手話をまだ習得していない外国人の聴覚障害者も多いです。国際手話は、聴覚障害者が国際会議などで使用するもので、旅行先等でも使われていて、より多くの聴覚障害者が理解できます。
・母国語で書かれたニュース等でも情報収集は可能ですが、日本の最新情報を得ることは難しいです。また、音声言語と手話は異なる言語なため、第一言語である手話が一番理解しやすいです。
≪簡単な日本手話≫
≪厚生労働省から発表された「新型コロナウイルスに関する説明」を、日本手話で解説する様子≫
◇対象:日本に住む外国人の聴覚障害者/日本人のろう者
◇必要な理由:
・日本に住んでいる外国人の聴覚障害者は、日本人の聴覚障害者とコミュニケーションを取るために、日本手話を習得しているケースが多いです。一方で、テレビの手話通訳は専門的な単語や日本独特の言い回しもあり、全てを理解するのが難しいことがあります。
・日本人の聴覚障害者の中には、手話が第一言語という方もおり、文字が苦手というケースもあります。今回の動画は手話を第一言語としているろう者が話しているため、当事者がより理解しやすいです。
在日アメリカ人ろう者・Peggy Prosserさんのコメント
日本でも、在日外国人向けに電話相談の窓口が開設されていますが、電話のできないろう者には使えません。また、ろう者向けの情報や医療サポートもありますが、テレビの字幕表示や手話通訳、電話リレーサービスなどはどれも、日本語のわからない外国人ろう者にはアクセスしづらい状況です。
私たちは、外国人であることに加えて、聞こえないということから、社会から排除されてしまい、ウイルスの脅威にもより晒されています。私たちの第一言語である手話で情報を伝えることで、少しでも不安を解消してほしいという想いから、今回、同じ志を持つミライロと共同で動画を作成することに決めました。
海外経験の豊富な日本人ろう者・廣瀬芽里さんのコメント
着実に増え続ける在住外国人ろう者は、母国にいた時よりも苦労することが多く、思うようにいかなくストレスをためてしまう人も少なくありません。非常時だからこそ情報格差が生じないよう、リアルタイムの情報を提供できたらと思っています。
外国在住時代、数え切れない程たくさんの人たちがサポートしてくださったので、これを機会に恩返しできたらと思っています。また、あなたの周りの外国人の理解が深まってくれたら幸いです。
国際結婚の道を歩む日本人ろう者・BAFUROさんのコメント
私はデフファミリーに生まれ、手話を第一言語として育ちました。 また数か国・地域の手話を学び、今は、外国人ろう者の妻と生活しています。 外国籍の聴覚障害者が日本に住む目的はそれぞれ違いますが、日本人と同じだけの情報量を得られている方はほとんどいません。 そのために、同じビジョンを持って始動したこのプロジェクトに加わることで、外国籍の方に情報を届けたいと思っています。
今後について
このような情報発信の場は、新型コロナウイルス感染症が収束した後においても重要であると考えています。災害時には障害者や外国人は「災害弱者」となりますが、聞こえない外国人はさらに情報を取得するのが困難になるからです。
今後もミライロでは「情報提供の手段」を充実させていくことを目標とし、聴覚障害者がより暮らしやすい社会を築いていきます。そのためにも、社会にいる少数の人たちへの情報発信をどう続けていけるかも、この機会に考えていきたいと思っています。
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