安心の店舗へ!全国展開の書店が挑むCS向上

株式会社丸善ジュンク堂書店

業種:

小売・流通

従業員数:

1,001~5,000名

株式会社丸善ジュンク堂書店(以下、丸善ジュンク堂書店)は、全国に約100店舗を展開し、豊富な品揃えで地域の文化と知を支え続けてきました。丸善ジュンク堂書店が大切にしているのは、単に本を売る場所に留まらない、社会のインフラとしての「公的な書店の役割」を果たすことです。

誰もが読書を快適に楽しめる環境づくりとして、接客に携わる全正社員413名を対象に「ユニバーサルマナー検定3級」、マネジメント職層へは「ユニバーサルマナー検定2級」を導入。さらにアルバイト・パートには「ユニバーサルマナーBOOK」を配布し、全社的に研修を行っています。また、安心してご来店いただくための動機付けとして、ミライロID「クーポン」も導入しました。

今回は、この大規模な取り組みを牽引するご担当者さまに、導入の背景から現場の変化、そして目指すべき未来について詳しくお話をうかがいました。

画像_ユニバーサルマナー検定の受講風景

 

万博出店を機に決断。全社一丸で進める多角的な教育の全貌

聞き手

 今回の取り組みに至った背景を教えてください。 

当社は全国に約100店舗を展開しており、元々「接客研修センター」を中心に従業員の接客スキルの向上や、店舗間でのサービスの平準化に取り組んできました。そんな中、2024年4月から合理的配慮の提供が義務化されたこと、さらに「大阪・関西万博」の会場内オフィシャルストアへの出店が決まったことが大きな転機となりました。万博という多様な方々が訪れる場で、スタッフが適切な対応を提供できるかという点が、組織としての明確な課題がありました。そんな中、弊社代表の西川とミライロの垣内社長が同窓であるというご縁から、ユニバーサルマナー検定を知りました。これがきっかけとなり、本格的に研修を導入することになりました。

導入にあたっては、接客に携わる全正社員413名が「ユニバーサルマナー検定3級」を受講しました。その後、本部の役員や店長、エリアマネージャーなど従業員の指導管理を行う100名が「ユニバーサルマナー検定2級」を受講しました。さらに、店頭で実際に多くのお客さまと接するアルバイトスタッフ約2,500名に向けて、「ユニバーサルマナーBOOK」を導入し、対応力を底上げしました。お客さまから見れば、社員もアルバイトも同じ「書店のスタッフ」ですので、全員が共通の知識を持つことが不可欠だと考えたからです。加えて、障害のある方に『このお店なら安心して買い物ができる』と知っていただくための動機付けとして、ミライロIDの「クーポン」機能も合わせて活用し、多角的な視点で取り組みを開始しました。

画像_ユニバーサルマナー検定グループワークの様子

「ただ読ませるだけ」にしない独自の工夫

聞き手
 導入前に直面していた具体的な悩みや、解決したかった課題は何だったのでしょうか。また、社内での推進における苦労などはありましたか。 

最大の課題は、初めての大規模な取り組みとなる中で、どのように受講を促進し、スケジュールを調整していくかという点でした。特に「ユニバーサルマナーBOOK」の導入においては、約2,500名のアルバイトスタッフに『ただ読んでもらうだけ』では、実際の知識として定着しにくいという懸念がありました。そこで接客研修センターが中心となり、実際の接客場面で特に役に立つ重要ポイントをいくつかピックアップし、独自の「小テスト」を作成しました。間違えてしまった場合でも解説を読むことで改めて確認できる仕組みを作り、理解度をしっかりと担保しながら通読を進めています。

一方で、社内の決裁や合意形成については、驚くほどスムーズに進みました。弊社には『社会的に弱い立場にある方々をサポートすることは、公的な書店の果たすべき重要な役割である』という強い共通認識が、経営陣から現場まで浸透しているからです。そのため、社内から反対の声が上がることは一切なく、会社全体の風土として力強く推進することができました。現在は、随時入れ替わりがあるスタッフに対して、どのようにこの教育を継続し定着させていくかがこれからの課題となっています。 

決め手は実践的な内容!海外進出も見据えた接客直結の研修

聞き手

 他社の研修や検定なども選択肢にあったかと思いますが、なぜ最終的にミライロのサービスを選定されたのでしょうか。 

 実は、万博への出店が決まった段階で、一度別の派遣会社からご紹介いただいたダイバーシティ関連の研修を受講してみたことがありました。そちらとも比較検討させていただいたのですが、最終的にミライロの「ユニバーサルマナー検定」を選んだ理由は、2級のカリキュラムにある『実技研修』の内容と品質でした。実務に沿った研修を行えるのが魅力でした。 

ユニバーサルマナー検定2級とは?


実際に研修では、ただ頭で知識を得るだけでなく、講師の適切な指導を受けながら、サポートを行う体験も、支援を受ける体験も得て、体感を通じて学ぶことができる点が、現場の接客に直結すると確信しました。当社の接客研修センターが目指す『実務に即したスキルの平準化』という目的にも、ミライロの検定が最もマッチしていると感じたのが選定の大きな理由です。また、弊社は今後、海外への出店・進出も重要な案件として控えています。国や言葉の壁を越えても、障害のある方への適切な向き合い方や思いやりの姿勢は世界共通の『ユニバーサルなマナー』として活きると考えたことも、トータルで導入を決めた理由の一つです。

画像_車いす研修と高齢者研修の様子

 

不安が「確信」に。現場に生まれた安心感と当事者意識

聞き手

 導入後、社内での反応や、実際の現場での変化、お客さまからの反響など、具体的な効果を教えてください。 

 受講後の社内アンケートでは、障害がある方の困りごとに目を向けることで、スタッフの当事者意識の醸成において最も高い効果が見られました。2級を受講した店長からは、店舗だけでなく日常生活での意識が変わったという声や、自身の知識の不足が明確になりさらに学習意欲が高まったという前向きな反応が得られています。 

<受講者の声>

  • 仕事だけではなく日常でもサポート意識を持っていきたい。
  • 仕事で直接お客様と接する機会は少ないですが、普段の生活の中でも何かできることがないか、考えるよう意識づけしていきたいと思います。
  • 身近にいる不便を感じている方に「できること」を考え無理のない範囲で続けていこうと思います。
  • 店舗運営だけでなく、日常生活においてもあらゆる可能性を考えて、まずは近いところから、より豊かな社会を実現していきたいと思います。
  • 困っている方には声を掛けるだけでも積極的に行っていきたい。「何かお手伝いできることがあればおっしゃってください」のひとことを、全てのスタッフが自然に言えるようになるのが当面の目標。

現場での大きな変化は、ユニバーサルマナーBOOKの存在が従業員の『安心感と自信』に繋がったことです。これまで各スタッフの経験則で対応していた筆談の際も、BOOKにある具体的なノウハウを参照することで確信に変わり、自信を持ってより積極的に行動できるようになりました。

また、ミライロID「クーポン」についても3月の導入以降、右肩上がりで利用者も増えています。都心エリアに限らず、多方面のエリアでも利用者が多く、障害のあるお客さまに安心感が届いている手応えを感じています。

画像_ミライロクーポン画面

誰もが楽しめる書店へ。一過性で終わらせない継続の挑戦

聞き手

それでは最後に、今後の展望についてお聞かせください。 

まずは一過性の取り組みで終わらせず、継続していくことが最優先課題です。人事異動などで毎年登用される新任店長への受講も含め、スタッフが入れ替わっても高い接客水準を維持し続けたいです。

また、合理的配慮の義務化に加え、LGBTQ+対応や店内のサイン、現場では判断が難しい外見からは分かりづらい障害のあるお客さまへの対応方法、また2026年7月からの法定雇用率が引き上げになることに伴って、障害者雇用の推進など、社会の状況は変化し続けています。これらに対し、これからもミライロの豊富な知見やコンテンツなどを活用し、より良い形を相談しながら見出していきたいと考えています。

さらに直近では、横浜で開催される国際園芸博覧会(園芸博)へのオフィシャルストア出店も控えています。万博と同様に、ここでも検定の学びを実践し、海外の方を含む多様なお客さまをお迎えしたいと考えています。ハード・ソフトの両面で、誰もが安心して過ごせる書店としての役割を、これからも追求し続けていきます。

画像_丸善ジュンク堂書店店舗と担当者