「知的障害のある利用者さんが、水遊びをして人に水をかけてしまうことがある」

※このブログ記事は、私、岸田ひろ実が講演をする中で、いただいた質問などをもとに書いています。

 

障害者の支援施設で働いている方から、こんな質問をいただきました。

「知的障害のある成人男性の利用者さんが、水遊びが好きで、人に水をかけてしまうことがある。どうしたら止めてもらえるのか、わからない」

わからない、と悩まれていることがまず、素晴らしいと思いました。

仕方ないと諦めるのではなく、しっかり向き合っているからこそ、悩まれるのでしょう。

 

私の息子も水遊びが大好きで、水を触ってストレスを発散していた時期が長くありました。

水を触ると、落ち着く人は多いです。

皆さんも子どもの頃、そんな経験があったのではないでしょうか。

知的障害や精神障害など、コミュニケーションが苦手であったり、集団生活にストレスを感じやすかったりする人にとって、心を落ち着かせるのはとても良いことです。

水をかけると、人は「きゃあ」「わあっ」と声をあげます。

その様子を見た息子は、喜んでくれていると勘違いすることもありました。

本人はもしかしたら、一緒に遊んでいる、と思うのかもしれません。

人に水をかけてはいけない、困ってしまう、ということを伝えることが大切です。

して良いことと悪いことは、わかってもらわないといけません。

水で遊ぶのは、良いこと。水を人にかけるのは、悪いこと。

 

伝える時に大切なのは、「わかってもらえることを前提に話す」こと。

どうせ言ってもわからないだろう、という諦めの気持ちが少しでもあると、たちまち伝わりにくくなります。

言葉にだけ頼らなくても良いのです。

人に水をかけてしまったら、水道を止める。

水遊びをしている手を止める。

違う遊びに誘導する。

そうやって、行動を促すことでも、わかってもらえます。

水をかけられた人は悲しくなる、ということを、顔の表情や身振り手振りで伝えてもわかりやすいかもしれません。

 

時間はかかるかもしれませんが、諦めずに向き合えば、きっとわかってもらえる。

それは、私と息子の生活の中で、気づいたことでした。

岸田 ひろ実Hiromi Kishida

株式会社ミライロ 講師

長女と知的障害のある長男を育てる中、2005年に夫が心筋梗塞により突然死し、2008年に自身も大動脈解離により下半身麻痺となる。2011年より株式会社ミライロに入社し、講師として年間180回以上の講演を行う。2014年世界的に有名なスピーチコンテスト「TEDx」に登壇後、日本経済新聞「結び人」・朝日新聞「ひと」・テレビ朝日「報道ステーション」など数々のメディアで取り上げられる。