視覚障害のある方が、道を歩いているときに持っている杖をご存じでしょうか?
この杖の名前を白杖(はくじょう)といいます。
今回は、視覚障害のある方にとって、道を歩く際になくてはならない存在である白杖についてお伝えしたいと思います。
白杖の種類
見た感じただの白い杖のように思う方が多いと思いますが、実は白杖には様々な種類があります。
例えば、杖の先端部分が丸くなっているもの、先端にローラーがついているもの、杖自体が折りたためるものなどがあります。
また、使用する人の身長や歩く速さによって、長さも変わります。
使用する人の好み・体格によって白杖の種類が選べるのです。
ちなみに私は、とにかく軽い白杖が好みです。
このようにたくさんの種類がある白杖ですが、実際どのように使用しているのでしょうか。
ここからは、白杖の代表的な使い方についてお伝えしていきます。
白杖の使用用途
白杖の使用用途は大きく3つあります。
①安全確認
②シンボル
③音の反響
①安全確認
自分の1歩先の地面を白杖でたたいたり地面をスライドさせることで、自分が歩く先に障害物などがないか、地面の状況や進行方向を確認します。
また、点字ブロックの上を歩く際も、足の感覚と白杖で触れた感覚を利用して歩いています。
②シンボル
白杖を持っていることで、自分に視覚障害があることを周りの人に伝えます。
視覚障害があるといっても、見え方は様々です。
私のように全く見えない人もいれば、少しだけ見える人、視野が非常に狭い人など、人によって見え方は異なります。
皆さんお気づきだと思います。
白杖を持っているからといって皆が全く見えていないわけではないのです。
外を歩く際には、見え方によって周りの人に気づかずぶつかってしまう場合もあります。
こうしたことを防ぐために、白杖を持っていることでまず、周りの人に自分に視覚障害があることを伝える役割もあります。
③音の反響
これは少し特殊な使い方です。
地面を白杖でたたくと音がします。
その音の反響を聞いて、今どれくらいの広さの場所にいるのか、入り口はどのあたりにあるのかを確認します。
当然ながら、視覚障害のある方が皆それをできるわけではありませんが、音の反響を歩く時の参考にしている人もいるのです。
まとめ
このように、様々な用途で使用している白杖は、視覚障害者が移動する上でなくてはならない存在です。
しかし白杖があるからといって、いつでもどこでも安全に歩けるわけではありません。
白杖を使用して歩いている方は、白杖から伝わってくる地面の感覚と、周りの音を頼りにしていることが多いです。
どれだけ歩きなれている場所であっても、音が聞こえづらい環境になると、いっぺんに移動が難しくなります。
例えば、電車が通過しているときの駅のホームや、工事中の道路では周りの音が全く聞こえなくなります。
もし、白杖を使用されている方を見かけたら、その場の周りの音に注目してみてください。
普段と明らかに違う大きな音がしている場合、そっと一声かけてくださるだけで、とてもありがたいのです。
※原口が過去に執筆した「音に関する」ブログ
『視覚障害者の夏の意外な天敵とは!?~日常から気づく、外を歩く際のポイント~』はこちら
視覚障害をはじめ、障害のある方への向き合い方やこころづかいを学びたい方にはユニバーサルマナー検定がおススメです。