※「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」が改正され、名称が「バリアフリートイレ」に変わっています。最新版の記事もぜひご一読ください。
「さようなら、多目的(多機能)トイレ。こんにちは、個別機能を備えたトイレ。」
参考:国土交通省「建築設計標準(令和2年度改正版)」
多目的では無い。目的はただ一つ!
人の尊厳を守ることです。
家を探すときのことをイメージしてみてください。駅近がいいな
お風呂とトイレは別がいいな
2LDKがいいな
収納がたくさんあるといいな
家賃を抑えるためにユニットバスにしようかな
あまり料理しないからキッチンは小さくていいかも
など
皆さんそれぞれに「絶対に譲れない条件」「あったらうれしいけど無くてもいいもの」「無くても特に気にしないもの」があると思います。
しかし、考えてみてください。
トイレのない家は想像できませんよね。
トイレの無い街だったら?
私はどちらかというとおなかが弱いので、目的地にトイレがあるのか、移動ルートにトイレの借りられそうなショッピングモール・コンビニ・駅前共同トイレ等がないかあらかじめチェックしています。どうしても間に合いそうにないときは、工事現場の仮設トイレを借りたこともあります。
自宅はもちろんのこと、トイレの無い施設や街も想像つきませんよね。
我々がトイレの無い生活を作り出しているとしたら
骨折した経験のある方はイメージしやすいと思いますが、ギプスをした状態では和式のトイレは使えません。つまり、和式のトイレがあったとしても、その人にとっては無いことと同じです。
そのように、怪我をして一般のトイレを使えない方たちや、車いすユーザーの方、内部障害(特にストーマ※使用者)の方などが必要としているトイレがあります。
※人工肛門、人口膀胱
それが「多機能トイレ」です。
決して「多目的」ではなく「この」設備が無いと排泄が難しい人のための限定された用途のトイレです。そのいくつかの限定的な目的に対して柔軟に対応することから「多機能トイレ」といいます。
「誰も使っていないし」と思い、使ってしまったことはありませんか?
そのタイミングで本当に必要な方が来られたとき、まさにトイレの無い状態ですね。生命活動の1つである排泄行為を侵害し、個人の尊厳を犯していることになりかねません。
ユニバーサルデザインなトイレにご興味のある方は、以下の記事もぜひご一読ください♪ ◇「ユニバーサルデザインなトイレ」 |
ファミリートイレのすすめ
最近では「多機能トイレ」に加えて「ファミリートイレ」も見るようになりました。多機能トイレとどう違うのでしょうか。
性別に限らず、ベビーカーを押しながら、上の子と手をつないで外出した経験のある方がいらっしゃると思います。子どもたちのトイレやおむつ替えも大変ですが、一番大変なのは自身のトイレです。目の前に「多機能トイレ」があれば、申し訳ない気持ちではありながらつい使ってしまいます。実は、それが一番多い選択ではないかと思います。
しかし、親子ばかりが利用してしまうと車いすユーザーや内部障害の方などが利用できません。そこで、ファミリートイレが普及しはじめました。
「多機能トイレ」と異なるのは、多機能では無いことです。
既存の「親子トイレ」には幼児用の便器が併設されていることがありますが、そこまでの設備をかけずとも、広いブースと幅広い扉とチェンジボードがあればいいので、あまりコストはかかりません。
ファミリートイレは、性の区別無く利用できます。
発達障害や知的障害のあるお子さまや、認知症の方とトイレに入る時にも役に立ちます。
ご高齢のご夫婦で、ちゃんと歩けるし、多機能トイレを使用する程では無いが洋式(洋風)便器の立ち座り、着替えに補助が必要な時にも使えます。
ファミリートイレがあることで「多機能トイレ」の混雑が緩和され、限られた空間を効率よく活用し、利用の幅に柔軟性を持たせることによってコスト削減にもつながります。もちろん利用者側も、待つ時間が減ることで安心して利用することができます。そして、お店や企業のイメージアップにもなります。
また、LGBTQ+の方で既存の男・女トイレの使用がはばかるときにもその配慮が必要となります。
男女別のトイレに加え、多機能トイレ、そしてファミリートイレ、性別を問わず利用できるトイレがあるといいですね。
トイレ以外でも、障害のある方がどういったことに困っているのか、もっと知りたい方へ ◇障害者の生活と心理リスト |
トイレ設置の目的はただ一つ!
安心な排泄を保障し、人の尊厳を守ることです。
出典:国土交通省 ↑
まとめ
②多機能トイレと使い分ける「ファミリートイレ」のすすめ
トイレのユニバーサルデザインに興味をお持ちの方は、ぜひ以下の記事もご一読ください!
「付け替えるだけ、オストメイトの方にもやさしい前広便座 ZA FREE」
ミライロでは、多様なニーズに応えるユニバーサルデザインを取り入れた商品開発において、障害者モニターを活用した調査設計などを行っています。
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追記(2024年7月23日)
「さようなら、多目的(多機能)トイレ。こんにちは、個別機能を備えたトイレ。」
参考:国土交通省「建築設計標準(令和2年度改正版)」