デジタル障害者手帳「ミライロID」等を運営する株式会社ミライロ(以下「ミライロ」)は、ミライロIDユーザーの障害のある方1,538名を対象に「障害者の就労実態調査2026」を実施しました。企業が法定雇用率の達成のみを目的に、業務の実質を伴わない形で障害者を雇用する、いわゆる「障害者雇用ビジネス」が社会的な問題となる中、当事者本人が日々の仕事をどう感じているかを可視化することを目的としています。調査の結果、就労中の回答者のうち「仕事量が少ない」「ほとんどない」と回答した人はわずか7.34%にとどまり、9割以上が「仕事がない」状態ではないことが分かりました。
一方、就労形態別にみると、同様の「仕事がない」状態の割合は障害者雇用枠で8.64%、一般雇用枠で4.53%となり、全体としては少数であるものの、障害者雇用枠では相対的に高い傾向がみられました。また、任された業務が「合っていない」と感じる人(10.40%)のうち、配慮の「不足」(26.47%)だけではなく、「過度」(9.80%)だった場合を合わせると、「配慮のミスマッチ」が35%を超えるなど、一人ひとりの能力・希望・障害特性に応じた「雇用の質」を高めるための課題が浮き彫りになりました。
調査結果のポイント
- 「仕事を任せてもらえない障害者」が社会的に注目される一方、就労中の回答者のうち、「仕事量が少ない」「ほとんどない」と回答した人はわずか7.34%。9割以上が「仕事がない」状態ではない。ただし、障害者雇用枠では8.64%と、一般雇用枠(4.53%)の約2倍。
- 一方、任された業務が「合っていない」と感じる人(10.40%)のうち、配慮が「不足」(26.47%)していた場合と「過度」(9.80%)だった場合を合わせると35%を超え、「配慮のミスマッチ」という課題が明らかになる。
- 仕事量の確保だけでなく、本人の能力・希望・障害特性に応じた業務設計や、現場の上司・同僚を支える相談・支援体制など、「雇用の質」を高める取り組みが求められる。
調査の背景
厚生労働省の研究会は2026年2月にまとめた報告書(※)で、障害者雇用の「質」の向上を課題に掲げ、いわゆる「障害者雇用ビジネス」を対象としたガイドラインの策定を検討するとしました。企業が法定雇用率の達成を目的に、業務の実質を伴わない形で障害者を雇用する「形だけの雇用」への問題提起が高まっています。
一方、これらの議論の多くは事業者側の運用や制度面に関するもので、当事者本人が仕事の量や配慮、相談環境をどう感じているのかを、まとまった規模で示したデータは多くありません。ミライロは、ミライロIDユーザーの声を集められる立場から、「障害者の就労実態調査2026」を実施しました。
(※)厚生労働省 「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会 報告書」(2026年2月公表) https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001650602.pdf
調査結果(詳細)
1. 業務量の実態(就労中の回答者 n=981)
近年、業務の実質を伴わないまま雇用される「障害者雇用ビジネス」の問題などを背景に、「仕事を任せてもらえない障害者」の存在が報じられることがあります。しかし今回の調査では、就労中の回答者に直近1か月の仕事量について尋ねたところ、「仕事が少なく、時間を持て余すことが多い」「仕事がほとんどなく、何をすべきか分からない」と回答した人は合わせてわずか7.34%にとどまりました。「十分に仕事があり、忙しい」「ちょうど良い量で、無理なく働けている」との回答は合わせて65.64%を占め、大半の就労者が一定の業務量を確保できていることが分かります。多くの企業が業務の切り出しや仕事量の調整に取り組んできた成果がうかがえる結果です。
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直近1か月の仕事量(就労中 n=981、全項目) |
割合 |
|---|---|
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ちょうど良い量で、無理なく働けている |
33.94% |
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十分に仕事があり、忙しい |
31.70% |
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日によって仕事の量に波がある |
23.75% |
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仕事が少なく、時間を持て余すことが多い |
5.91% |
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その他 |
2.55% |
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仕事がほとんどなく、何をすべきか分からない |
1.43% |
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研修やトレーニングなど、実務ではないものが多い |
0.71% |
就労形態別にみると、「仕事がない」状態の割合は障害者雇用枠で8.64%(28名/324名)、一般雇用枠で4.53%(16名/353名)でした。全体としては少数であるものの、障害者雇用枠では相対的に高い傾向がみられます。
また、任されている業務が自分のスキルや希望に「あまり合っていない」「全く合っていない」と回答した人が10.40%(102名)存在しました。その理由を尋ねたところ、以下のような結果となりました。
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業務が合っていない理由(n=102、全項目) |
割合 |
|---|---|
|
自分の希望する職種ややりたい内容ではないため |
37.25% |
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障害特性への配慮が不足し、業務の難易度が高すぎるため |
26.47% |
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役職やキャリアで、スキル以上の成果を求められているため |
13.73% |
|
その他 |
12.75% |
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過度な配慮(過小評価)があり、物足りないため |
9.80% |
「配慮不足」(26.47%)と「配慮しすぎ」(9.80%)を合わせると35%を超え、方向は正反対でも、いずれも当事者の実情に即した配慮ができていないという点で共通しています。ただし、就労者全体に占める割合は3.8%(37名)です。
2. 相談体制の偏り(就労中の回答者 n=981)
仕事上の悩みや体調不安の相談先を尋ねたところ(複数回答)、「職場の上司や同僚」が54.43%で最多となりました。一方、体調面や専門的な内容を相談できる「外部の相談窓口や行政・専門家(ハローワーク、産業医など)」は10.30%にとどまり、「AI(ChatGPT・Geminiなど)」(13.66%)がこれを上回っています。身近な人間関係に次いで、AIが専門的な支援の"すきま"を埋め始めている可能性があります。
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相談できる相手・窓口(就労中 n=981、全項目・複数回答) |
割合 |
|---|---|
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職場の上司や同僚 |
54.43% |
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家族・友人・知人 |
34.15% |
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職場の相談窓口や人事担当者 |
22.63% |
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外部の支援機関スタッフ(就労移行支援、A型・B型事業所、ジョブコーチなど) |
16.92% |
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AI(ChatGPT・Geminiなど) |
13.66% |
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外部の相談窓口や行政・専門家(ハローワーク、産業医など) |
10.30% |
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その他 |
7.03% |
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取引先やクライアント |
1.53% |
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相談できる相手・窓口はない |
11.82% |
また、「相談できる相手・窓口はない」とする回答も11.82%ありました。日常的な相談先として上司や同僚が重要な役割を担っているからこそ、現場だけに対応を委ねるのではなく、人事や専門家とも連携しながら、相談を受ける側を支える仕組みづくりが求められます。
総括(まとめ)
「仕事を任せてもらえない障害者」の存在が社会的な問題として報じられることがありますが、今回の調査では、就労中の回答者のうち「仕事量が不足している」と感じている人はわずか7.34%にとどまり、多くの企業が業務の切り出しや仕事量の調整に取り組んできた成果がうかがえます。一方で、"質"の課題は主に2つの形で浮かび上がりました。1つは業務内容における「配慮の精度」で、配慮が「不足」または「過度」だったために業務が合わなかった人を合わせると35%を超えます。もう1つは「専門的な相談体制の不足」です。いずれも、配慮の設計や悩みの相談対応が、現場(上司・同僚)だけに委ねられがちな構造が背景にあると考えられます。障害者雇用においては、雇用人数や仕事量を確保するだけでなく、一人ひとりの能力・希望・障害特性に応じて仕事を設計し、継続的に対話・調整できる環境を整えることが重要です。法定雇用率の引き上げが進む中、今後は「雇用すること」に加え、「力を発揮して働けること」という雇用の質を高める取り組みがより一層求められます。
調査概要
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項目 |
内容 |
|---|---|
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調査名称 |
「障害者の就労実態調査2026」(アンケート名:「お仕事・働き方について」) |
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調査対象 |
ミライロIDユーザー(障害のある方) |
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調査方法 |
インターネットアンケート(ミライロIDアプリ内) |
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調査期間 |
2026年7月1日〜7月31日 |
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有効回答数 |
1,538名 |
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実施主体 |
ミライロ・リサーチ(株式会社ミライロ) |
※本調査はミライロIDユーザーのうち回答した方の集計であり、障害のある方全体を代表するものではありません。※複数回答の設問は、回答数の合計が母数(人数)を超えます。※構成比は四捨五入の関係で合計が100%にならない場合があります。
■ 回答者の就労状況(回答者全体 n=1,538)
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就労状況(n=1,538、「現在は働いていない」を除く内訳) |
割合 |
|---|---|
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一般企業での勤務(一般雇用枠) |
22.95% |
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一般企業での勤務(障害者雇用枠) |
21.07% |
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就労継続支援B型 |
6.63% |
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休職中 |
5.66% |
|
その他 |
4.94% |
|
フリーランス・自営業 |
4.23% |
|
就労継続支援A型 |
3.97% |
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就労移行支援を利用中 |
2.21% |
※「現在は働いていない(主婦・主夫、学生、無職、求職中など)」(28.35%)を除く内訳のため、合計は100%になりません。
■ 回答者の障害種別(回答者全体 n=1,538)
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障害種別(n=1,538、全項目) |
割合 |
|---|---|
|
精神障害 |
40.57% |
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発達障害 |
14.63% |
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下肢障害 |
11.38% |
|
内部障害 |
10.47% |
|
上肢障害 |
5.92% |
|
知的障害 |
5.40% |
|
聴覚障害 |
3.84% |
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視覚障害 |
2.80% |
|
その他 |
2.73% |
|
体幹障害 |
2.28% |
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ミライロでは、障害のある方の専門スキルやキャリア実績を正当に評価し、最適な企業へつなぐ「ミライロ・キャリア」、障害者と共に働くための知識とスキルを企業に提供する「ユニバーサルマナー検定(雇用)」を展開しています。本調査で明らかになった課題に対し、当事者・企業双方への支援を通じて「雇用の質」向上に取り組んでいます。
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株式会社ミライロ コーポレート部 広報担当
Email : press@mirairo.co.jp
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