リーガロイヤルホテル小倉のHPを、障害のある当事者の視点で監修しました

障害のある当事者の視点を活かし、ユニバーサルデザインのコンサルティングをおこなう株式会社ミライロ(大阪府大阪市/代表取締役社長:垣内俊哉)は、リーガロイヤルホテルグループの株式会社リーガロイヤルホテル小倉(福岡県北九州市/取締役社長:五弓 博文)の大規模リニューアルに合わせ、一般客室の仕様をHPで公開するための監修を行いました。今回の監修を通し、車いす使用者の「選択肢」を増やすと同時に、客室の構造をより「わかりやすく」伝えるために客室の断面図を新たに作りました。

今回、ミライロが監修したページ:https://www.rihga.co.jp/kokura/stay/room/universal-room

取り組みの背景

■背景① バリアフリー法の改正

2006年に施行された「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(通称、バリアフリー法」では、宿泊施設におけるバリアフリー対応客室の設置個数が初めて義務付けられました。さらに、2019年9月にはその一部が改正され、これまで「客室総数が50室以上の場合は、1室以上の車いす使用者用客室を設ける。」という基準が「客室総数が50室以上の場合は、客室総数の1%以上の車いす使用者用客室を設ける。」に変更となります。しかし、この基準が適用されるのは「新築又は増改築部分の客室のみ」であるため、2006年より前に建設されたホテルには設置されていないことが多いのが現状です。

リーガロイヤルホテル小倉は2006年より前に建設され、さらに今回のリニューアルは内装の改修工事であったためバリアフリーに対応した客室がありません。しかし、一般の客室に車いす使用者のお客様が泊まるケースも多かったため、まずは一般の客室の仕様を公開することで車いす使用者の「選択肢」を増やすことに着目しました。

■背景② 車いす使用者の課題

宿泊施設に関する情報発信は仕組みが整備されていないため、ホテル毎に内容が異なる、寸法などの必要な情報が掲載されていないといったケースが多くありました。その結果、「2~3日かけて宿泊できるホテルを探す」「どれだけ時間をかけても、実際に泊まると思わぬ不便に遭遇することがある」といった当事者側の課題や、「電話で部屋の詳細を聞く・伝えるのに15分以上はかかる」といった当事者と施設側、両者の負担がありました。

これらの情報発信の課題に対応するため、車いす使用者と宿泊施設側の両者が「わかりやすい」、客室の断面図を生み出しました。

監修のポイント

■「選択肢」を増やすために、一般客室の情報を公開しました

少し広めの一般客室の仕様を公開することで、車いすで宿泊されるお客様に「選択肢」を提供しています。全てがバリアフリーに対応していない客室においても、お客様の状況に合わせて、宿泊が可能かを事前に判断いただけるようになりました。また、バリアフリーに対応した客室は、各ホテルに数部屋しか設けられていないことが多く、「団体で宿泊ができない」「予約を取ることが困難」ということも珍しくありません。今回公開しているのは一般客室の2種類(108部屋)で、車いす使用者が宿泊できる確率が高まり、複数名での利用も可能となりました。

■「わかりやすさ」を追及するために、客室・共用スペースの断面図を掲載しました

文字情報・平面図に加えて、断面図を掲載することで、求める情報を探しやすく、情報の「わかりやすさ」を追求しました。

 

≪客室の断面図≫
客室を断面から見ることで、ドアの幅や、物の高さがよりイメージしやすくなりました。

 

≪客室の平面図≫
断面図からは読み取りにくい、通路の幅と物の配置を確認いただけます。

≪レストランの断面図≫
客室の断面図に加えて、1Fエントランスと2Fレストランの断面図も掲載しています。

制作者のコメント ミライロ デザイナー・藤田隆永

今回の企画・デザインは私自身の車いすでの生活における、宿泊施設の「情報発信」と「理解のしやすさ」の2つの課題意識が背景にありました。ホテルを探す際、客室が自分でも宿泊できるかを調べるための検索や問い合わせに手間がかかることが多く、「情報発信の不足」を感じていました。加えて、情報の掲載がされていても、多様な方に合わせて膨大な文字情報を掲載していることで、「情報が理解しづらい」という課題もありました。このような経験から、イラスト形式の断面図と平面図を用いた解決策を生み出しました。発信するホテル様側のWebの雰囲気に合わせたデザインで情報発信の敷居を下げると同時に、車いす使用者にとっても必要な情報にたどり着きやすく、理解しやすさに配慮した形式をご提案しました。

■本プレスリリースに関するお問合せ
株式会社ミライロ 広報部 神保
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