2024年4月からの民間事業者の「合理的配慮の提供」義務化に向け、第2回実態調査のレポートを公開! ~今後も障害のある当事者の声を集めるため、デジタル障害者手帳「ミライロID」に目安箱を設置します~

「バリアバリュー」を企業理念とし、障害のある当事者の視点から障害=バリアを取り除き、価値=バリューに転換するインフラやソリューションを提供する株式会社ミライロ(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:垣内俊哉)は、2021年10月に有識者を招いて「民間事業者による合理的配慮提供の推進委員会」を発足しています。その委員会活動の一環として、2回目となる合理的配慮の実態調査を行い、その内容をレポートとしてWebサイトに公開いたしました。
 ◇調査結果はこちら(委員会のWebサイトはこちら

合理的配慮推進委員会では、合理的配慮の提供に関する実態を把握するため、設立当初の2021年秋に約1,000名の障害者と、300の事業者へアンケートを実施しましたが、今回はその第2回として約2,000名の障害者の声を集めた実態調査レポートを公開しました。

改正障害者差別解消法の施行が2024年4月1日と決定している中で、民間事業者の合理的配慮提供義務化に備えた体制整備が求められています。そのような民間事業者が参考情報として活用できるよう、障害当事者が求める合理的配慮について意識調査を行いました。

【画像】第2回合理的配慮に関する実態調査 約2000名の障害者へのアンケート調査結果 2023年7月 民間事業者による合理的配慮推進委員会

合理的配慮の義務化は当事者の間でも認知は高くない

【画像】法律の認知度 回答者の約1/4が民間事業者の合理的配慮が法的義務になることを知っていたが、無回答者の多くは知らないことが想定でき、当事者における認知度もまだ低いと考えられる。【2つの円グラフ】左:2016年に施行された障害者差別解消法を知っていますか?(n= 2,362)の問には、詳しい内容まで知っているが8%、名前は知っているが45%、聞いたこともないが44%、無回答が3%。 右:2021年に成立した改正障害者差別解消法において、民間事業者の合理的配慮提供が法的義務になることを知っていますか?(n= 2,362)の問には、知っているが26%、知らないが71%、無回答が3.4%だった。

「2021年に成立した改正障害者差別解消法において、民間事業者の合理的配慮提供が法的義務になることを知っていますか?」という質問に対して、約1/4が「知っている」と回答したものの、障害者のある当事者の間でも改正障害者差別解消法の認知度はまだ低い状態にあることがわかりました。

合理的配慮のGOOD事例

今回のアンケート調査では、障害のある当事者にとってうれしかった合理的配慮が実践された事例を収集しました。サービス分野のみならず、雇用、教育など様々なシーンで合理的配慮が実践されていることもわかりました。まだまだ合理的配慮という言葉の認知度を高めていく必要はありますが、各業界で実践されている合理的配慮のGOODプラクティスを今後も収集し、発信していきます。

【画像】あなたが実際に受けた合理的配慮として嬉しかったことは、どのようなものがありますか?※自由記述 1.スーパーで一緒に回って、値段や商品を探して選び易くしてくれた事(50代視覚障害) 2.マニュアル通りにこの障害の人にはこう対応する、ではなく私の言葉を聞いてくれたこと。 また、それを話しても露骨に嫌な顔をしたり、ひとまず否定せず最後まで聞いてくれたこと(30代精神障害) 3.補聴器を付けていることに気づいたお医者さんが「どちらから話しかけたら聞こえやすいとかある?」と聞いてくださったとき(30代聴覚言語障害) 4. レストランに立ち寄った際、わざわざソファ席のソファを除けて、車椅子のまま飲食できるようにスペースを作ってくださったこと(10代下肢障害) 5.病院の待合室で、混雑しているからと処置室のベッドで待たせてもらえた(50代内部障害) 6. 初めて行くカフェに、事前にインスタのDMを通じて、入り口に段差があるかどうか問い合わせた際、写真付きで返答があった。わかりやすくて安心して行けた(30代体幹障害) 7. 聴覚過敏があるんですけどこの間、飲食店に行った時に先に自分が席案内されてそのあとに隣に来たお客さんが子供連れてて怖かった時に、(ご飯くる前に)「聴覚過敏あるから子供の声が怖いんですけど席かえてもらえませんか」と伝えたら快く「いいですよ」と言って席を変えてくれたこと(20代精神障害) 8. 航空会社に障害のことを話し、パニック発作が出る可能性を加味して座席を指定したところ、機内でも声かけ等のケアをしてくれた(40代精神障害)

公的な相談窓口の認知は低く、利用実態も少ない

行政がもうけている相談窓口の認知度、利用実態についてもアンケートで聞いたところ、そもそも相談窓口があることを知らない人が約7割近くにのぼり、利用したことがある方も約10%と低い水準であることがわかりました。改正障害者差別解消法では内閣府が中心となって相談窓口を明確化することが基本方針として掲げられていますが、本アンケート調査でも障害のある当事者にとって身近に、わかりやすく相談窓口が整備されるニーズがあることが浮き彫りになりました。
【画像】相談窓口の認知度、利用実態 相談窓口については半数以上が「知らない」と回答し、認知度および利用は少ない。 【2つの円グラフ】左:障害を理由とする差別的取り扱いを受 けたり、合理的配慮の不提供を感じた時に、相談窓口があることを知ってい ますか? ( n= 2,362)の問に対して、知っているが13%、知らないが67%、無回答が20%。 右:相談窓口を利用したことがありますか? ※複数回答可(n= 2,362)の問に対しては、ないが73%、ある(省庁)が1%、ある(都道府県)が2%、ある(市区町村)が6%、無回答が18%。

ミライロIDに目安箱を設置します

障害者が差別的取扱いを受けたり、合理的配慮の不提供を感じた際に、もっと身近に聞いてくれる窓口があってほしいというニーズが本アンケートをとおして多く寄せられました。そこで、合理的配慮推進委員会の事務局を務める株式会社ミライロが運営するデジタル障害者「ミライロID」のアプリ内に、「ミライロ目安箱」を設置することにいたしました。この目安箱では、障害のある方やその周りの方(家族や友人)が直面する社会的障壁や差別的取扱い、合理的配慮の不提供の事例などをお寄せいただくことができます。いただいたお声は、合理的配慮の提供の促進につながるよう、ミライロIDの導入事業者に向けて定期的に発信いたします。また、デジタル技術により実現可能な合理的配慮のアイデアを頂戴した場合は、ミライロIDの改善・改良に努めます。

【画像】「ミライロの目安箱」と書かれた周辺に、車いすやベビーカーユーザー、妊婦、白杖を持つ人などのイラストが描かれている。

ミライロIDとは?

デジタル障害者手帳「ミライロID」は、障害のある人に向けたスマホ用アプリです。カバンや財布から取り出していた障害者手帳を、スマホでパッと提示できます。
 ◇詳細ページはこちら

委員会の今後

委員会としては、ミライロ目安箱に寄せられるお声を収集しながら、合理的配慮の具体的事例を事業者向けに発信していくと共に、改正障害者差別解消法の施行に向けて相談窓口のあり方などを国や地方公共団体等、各経済団体、業界団体等へ提言してまいります。

本プレスリリースに関するお問合せ

株式会社ミライロ 経営企画部 梶尾(合理的配慮推進委員会事務局)
【E-mail】press@mirairo.co.jp
【委員会Webサイト】こちら