電話は、社内外のコミュニケーションに欠かせないビジネスツールのひとつです。
しかし、聴覚や発話に障害のある社員にとっては、「電話対応はできない」「電話が必要な場面では周囲に頼らなければならない」といった課題がありました。
こうした課題を解決し、聴覚や発話に困難のある人が自ら電話を利用できるようにするのが「電話リレーサービス」および「ヨメテル」です。
電話リレーサービスはすでに約1万9000人が利用しており、近年では企業による法人契約も広がっています。
本記事では、サービスの概要や法人契約のメリットを紹介し、また費用や導入方法について、企業担当者向けにQ&A形式でわかりやすく解説します。
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「電話リレーサービス」「ヨメテル」ってなに?
「電話リレーサービス」と「ヨメテル」は、「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」に基づき、公共インフラとして提供されているサービスです。
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電話リレーサービスは、聴覚や発話に困難のある人と、きこえる人との会話を通訳オペレータが「手話」または「文字」と「音声」を通訳することにより、電話で即時双方向につながることができるサービスです。電話リレーサービスを利用することで、周囲に電話対応を依頼することなく、自分自身で手話または文字チャットで取引先や顧客、関係機関へ電話をかけたり、電話を受けたりすることができます。

一方、ヨメテルは電話で相手先の声がきこえにくいことがある人へのサービスとして、通話相手の声をリアルタイムで文字にする電話アプリです。電話の音声を聞き ながら文字でも内容を確認できるため、聞き間違いや聞き漏れの不安を軽減できます。利用者はご自身の声で通話相手とやり取りします。
このように、電話リレーサービスとヨメテルは、それぞれ異なる方法で電話でのやり取りをスムーズにするサービスです。本人の聞こえ方や業務内容に応じて選択することができます。
両サービスともに24時間365日利用可能で、緊急通報(110番・119番・118番)にも対応しています。法人契約によって、出張先や外出先、他拠点で勤務している社員も、必要な時に電話で連絡できるようになり、緊急時や急な予定変更などにも対応しやすくなります。
利用者は、それぞれのサービス登録後に050から始まる電話リレーサービス専用の電話番号、もしくはヨメテル専用の電話番号がもらえます。
企業が導入する3つのメリット
電話リレーサービスとヨメテルを法人として契約し導入することは、「組織の成長」「採用」「経営(CSR)」の3つの側面で大きなメリットをもたらします。
①【組織の成長】業務の幅が広がり、社員のモチベーションが向上
これまで同僚のサポートを必要としていた電話対応を聴覚や発話に障害のある社員が自分自身で行えるようになるため、一人で完結できる業務の幅が大きく広がります。自立して業務をやり遂げられる環境は社員の大きな自信となり、「より会社に貢献したい」という働く意欲の向上につながります。社員一人ひとりの「できること」が増えることは、組織全体の生産性と成長を押し上げる直接的な原動力となります。
②【採用】「働きやすい職場」としての採用力の強化
障害のある社員が支障なく働ける環境をあらかじめ整えている姿勢は、求職者に対して「多様性を受け入れる開かれた企業」という好印象を与えます。単に理念を掲げるだけでなく、ツールを導入して受け入れ体制を具現化している実績を示すことで、ダイバーシティ推進企業としての評価が高まります。時代の変化に対応する柔軟な企業姿勢を提示できるため、結果としてより幅広い優秀な人材を引き付けることにつながります。
③【社会・経営】DE&Iを体現する企業ブランドの確立
2024年4月に施行された改正障害者差別解消法により、民間事業者にも障害者への合理的配慮の提供が義務化されました。両サービスの導入は、この「合理的配慮」や「情報バリアフリー」を実践する具体的な取り組みそのものです。こうした積極的な姿勢を社外へ発信していくことで、ステークホルダーからの社会的信頼が深まり、経営面や企業ブランドにおける価値を大きく高めることができます。
気になる費用と導入方法に関するQ&A
「導入したいけれど、コストや手続きが大変そう…」という担当者の方に向けて、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。
Q.初期費用や月額料金はいくらかかりますか?
A.初期費用は無料(0円)です。月額料金も1番号あたり数百円程度と非常に低コストで導入いただけます。
初期費用や登録手数料は一切かかりません。通話料は1番号につき、以下の2つのプランから選べます。頻繁に電話をかける場合は「月額料あり」プランがよりリーズナブルとなります。
|
プラン |
月額料 |
通話料(固定電話宛) |
通話料(携帯宛) |
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月額料ありプラン |
178.2/月(税込) |
5.5円/分 (税込) |
33円/分 (税込) |
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月額料なしプラン |
0円 |
16.5円/分 (税込) |
44円/分 (税込) |
Q.通話料金はどちらの負担になりますか?
A.通常の音声電話と同じように、電話をかけた側(発信者)の負担になります。
聴覚や発話に障害のある社員が電話をかける場合は、会社の負担(上記プランに準ずる)となります。逆に、外部の取引先や顧客から、電話がかかってきた場合は、発信者側の負担となります。
Q.導入にあたって、特別な機器やシステムの購入は必要ですか?
A.特別な機器は不要です。今あるスマートフォン、タブレット、PCがあればすぐに始められます。
インターネットに繋がる端末があれば、専用アプリ(スマホ・タブレット)やWEBブラウザ(PC)から利用可能です。手話通訳を利用する場合は、インカメラ付きの端末や外付けカメラをご用意ください。
Q.法人契約の具体的な導入手順を教えてください。
A.必要書類の郵送と、アプリへのログインの2ステップで完了します。
- 書類郵送による申請:電話リレーサービスまたはヨメテルの公式ウェブサイトから指定の申請書(法人用)等をダウンロードし、会社の法人確認書類(登記事項証明書など)を添えて郵送で申請します。
- 初期設定と利用開始:手続き完了後、会社宛てにサービス専用の「電話番号」と「初期パスワード」が届きます。これらを使って聴覚や発話に障害のある社員の端末からアプリへログインすれば、その日から利用開始できます。
聴覚障害社員への電話マナー研修
電話リレーサービスやヨメテルの活用により、聴覚や発話に障害のある社員も電話業務に携わりやすくなります。
一方で、相手の表情が見えない電話では、対面とは異なるビジネスマナーや言葉遣いが求められます。これまで電話を使う文化や機会が少なく、応対に不安や戸惑いを感じる社員もいるため、基本的な電話マナーのサポートが重要です。社内で新入社員研修や電話応対研修を実施している場合は、聴覚や発話に障害のある社員も同様に参加できるよう環境を整えましょう。
また、研修を実施する際には、本人に必要な情報保障(手話通訳や文字通訳など)について事前に確認し、適切な配慮を行うことも重要です。
合理的配慮とは
企業からは、「必要な配慮と言われても具体的に何をすればよいかわからない」という声をよくいただきます。合理的配慮の内容は、障害の種類や程度、業務内容、職場環境などによって異なります。また、同じ人であっても場面によって必要な配慮は様々です。
そのため、重要なのは、まず本人と対話することです。どのような困りごとがあるのか、どのような方法なら解決できそうかを話し合い、双方が納得できる方法を一緒に考えていくことが求められています。電話リレーサービスやヨメテルは、合理的配慮を実現するための選択肢のひとつです。企業としてできることと、本人が希望することを丁寧にすり合わせながら、働きやすい環境づくりを進めていきましょう。
まとめ
電話リレーサービスやヨメテルは、聴覚障害者等による電話の利用の円滑化を目的にしているサービスです。法人契約は、初期費用0円、月額も1番号あたり約178円からと、比較的導入しやすい環境整備のひとつと言えます。
導入によって社員一人ひとりの可能性が広がり、業務の幅や働くモチベーションの向上につながります。また、合理的配慮の推進や企業の信頼性向上という観点からも、大きな価値がある取り組みと言えるでしょう。
大切なのは、サービスを導入することそのものではなく、社員の状況に合わせて適切な環境を整えることです。「誰もが自分らしく働けるオフィス」を目指して、まずはできるところから環境整備を始めてみてはいかがでしょうか。
ミライロでは、電話リレーサービスの法人契約に関するご相談から申請手続きのサポート、導入後の運用相談、入社後のフォローまで対応しています。「自社に適したサービスがわからない」「合理的配慮としてどのように活用すればよいか知りたい」「申請方法について相談したい」といった場合は、お気軽にご相談ください。
画像提供:総務大臣指定電話リレーサービス提供機関一般財団法人日本財団電話リレーサービス



