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2025年07月08日

【車いすで行く大阪・関西万博】バリアフリーの状況は?実際に行ってわかったこと

ミライロ

2025年4月から始まった、大阪・関西万博について、障害のある方でも楽しめる情報をお届けします。

東ゲートのミャクミャク像と垣内の写真

目次

未来社会の実験場
入場ゲート「優先入場口」
車いす対応のパビリオン
トイレ情報
食事
まとめ

 

未来社会の実験場

大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、「People's Living Lab(未来社会の実験場)」をコンセプトとして掲げています。SDGsの達成やSociety 5.0の実現を目指すこの壮大なイベントは、2025年4月13日から10月13日まで、大阪・夢洲で開催されます。

今回の万博は、「誰もが制限なく楽しめる万博」を大きな目標としています。会場はユニバーサルデザインを徹底し、車いすユーザーが移動しやすいよう、通路幅や傾斜、休憩スペースなどが考慮されています。具体的なバリアフリーガイドラインに基づき、車いす対応トイレや多機能トイレ、点字ブロック、音声案内システムなどの導入がされています。

施設整備に関するユニバーサルデザインガイドライン(日本語版)
ユニバーサルサービスガイドライン(日本語版)

大屋根リングでの写真

先日、大阪・関西万博を訪れました。テーマや展示内容はもちろん、世界中から集まった来場者の熱気に包まれ、まさに「未来」と「多様性」を体感する一日となりました。単なる利便性を超えた、誰もが楽しめる空間づくりのための工夫が、随所に組み込まれていました。

 

入場ゲート「優先入場口」

事前にWEBサイトから入場予約を済ませ、当日は東ゲートから入場しました。平日にも関わらず、2週間前の時点で9時~10時台の入場枠はすでに埋まっており、特に週末や連休は混雑が予想されるため、時間指定の予約は必須と感じました。

ありがたかったのが、「優先入場口」の存在です。障害のある方が通行しやすいよう「優先入場口」が設けられており、スタッフの方が丁寧に案内してくれました。今回、社員やその家族と訪れましたが、私だけでなく、全員で優先入場口を利用することができました。この暑い時期に待ち時間が少なく入場できたことは、体力的な負担を軽減する上でも非常に助かりました。

社員家族の子どもと一緒に入場している写真<同行した社員の子どもと一緒に入場>

 

車いす対応のパビリオン

会場にいるボランティアさんに話を伺ったところ、各パビリオンによって優先レーンの有無や対応が異なるため、あらかじめ情報収集をしつつ、当日は現地スタッフに確認するのがおすすめのようです。

私が足を運んだフランス館でも、車いすユーザーなど何らかの配慮が必要な方向けの入場口が用意されており、安心して見学することができました。他にも車いすユーザー専用の予約枠を設けているパビリオンは多くありますので、事前に抽選で当たれば、待ち時間なく、安心して楽しむことができそうです。

車いすに乗っている私の目線の高さは、106センチです。混雑していると展示物が見えにくい場面もありましたが、通路の広さやスロープの設置、スタッフの皆さんの丁寧な対応など、様々な場所で多様な方への思いやりを感じました。

さらに、大屋根リングには、一定間隔でエレベーターが設置されており、車いすでも負担なく屋上に上がることができました。また、柵が高くなく、車いすからの目線でも、しっかりと景色を見渡せるのが嬉しいポイントです。

 

トイレ情報

会場内にはバリアフリートイレが多数設置されており、公式サイトで事前に場所が確認できたため、安心して利用できました。中は広々としており、介助者と一緒に入っても余裕があります。オストメイト対応はもちろん、おむつ交換所や授乳室など各種設備もあり、非常に充実している印象です。

大阪・関西万博会場内外トイレマップ

ただし、他のトイレと導線が一緒になっている場所では、待機列を避けながら進む必要があり、少しアクセスのしづらさを感じる場面もありました。

また、一時的な休息が必要な方のために「カームダウンルーム」も複数箇所に設けられています。実際に使用してみたところ、室内は静かで照明も落ち着いており、安心して過ごせる空間でした。場所によっては案内表示が分かりづらく、スタッフの方に尋ねないと見つけにくい場合もあります。カームダウンが必要なタイミングでは、ゆっくりとマップを確認する余裕がない場合もあるため、事前に場所を把握しておくことが重要だと感じました。

多目的トイレの写真とトイレの案内図の写真

 

食事

お昼時や夕方は混雑しているため、時間をずらし、西ゲートエリアにある店舗を利用して、休息を取りました。お店によっては、行列に並ぶのを大変に感じる場面もありましたが、全体的に通路は広く、席の配置にも余裕があり、利用しやすい印象を受けました。

レストランでタッチ決済をしている写真

また、会場内には、無料の給水スポットが複数あり、マイボトルを持参すれば、給水が可能です。自動販売機も各所に設置されており、私は、コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社が世界で初めて開発した「水素カートリッジ式発電自販機」で飲み物を購入しました。日差しが強くなるこれからの季節、こまめな水分補給ができる環境が整備されていて、とてもありがたかったです。

 

コカ・コーラの自販機で飲料水を購入する写真と水素カートリッジ式発電自販機の写真

まとめ

1970年の大阪万博をきっかけとし、点字ブロックが世界に広まりました。

55年の時を経て、今回の万博では、バリアフリーは特別なことではなく、「当たり前」になりつつあると感じました。段差のない道、使いやすいトイレ、丁寧な声かけ、それぞれは小さな工夫かもしれませんが、そこに「誰もが楽しめるように」という思いが込められていることが伝わってきました。

誰一人取り残さない社会の実現に向け、着実に前に進んでいる、そんな実感を得られたことが、何より嬉しく思います。

 

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