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2018年04月16日

障害のある当事者視点を取り入れた、ICTとユニバーサルデザイン

岸田 ひろ実

こんにちは。講師の岸田ひろ実です。

最近、国の施策やメディアなどでよく耳にするようになった、「ICT」という言葉をご存知でしょうか?
ICTとは「Information and Communication Technology」の略語で、情報処理や通信に関連する技術、産業、設備、サービスなどの総称です。今回はICTとユニバーサルデザインの融合ついて、考えてみました。

写真 パソコンのキーボードとマウス

弊社のICTへの取り組み

弊社に所属する社員の約10%は障害者です。
私の他にも、車いすを利用しているデザイナー、全盲の視覚障害や、聴覚障害のある講師がいます。

そんな弊社では、障害のある人ともに働くために、ICT機器を活用しています。
言わば、ICTは障害があることによる「コミュニケーションの壁」を解消する手段です。

例えば車いすを利用している私が毎日会社に通うには体力的な問題があります。
そこでチャットやSkypeを使い、自宅や出張先など離れた場所からでも、オフィスにいる社員とコミュニケーションを取りながら仕事ができています。

写真 岸田
↑出張先からSkypeで会議に参加する様子

視覚障害のある社員は、音声読み上げソフトや点字ディスプレイを活用し、健常者と遜色なくパソコンを使った作業をしています。聴覚障害のある社員は、音声を文字化するアプリケーションや遠隔手話通訳を活用し、社内研修や会議で積極的に発言しています。

このように、ICTが障害者のバリアを解消することで、誰もがより活躍できるユニバーサルデザインな環境をつくることができるのです。

惜しい!ユニバーサルデザインからの脱却

モノづくりやサービスを提供する上で、使い手のニーズを理解することは大切です。
残念なことに、社会に存在するユニバーサルデザインのほとんどは「惜しい!ユニバーサルデザイン」です。

過剰な配慮になっているものやコストがかかりすぎるもの、使いづらいものなどが惜しい!にあたります。
なぜそうなってしまうのかと言うと、それは、使う人のことを知らない、わからない、接した経験がないために、なんとなくの思い込みで作ってしまうからです。

これはICTにおいても同じです。障害者がどんなことに困り、どんな配慮を求めているかを、徹底的に探ることが必要です。
もしかすると、既存のICT機器やサービスに、ほんの少し工夫するだけでバリアは解消されるかもしれません。ICT機器を作るのも、使い方を教えるのも、使うのも人です。大切なことは、技術優先ではなく、まずは障害者と向き合うこと、つまりは「人と人とのコミュニケーション」です。

「障害者は、高齢者の先駆者」という表現がされています。
今後、高齢社会を迎える日本において、障害者の視点やニーズを活かしたICTのユニバーサルデザインが、誰もが快適に過ごせる新時代を切り開く突破口になると考えます。