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2019年01月24日

「車いすユーザーが活躍している!」印象を演出したい時に、押さえてほしい写真撮影のポイント

岸田 奈美 Nami Kishida

「車いすユーザーが活躍している!」印象を演出したい時に、押さえてほしい写真撮影のポイント

こんにちは、ミライロ広報部の岸田奈美です。

先日、写真素材・ストックフォトで有名なピクスタさんとコラボレーションし、「障害のある方が、企業で活躍する写真素材」の撮影会を開催しました。写真の販売は3月頃から行われるそうなので、どうぞお楽しみに。

※「PIXTA」はプロ・アマチュア問わず誰もが自ら制作した写真・イラスト・動画をインターネット上で売買できるデジタル素材のマーケットプレイス。日本を中心に、アジア各国の生活・文化に沿った豊富なアジア素材が特徴です。

「車いすユーザーが活躍している!」印象を演出したい時に、押さえてほしい写真撮影のポイント

撮影会では、さまざまな障害のある人が働くシチュエーションを撮影しましたが、最もニーズが高く、撮影枚数も多かったのは「車いすユーザーの社員が働いている風景」です。

法定雇用率の引き上げがあり、色々な企業でこういった素材は必要とされていますね。撮影会にあたって、気づいたことをまとめました。

“演じてる感”が出ると、活躍できるイメージが沸かない

障害者採用のWEBサイトやパンフレットを見た時に、違和感を感じることがあります。それは、「健常者のモデルが無理をして、障害者を演じている」ことがわかる写真です。

普段、障害者と触れ合ったことがない人なら気づかなくても、本人からすると「これはないな〜」とすぐに気づきます。明らかに被写体が間違っていると「この企業は障害者と向き合ったことがないのかな」「あまり理解してもらえないのかな」とマイナスなイメージを持ってしまうことも。

障害のあるモデル(最近は障害者モデル専門の芸能事務所も開設されましたね)に演じていただくのが、最も自然でオススメですが、予算や時間の都合で、難しい場合もあるかもしれません。

健常者のモデルが被写体になる場合は、事前に自然な動きをチェックしておく、障害のある当事者に監修してもらう、といったポイントを押さえておきましょう。

アクティブな車いすを使おう

車いすユーザーを被写体にした写真はよく見かけるのですが、その中にこういう車いすの写真があります。(ご紹介している写真はすべて、PIXTA様で販売されております)

「車いすユーザーが活躍している!」印象を演出したい時に、押さえてほしい写真撮影のポイントhttps://pixta.jp/photo/28063120

この車いすは、主に病院・福祉施設などで使われることの多い「介助用の車いす」です。最近では、スーパーやホテルなどでもレンタルできることがあります。

なんでこの車いすが撮影で使われることが多いかと言うと、単純にお安いからなんです。でも、一旦ストップ!

「ちょっとつらい時だけ利用している」「ご高齢の人が利用している」なら自然ですが、企業でバリバリ働く意欲のあるアクティブな障害者が使うことは、まれです。(もちろん、いらっしゃらないわけではありませんので、不適切な写真ではないです)

今回、私たちの撮影会で撮影した写真はこちらです。

「車いすユーザーが活躍している!」印象を演出したい時に、押さえてほしい写真撮影のポイント

https://pixta.jp/photo/47050017

どうでしょうか。関西風に言うと“シュッとしている”感じがしませんか?

この撮影会では、オーエックスエンジニアリング社(http://www.oxgroup.co.jp/)の日常用車いすをレンタルして、撮影しました。介助用の車いすと比べると、コンパクトで軽く、デザインもオシャレです。外に出てバリバリ働く、車いすユーザー歴の長い人だと、こういう車いすを利用している方が多いのです。

レンタルが難しいかもしれませんが、電動車いすという選択肢もあります。最近ではWHILL(https://whill.jp/)なども話題ですね。

車いす一つとっても、全く印象が変わってきます。TPOにあった福祉器具が映っていると、「この企業はちゃんとわかってくれるんだな」「障害のある人が働くイメージがつきやすいな」と思ってもらえます。

 

車いすは正しく乗って、正しくサポート

車いすをこいだり、誰かに押してもらったりするシーンを撮影する場合にも、注意が必要です。

・前輪(小さな車輪)が、きちんと進行方向を向いているか
車いすを一度停車させて、方向を変える時に起きがちなミスに「車輪が進行方向以外を向いている」ことがあります。ひどい時だと、真横を向いていることも。方向を変えたら、10cmほど後方にまっすぐ下がると、前輪が進行方向を向きます。

・停車している時、手はアームレストか、膝の上に
たまに、車いすをこいでいない=停車している時なのに、手がタイヤの外側に落ちていることがあります。このまま進行するとタイヤに手が巻き込まれて事故に繋がるため、不自然です。テーブルについている時は、テーブルの上に手を置いても良いですが、そうでない時は膝の上か、アームレストの上に手が収まるようにしましょう。

・車いすは正しくサポートする
例えば、誰かが手伝って車いすで坂道をくだる場合は、後ろから。のぼる場合は、前から。ユニバーサルマナー検定でもお伝えしていますが、正しい介助方法で介助しているか、きちんとチェックしましょう。

 

今回は、車いすユーザーの撮影ポイントのみ、簡単にお伝えしました。その他の障害に関する撮影ポイントも、機会があればお伝えしたいと思います。

障害のある当事者視点を取り入れて、ちょっとしたポイントを押さえると、「障害者がいきいきと働いているイメージがつきやすい企業」の写真素材になります。ぜひ、試してみてください。

※本文中で紹介しております、アクティブな車いすを使用した写真素材は、順次ピクスタさんに販売予定です!