ダイバーシティ&インクルージョンはもう古い?これからはDEI?

合澤栄美

「DEI」をご存知ですか?
日本ではまだあまり聞かれませんが、ダイバーシティ推進の方針として、この考え方を掲げる企業が欧米で増えてきています。
職場における障害者のインクルージョンという視点で、このコンセプトについて考えてみました。

グーグルも「D&I」から「DEI」へ

近年、多くの企業が「ダイバーシティとインクルージョンの推進」を経営戦略の重要課題として位置付けています。

これらの企業では、年齢、性別、性自認や性的指向、障害、国籍、文化、宗教、言語などに加え、価値観やライフスタイルなど、幅広い多様性(ダイバーシティ)を受け入れ、それぞれの人が感性や能力を発揮できる風土を作ること、新しい視点や価値を生み出すことなどを目指し、様々な取り組みを進めています。

昨今、欧米では「DEI」という考え方を掲げる企業や団体が増えてきました。
Dはダイバーシティ(多様性)、Eはイクイティ(公平)、Iはインクルージョン(包容、受容)の頭文字です。

例えば、グーグルは2019年に「DEI」担当のグローバルディレクターを任命し、ダイバーシティに関する年次報告書の2019年版で「DEI」を前面に掲げています。

なぜ、「イクイティ」?

「平等」を意味する「イコーリティ」ではなく、「イクイティ(公平)」という言葉を使っているのはなぜでしょう。

2つの違いをわかりやすく整理します。
「平等」は、すべての人に区別なく接すること、つまり、人によって対応を変えるのではなく、誰にも等しい対応をすること、と言えます。
それに対し「公平」は、他の人と同じ物や機会を提供されても、何らかの理由でそれらが活用できない状況にある人に対しては、その不利な状況を改善するために、追加の支援や配慮を行うこと、と言えるのではないかと思います。

「DEI」を経営戦略として挙げている企業は、イクイティ(公平)という言葉を選ぶことで、不利な状況にある人が感じているバリアを取り除き、誰もが活躍できる環境や機会を提供する意志を明確に示そうとしているのではないでしょうか。

「DEI」と障害者のインクルージョン

「D&I」推進の取り組みの中で、社会や職場で不自由や不便を感じている障害者に配慮してバリアを取り除いたり、サポートしたりしているので、イクイティ(公平)には触れていないけれど同様のことを実施しているよ、というケースが多いかもしれません。
特に、日頃の業務については、不自由なく実施できるような配慮が進んでいると思います。

でも、イクイティ(公平)という観点から、職場における障害者のインクルージョンを考えてみると、こんな疑問が出てきます。

・現在の部署で活躍する機会だけでなく、希望する部署への異動や昇進についても、障害のある社員に公平な機会を提供していますか?

・オンライン会議に出席している、視覚や聴覚に障害のある社員が、他の社員と同じ情報と発言の機会を得て、主体的に参加できるような工夫をしていますか?

・休憩エリアや食堂の利用、避難訓練、社内レクリエーションなどの活動においても、障害のある社員が障害のない社員と一緒にすごせるような配慮はありますか?

このように、イクイティ(公平)の実現には、あらゆる場面での合理的配慮が欠かせないことが見えてきます。

まとめ

「D&I」と「DEI」、どちらを推進している企業も、実現しようとしている職場のあり方には共通点が多いことでしょう。
どの用語を使うかは、本質的な課題ではないと思います。
ただ、「DEI」の「E」の観点から障害者のインクルージョンを考えてみることは、自分たちの職場において、真の意味で公平な機会が提供できているかを問う機会になるのではないでしょうか。


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合澤栄美

合澤栄美

株式会社ミライロ 事業推進室。 JICAに21年勤務し、60ヵ国以上を訪問。発展途上国の障害者の社会参加を推進する事業に主に携わる。 インクルーシブな社会の実現に向けた、ビジネスの役割の大きさや可能性を感じてミライロへ入社。 グローバルな事業の展開に向け、海外との接点を増やす役割を担っている。