講師の原口です。
朝晩はすっかり秋の気候となりましたが、日中はまだまだ暑さが残っているところも多いらしいですね。
少し時期が遅くなってしまいましたが、今回は視覚障害者が真夏に一人で歩く際の天敵についてお伝えします。
それは夏場、どこにいても聞こえてくるセミの鳴き声です。
視覚障害者の天敵はセミ!?
私は毎朝、オフィスまでの約15分の道を一人で歩いて通勤しているのですが、真夏はセミの鳴き声に身の危険を感じています。
私のような全盲の視覚障害者が一人で道を歩く際は、車の走行音、人の足音、自動販売機の機械音など周囲の「音」を頼りに歩きます。
しかし、セミの鳴き声と言うのは、その必要不可欠な情報である周囲の音をすべて消してしまうため、歩く際の手がかりがなくなってしまうのです。
そのため、夏場は普段は問題なく歩いている道であっても、完全に方向感覚を失いまっすぐ歩けないことや、歩道を歩いているつもりが車道に出てしまうこともあります。
周囲の人の声が歩く時の救いに
セミの鳴き声によって足音や話し声も消えてしまうため、周囲に人がいるかどうかもわからず、助けを求めようにもどうにもならないことがよくあります。
そんな時、そっと誰かが声をかけてくれるととても嬉しいのです。
点字ブロックや音響信号があったとしても、全盲の視覚障害者が必ず安全に歩けるというわけではなく、周囲のちょっとした声掛けが、必要不可欠だと痛感している今日この頃です。
実はセミが大好きだった子供時代
私にとってセミの鳴き声は歩く際の天敵ではあるのですが、実は小さいころはセミが大好きでした。
小学生の時は毎日のように虫かごと虫取り網を持って、セミ取りにいそしんでいたのです。
「見えないのにどうやって取るの?」と思われた方もいらっしゃると思います。
クワガタやカブトムシなどの虫は鳴かないので、私一人で取ることはできないですが、大きな声で鳴いているセミは唯一自分で取ることができました。
普段から音を頼りに生活をしている私は、どこから音が出ているのかを判断する能力に長けているからか、鳴き声のする方に網を振るだけでセミが取れてしまっていたのです。
見えないからこそ、セミ取りは抜群にうまかったということになります(笑)
今は一人で外出する際の天敵ですが、昔は目の見える友達と一緒に遊べ、自慢できる特技の一つであったことも事実です。
9月に入り、セミの鳴き声がなくなったので、歩きやすくなって少し安心する一方、夏の終わりを感じ、少し寂しい気持ちになります。
まとめ
今回紹介したシーン以外にも、豪雨の際は雨の音でも周囲の音が聞き取りにくいなど、季節に限らずそっとお声がけをいただくと助かる場面はたくさんあります。
では、視覚障害のある方にお声がけをされるとき、どのようにすれば適切な対応ができるのか、詳しく学んでみたい方は「ユニバーサルマナー検定」を是非ご活用ください。
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