障害を価値に変えるストーリー!“バリアバリュー”な映画3選 〜精神障害・発達障害の追体験編〜

ミライロの岸田奈美です。

ミライロの企業理念は、障害を価値に変える“バリアバリュー”です。

車いすに乗っている高さ106cmの視点だからこそ、気づけることがある。
目が見えないから、耳が聴こえないから、人と違うから、わかることがある。
そんな、唯一無二の視点で、新しいビジネスを展開しています。

今日は“バリアバリュー”の要素がある(……と私が思った)映画を紹介します。
テーマは、精神障害・発達障害です。

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

私が2014年の公開当時に映画館へ一人で観に行き、
以来、仕事・恋愛・生活すべてに向き合う姿勢が変わった映画です。
過去イギリスで実在した、天才数学者アラン・チューリングの伝記です。
劇中で語られる衝撃的な事実のために、伝記の公開には50年以上を要しました。

第二次世界大戦中、ドイツ軍の難解な暗号(エニグマ)を解読するチームの一員となりますが、天才的な頭脳を持っていても、偏屈で不器用な彼は、チーム内で孤立していきます。
アランには発達障害の一種、アスペルガー症候群の特徴がありました。後半では精神疾患を発症する様子も匂わされています。
信頼関係の構築やコミュニケーションにおけるアランの努力、
そしてチームの努力が、暗号の解読とともに報われていくストーリーは痛快です。

このイミテーション・ゲームですが、映画の内容もさることながら、
脚本家のグレアム・ムーア氏がアカデミー賞で行ったスピーチが感動的です。

「私は10代の頃から、うつ病と戦っていました。16歳の時、自殺を図りました。しかし、そんな私が今ここに立っています。私はこの場を、自分の居場所がないと感じている子供たちのために捧げたい。あなたには居場所があります。どうかそのまま、変わったままで、他の人と違うままでいてください。そしていつかあなたがこの場所に立った時に、同じメッセージを伝えてあげてください」

ここがオススメ!ポイント

●一つのことに没頭できる特性を活かし、成功していくステップが痛快
●終盤、孤独に悩む天才を支える女性・ジョーンのセリフが素晴らしい

ビューティフルマインド

2001年度アカデミー賞R主要4部門を受賞し、世界中から絶賛された名作。
こちらも実話であり、諜報活動をする天才数学者が主人公ですが、
主人公は物語の途中、極度のストレスが原因で精神疾患・統合失調症を発症します。

主人公のジョンがストレスを感じるようになったきっかけは、
社会と関わる上での“生きづらさ”でした。

ジョンは妻・アリシアに「社会に適応するのは、すごく面倒だ。僕にとっては直接的な物言いが一番楽だが、良い結果が出た試しが無い」と落胆します。
大学で過ごす彼の周りでは、空気を読んでお世辞を言う、黙っておく、
遠回しな言い方をする、といった世渡りが必要不可欠でした。
本当は、飾らない言葉だからこそ、美しく、相手に響くことだってあると思います。
でも、ジョンは変わっているからと、友人達から遠巻きにされた彼は、
どんどん孤独と渇望に苛まれていきます。

個人的に、この映画の凄いところは、“精神障害者の追体験ができる”ことです。
統合失調症の辛さは幻聴や妄想が起こること自体ではなく、
「かけがえのない大切な人や思い出が、最初から無かったと思い知ること」だということが、
物語中の衝撃を受けるほど秀逸な演出でわかります。
映画を見ている人がいつの間にかジョンと同じ立場になって、絶望を感じます。

もし、私にとって大切な家族や恋人が、全部自分が作り出した妄想だったとしたら。
精神疾患を治療することで、彼らの存在が消えてなくなってしまうのだとしたら。
私はきっと、治療を拒むと思います。一生、妄想と生きていきたい。

でも、現実はそうじゃないんですよね。

社会の中で、人と関わって、働いて、お金を稼いで暮らさなければならない。
だから、自分の障害と向き合い、妄想と現実を区別する方法を何十年もかけて訓練し、
少しずつ周囲に受け入れられていくジョンの努力に胸を打たれます。

重く苦しい展開が続きますが、最後は、愛に溢れるハッピーエンドの映画です。

ここがオススメ!ポイント

●精神障害のある当事者とその家族の苦悩と葛藤を、リアルに追体験できる
●いくつもの困難を共に乗り越えてきた夫婦が、最後に報われるシーンに涙

世界にひとつのプレイブック

ブラッドリー・クーパーとジェニファー・ローレンスが主演の映画。
公開当時は、精神障害について全く知らない観客も、
予告編で「ジェニファーがとにかくかわいい!気になる!」と劇場に足を運ぶことが多かったようです。

ストーリーも前述の2作に比べると明るく、ぶっ飛んでいる女性を演じるジェニファーと、
素直すぎる男性を演じるブラッドリーを観ているだけで温かい気持ちになります。

この2人には、共通点があります。それは「精神を安定させるための薬を飲んでいること」
そして「パートナーを失っている」ことです。
そんな彼らが、偶然にもダンス大会に出場するというストーリー。
ダンス・シーンは何度でも観たくなる完成度です。

本作の監督には、双極性障害と強迫性障害のある息子さんがいます。
障害のある子どもを持つ親の視点も描かれていて、つらい過去を、
家族と恋人と一緒に乗り越え、希望に向かっていく過程が観られます。

もちろん、精神障害と向き合うこと、薬やリハビリで症状をコントロールすることは苦しさが伴います。
綺麗事ばかりでは語れません。

でも、本作のキャッチコピーは「少しイカれたきみが、なぜか希望の光」なのです。

人と違う過去があるからこそ、誰かの希望や勇気になる。そんなことを教えてくれる映画です。

ここがオススメ!ポイント

●ブラッドリーとジェニファーのダンス・シーンにワクワクする
●障害や過去と向き合い、大切な人と歩んでいく温かいストーリーに勇気をもらえる


 

多様な方々が生きる現代において、自分とは違う誰かの視点に立つということは大切です。映画なら、ストーリーを楽しみながら、障害のある人の生活を追体験できますね!

岸田 奈美Nami Kishida

株式会社ミライロ 広報部長

12歳の時にベンチャー企業を経営する憧れの父親が心筋梗塞による突然死し、17歳の時に母親(岸田ひろ実)が過労による大動脈解離に罹り緊急手術。後遺症で下半身麻痺・車いす利用者となった母が生きやすい社会へと変えることを目標とし、株式会社ミライロに創業メンバーとして加わった。現在は広報部長を務め、数多くのメディアで経営理念である「バリアバリュー(障害を価値に変える)」を広めることに成功。