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2020/11/26

今話題の電話リレーサービスって?

ミライロ・コネクト

「電話リレーサービス」という言葉をご存知でしょうか?

聴覚障害者の間で、最近メジャーとなっているキーワードです。
このサービスができたことで、聴覚障害者のコミュニケーションの幅が広がり、社会参加の可能性が飛躍的に伸びました。

そして今年6月、国会で、電話リレーサービスを国の公共のサービスとするための新しい法律が可決、成立しました。
電話リレーサービスとは何か、現状と必要性、またサービスの今後についてお伝えします。

「電話リレーサービス」とは

電話リレーサービスとは、聞こえない人・聞こえにくい人と聴者を、通訳ブースにいる通訳オペレーターが、リアルタイムにつなぐサービスです。
通訳オペレーターは、聴覚障害者とビデオ通話やチャットでつながり「手話」や「文字」でやり取りします。
かけ先となる聴者とは電話の音声通話で話しをして、通訳していきます。

聴者の皆さんにとっては、「電話」を使うことが日常の一部となっていて、その利便性にピンと来ないかもしれません。
でも、聴覚障害者は、このサービスのおかげで、自分の好きなタイミングで好きなところへ連絡ができ、情報をすぐに伝え、受け取ることができるようになりました。

このサービスができるまで、聴覚障害者のみなさんが電話をしたいと思った場合、どうしていたのでしょうか?
どんなことにバリアを感じてきたのでしょうか?
そんな例を少し挙げてみます。

①ちょっとした連絡ができない

たとえば、急な発熱で仕事を休まなければならない、保育園への子供のお迎えに少し遅れてしまう、お店や病院が開いているか確認したい…。
耳の聞こえない人は、そんな連絡や問い合わせのための電話を簡単にかけることができません。
メールやFAXで連絡することもありますが、すぐに返事が返ってこないことも少なくありません。
また、話しながらの相談もなかなかできずに困ることがあります。

②周囲の人に代わりに電話してもらう

どうしてもすぐに連絡を入れなければならない場合、家族や友人にお願いをして電話をかけてもらわなければなりません。
近くに家族等がいなければ、手話通訳者が常駐する市役所等に行ったり、近くに住む手話通訳者を訪ねたりして、電話での連絡をお願いをすることもあります。

③「通訳」をしてもらえないことも少なくない

「手話ができる」家族や友人に電話をしてもらっても、「手話通訳をしてもらえる」とは限りません。
分かりやすく言えば、「英語が話せる」と「英語通訳ができる」とは、全くの別物ですよね。
通訳をするには、特別なスキルが必要となってくるのです。
電話をかけた相手が、家族や友人と直接話しを進めてしまい、聴覚障害者本人がそのやりとりがわからず、質問や確認をすることもできないまま、電話が終わってしまうこともあります。

聞えない人たちが、日常で感じるこういった不便さやバリアを、この電話リレーサービスを使えば、解消することができます。

その場に行かなくても電話をかけられるようになったことは、聴覚障害者にとって、大きな社会参加のきっかけとなりました。

 

電話リレーサービスはどのように使うのか、システムを簡単に説明します。

聴覚障害者が電話をしたいと思ったら、自分のスマホやタブレット、PC等を使って、ビデオ通話またはチャットが可能なシステムで、通訳オペレーターにアクセスします。

通訳オペレーターは、聴覚障害者が連絡をしたい相手方(かけ先)を伺い、そこへ電話をかけます。

聴覚障害者とかけ先、通訳オペレーターの三者がつながったところで、通訳オペレーターは、聴覚障害者が手話や文字で伝える内容を音声に変え、かけ先が話す音声を手話に翻訳し、三者間を繋いでリレー通訳を行います。

※下記イメージです。

イラスト 聴覚障害のある利用者と通訳するオペレーターとかけ先が話す様子

 

電話リレーサービスの今後

聞こえない人が自由に使える電話リレーサービスは、世界25ヶ国以上で、公的サービスとして提供されています。

日本では、2011年から民間の公益法人日本財団がモデル事業として実施していましたが、この2020年6月5日に成立した法案をもとに、2021年4月以降、総務省管轄の公的サービスに移行することが決定しました。

公的サービスとしての制度化にあたり、よりよくなることと、今後、課題となる点を簡潔にまとめてみます。

【改善されるであろう内容】

(1) 24時間365日電話をかけることが可能。
日本財団電話リレーサービスでは、8時~21時の時間帯で対応をしていますが、今後はいつでも必要な日、時間に利用できるよう整備を行っています。

(2) 緊急通報(110番、119番など)への連絡。
現状、位置情報が確認できない等といった理由から、緊急通報は対応していません。
でも、聴覚障害者の命にかかわる緊急通報も、関係者の尽力により、可能な仕様になる予定です。

(3) 聴覚障害者と聴者とで双方向のやりとりが可能。
日本財団電話リレーサービスでは、聴覚障害者からの発信しかできませんでした。
今後は、聞こえる人達が連絡を取りたい場合に発信できるように技術開発を進めると思われます。

【課題となる点】

(1) 手話通訳者の増員・確保
最近テレビニュース等で手話通訳者を見る機会が増えていますが、実際その人数は多くありません。
厚生労働省認定の手話通訳技能認定試験に合格した手話通訳士の資格所有者は、全国で僅か3,830名しかいません。
この試験に受かるまで10年ぐらいの歳月がかかると言われています。

(2)オペレーター技術の向上
オペレーターには、言語通訳としての技術だけでなく、電話応対のスキル、臨機応変な判断力、コミュニケーション能力など様々な技術が求められます。

(3)電話を受ける聞こえる人たちへの理解の促進
電話リレーサービスを利用して電話をかけたときに、勧誘や営業の電話だと思い、電話をすぐ切られることも多くあります。
電話リレーサービスの存在を社会に周知し、認知してもらう必要があります。

まとめ

今回は聴覚障害者の「電話リレーサービス」についてご紹介しました。

電話リレーサービスは、これまで、聴覚障害者を取り巻く環境に大きな変化をもたらしました。
来年の4月までの間に、電話リレーサービスは大きな転換期を迎えます。

今後、聴覚障害者からの電話が当たり前になり、今までとは異なる対応を迫られることも増えるでしょう。
対策を進めたいという企業様からのお問い合わせも増加しています。

聴覚障害者が安心して生活できる社会を創るため、ミライロは聴覚障害者の情報保障の必要性を社会に発信していきたいと考えています。


ミライロ・コネクトでは、聴覚障害の方の情報保障に関するサポートも行っています。
UDトークの活用方法など、詳しくお伝えすることが可能です。
情報保障に関するお困りごと、電話リレーサービスについての質問等、お気軽にお問い合わせください。詳しくはこちら

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