一般の方向け ミライロのサービス 情報保障 お知らせ
2021年01月13日

企業に求められる電話リレーサービスって?

ミライロ・コネクト

前回のブログで、電話リレーサービスとはなにかについてお伝えしました。
※前回のブログ「今話題の電話リレーサービスって?」はこちら

今回は、日本財団電話リレーサービスを利用する中での課題について説明をしたいと思います。

企業専用の電話リレーサービスのメリットについて

現在、日本財団が2021年3月までの間、モデルプロジェクトとして電話リレーサービスを行っています。
また、全国16箇所の通訳センターがあり、日々通訳業務を行っています。

聴覚障害者のコミュニティの中でも、この電話リレーサービスは広く認知され、ひとりひとりが好きなタイミングで必要なところへ電話をかけられるようになってはいるのですが、実際には高い「壁」があることもご存知でしょうか。

それは、企業に電話をかけた際の個人情報・本人確認についての「壁」です。

特に聴覚障害者が困っているのは、金融業界(銀行・クレジットカード・保険等)です。
多くの金融系企業では、契約者様からの電話でお問い合わせがあった場合、初めに本人確認を行います。
これは、契約内容にまで踏み込んだご案内をするために、金融業界としては一般的なことで、セキュリティやリスク回避の観点から必要と考えられていますが、これが、手話通訳者を介して電話をする聴覚障害者にとっては「壁」となってしまいます。

例えば、下記のようなシチュエーションが考えられます。
聴覚障害者の方が住所変更を希望されており、電話リレーサービスを介して、A社に連絡をするという場面です。

聴覚障害者)住所変更をしたいです。

A社)本人確認が必要なので直接電話をしてください。

聴覚障害者)電話ができないので手話通訳者を介して電話をしています。

A社)通訳者は本人ではないので、対応をできかねます。

聴覚障害者)話しているのは、聴覚障害者本人です。

A社)でも、手話通訳者が話をしているので本人確認ができません。

聴覚障害者)じゃあ、どうすればよいのでしょうか?

A社)ご家族で電話ができる人がいますか?

聴覚障害者)いません。

A社)電話での対応はできかねます。申し訳ございません。お近くの事業所までお越しください。

聴者には電話でご案内が可能なのに、聴覚障害者は対応してもらえない、また、事業所まで行かないといけないと案内されるケースもあります。
こういった対応は、障害者差別解消法が施行された現在において、聴覚障害者にはどう思われるでしょうか。
ルールとは理解していながらも、素直に受け止めるのは難しいことでしょう。
一方で企業にとっては、電話リレーサービスのどこの事業者からかかっているのか?本当に電話リレーサービスからなのか?等、不安に思うこともあるかと思います。

このような問題を解決するために、現在、自社専用の手話や文字によるリレーサービスを開設する企業が増えてきています。
企業と手話・文字通訳を提供するサービス事業者が契約を交わし、企業は特定の事業者を介してのみ、電話対応を受けられるようにしています。
企業間で秘密情報保護等についても明示した契約書を取り交わし、専用ダイヤルを設けることで、企業側のリスクを軽減し、且つ、聴覚障害者にも安心して対応できるような体制を整えています。

企業専用の電話リレーサービスは、どのように使うのか、システムを簡単に説明します。

聴覚障害者が電話をしたいと思ったら、自分のスマホやタブレット、PC等を使って、契約している企業のWebサイト等のご案内に従い、特定のアプリやシステムを使って、専用のアカウントにコール、通訳オペレーターにアクセスします。
通訳オペレーターが、問い合わせ内容を確認し、企業のお問い合わせ窓口に電話をかけます。
電話リレーサービス同様、聴覚障害者と企業ご担当者、オペレーターの三者がつながったところで、オペレーターは、聴覚障害者が手話や文字で伝える内容を音声に変え、かけ先が話す音声を手話に翻訳し、三者間を繋いでリレー通訳を行います。

画像 電話リレーサービスのイメージ

弊社が企業向けに提供するサービスでは、「電話リレーサービス」ではなく「手話リレーサービス」等の名称を用いることが多いです。

是非、聴覚障害者の皆様はご自身が契約している企業で導入されているか確認をしてみてください。

まとめ

今回は「企業専用の電話(手話・文字)リレーサービス」についてご紹介しました。
電話リレーサービスが公共インフラとなった後でも、電話をかけた際の本人確認や個人情報の問題は、当面継続する可能性が高いと考えています。
ただ、いつか電話リレーサービスが社会一般に認知された時、手話通訳者を介しての本人確認を認められるようになれば、この手話・文字リレーサービスの必要性は低くなるのかもしれません。
手話・文字リレーサービスは、今ある聴覚障害者と企業側のバリアを解決するための方法の1つでしかありません。社会の変化に伴い、企業の聴覚障害者に対する対応方法も日々変わってきています。また、障害者差別解消法が施行された現在、聴覚障害者への情報保障の方法やあり方も重要視されています。
聴覚障害者が安心して生活できる社会を創るために、ミライロでは聴覚障害者と聴者がよりよいコミュニケーションを取れる情報保障のあり方を、考え、提案していきたいと考えています。

 

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