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2024年05月27日

ユニバーサルデザイン住宅【人生100年時代の住宅シリーズ②】

藤原 修

前回の記事『持続可能な住宅の提案【人生100年時代の住宅シリーズ①】』はこちら

・住まいを購入するときは、いま満足できるものを選択することが重要
・介護については必要になったときに考えればいい
と思っている人がいるかもしれません。


確かに、介護保険のメニューには「住宅改修」が盛り込まれています※。
しかし現在の介護保険では住宅改修の費用は20万円以内で、対象となるのは手すりや段差解消程度です。家の間仕切りの変更やホームエレベーター設置などは対象となりません(支給額や条件など詳しくは厚生労働省のサイトをご確認ください)。

本当に必要な改修には実費が不可欠です(地方自治体によっては20万+αの費用が出る場合もあります)。


※参考1:厚生労働省「福祉用具・住宅改修」ページ「介護保険制度における住宅改修の概要」
※参考2:介護保険法第45条「居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について」

画像 車いすを押している様子の人形
リフォームは決して安いものではありません。介護が必要になった頃、住宅ローンは完済していたとしても、リフォーム代の支払いまでは困難なことがあります。結果、住み続けることができなくなり、住み慣れた家を離れて施設入所が決まるケースが多く存在します。


思い出の家は空き家となってしまいます。特に、駅から遠い地域にある住宅街では空き家が一気に増加することが予想されています。空き家が増えるということは、その地域に住む人が減っているということです。

そうすると、その地域の活力が低下するだけでなく、道路や水道、電気といったインフラを維持することが難しくなってしまいます。他にも、スーパーや銀行、クリニックなど、生活に欠かせない施設の撤退も起きてしまい、その果てには、頼りの綱の公共サービスも受けられない状況に陥ります。


そんな状況を解決する方法があります。前回も触れた「世代を超えて長く住める住宅」です。世代というのは、ご自身のお子さんやお孫さんだけではありません。賃貸や売りに出す手もあります。

長く住める住宅はその家族だけの問題ではなく、世代交代を重ねることでその地域の発展にも寄与するキーワードでもあります。


若い人も年を重ねた人も満足できる唯一の方法が「ユニバーサルデザイン住宅」です。
2回にわたってお届けしたプロローグはここで終わりです。次回から具体例をお伝えします。お楽しみに!

※福祉用具や住宅改修に関する詳細は、厚生労働省のサイトやお住まいの自治体のサイトをご確認ください。