企業の方向け 一般の方向け 聴覚障害者・聴者へのサポート
2021年06月03日

聴覚障害学生へ、大学のオンライン授業の文字情報支援を行いました

ミライロ・コネクト

2020年11月から2021年1月までの間、青山学院大学のオンライン授業において文字情報支援を実施いたしました。
そのきっかけと情報保障の内容、結果についてお伝えします。

きっかけ

2020年、ミライロでは新型コロナウイルスの流行に伴う「障害のある学生への授業環境」を調査しました。


詳細については
こちらをご確認ください。


この調査で「聴覚障害学生のリモートでの対応に課題感がある」と回答した大学に聞き取りを行ったところ、青山学院大学から以下の課題が上がってきました。
・2019年にUDトーク※の契約をし、先生方には利用の案内をしているものの、サポートが不十分である。
・UDトークの利用がうまくいかない授業があり、対応に苦慮している。
 ※UDトーク…音声を文字に変え、聴覚障害のある方とのコミュニケーションを円滑にするアプリ

そこで、ミライロから以下を提案しました。
・リアルタイム型オンライン授業にUDトークの編集担当者をつける※
 (UDトークでは音声認識結果に誤変換があった場合、それを修正することができます)
・オンデマンド授業では、編集担当者をつけず、人の手で直接文字起こしする
・その他、UDトークの効果的な活用方法についてアドバイス

※授業形態は2種類
①リアルタイム型オンライン授業・・・遠隔会議システムを利用し、教員と学生がリアルタイム接続した状態での授業
②オンデマンド授業・・・事前に撮影した講義映像が共有され、期限内に視聴する形式の授業

 

画像 ミライロからの提案内容の図 詳細は上記に記載済みです

情報保障の内容

大学と弊社との話し合いの結果、2020年度後期授業のうち、UDトークの利用で十分に内容が理解できると思われる授業を除いた4科目の授業について、上記提案に基づく文字情報支援を行いました。文字情報支援を担ったのは、ミライロの要約筆記者です。

リアルタイム型オンライン授業(1科目)

UDトークの自動音声認識により文字に変換された文章や単語の一部修正を行いました。担当したのは1科目のみです。映像資料を用いる場面があったり、教員が複数名参加し、同時に話をするためUDトークの認識率が落ちたりする場合があるとの理由からでした。

オンデマンド授業(3科目)

以下の3科目を担当しました。
1.毎回異なる教員が講義を行うため、UDトークの認識率が事前に確認できない授業
2.数学系の授業で、記号や数式の口頭での説明が多く、UDトークでは充分に対応しきれない授業
3.担当教員が母国語が日本語でないため、UDトークでうまく認識がされない授業

学生さん自身は映像への字幕付けを希望されていましたが、時間的な制約や料金の問題等があり、最終的にWordにタイムコード(時間の表記)付きで文字起こしをするということになりました。

現場の声

大学のご担当者様

「本人は今まで文字サポート等を受けてきた経験がないため、何をどうしてもらえばいいかも分からなかったようだ。アドバイスを受けてUDトークの認識率も向上したようなので、授業が理解しやすくなったんじゃないかと思う。」

「特に母国語が日本語でない教員の授業は、UDトークだけでは意味がつかめなかったらしく、文字起こしは大変助かったと聞いている。」

ミライロの要約筆記者

「大学の授業は専門用語が多く出てくるため、苦労した部分もありました。基本的には話し言葉をそのまま文字起こししましたが、指示語は何を指しているのか分かるように説明を加えたり、外国人の先生の授業では多少読みやすい日本語文を意識して書き起こすようにしたり等、工夫のしがいがある内容でした。私はたまたま利用学生さんと同じ学部出身のため、聞き覚えのある専門用語が出てくると、少し懐かしくも思いながら文字起こしをすることができました。少しでもお役に立てたのなら嬉しいです。」


今回は、サポートが可能な範囲に制約があったり、映像資料に文字情報が不足していたりと、大学として完璧な対応は難しかったものの、聴覚障害学生のために機材の購入や提供をしたり、音声が文字に変換されるかどうか、授業開始前に教員の皆さまが確認協力をしてくださったり、自ら動画に字幕を挿入してくださる教員の方がいらっしゃったりと柔軟にご対応いただいた印象でした。

しかし現在のところ、課題を抱えている大学は多くあり、各大学において聴覚障害学生に対する文字による支援はまだ十分な状況にあるとは言えません。

また、文字による支援と言っても、手書きノートテイク・パソコンテイクなど様々な手法があります。どのような手法を利用するとしても、その手法に対する大学側や教員による理解と配慮は不可欠です。また、このような手法は聴覚障害学生のためだけに実施されるものではなく、学生全体や教員自身の授業成立のためのサポートでもあるということをご理解いただければと思います。

すべての学生が安心して授業を受けることができる、授業の内容に集中できる、そんな環境をミライロ・コネクトは広げていきます。

お問い合わせ先

株式会社ミライロ コネクトチーム


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