政財界のトップリーダーが集まり、環境や産業など国際社会の重要な課題を議論する、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)。2019年に開催されたダボス会議のメインステージで初めて取り上げられ、2020年以降も継続してプログラムに含まれることになったテーマがあります。それは、ビジネスにおける障害者のインクルージョン。この新しい国際的な潮流についてレポートします。
グローバルなビジネスリーダーは行動を始めている
2019年のダボス会議で立ち上げられた国際的なムーブメント「The Valuable 500」が、各国の著名なビジネスリーダーの賛同を集めています。これは、インクルーシブな社会を実現するためには、ビジネス活動がインクルーシブであることが不可欠であるという考えのもとに始められた取り組みです。「The Valuable 500」の理念に賛同し、自社のビジネスにおいて障害者のインクルージョンを進めていくという意思のある企業のトップは、以下の3つのアクションを遂行することを約束する文書に署名します。
・取締役会で障害者のインクルージョンに関する議題を取り上げる
・障害者のインクルージョンを進める具体的な行動を実施する
・これらの取り組みについて社内外に発信します
世界で500人のビジネスリーダーの賛同を集めようとするこの取り組み。24カ国から262社(2020年4月27日時点)が加盟しており、Google、IBM、P&G、マスターカード、シェルなど、様々なセクターの有名企業が名を連ねています。グローバルなビジネスリーダーは、障害者インクルージョンの意義を認識し、その推進にコミットしているのです。
障害者インクルージョンにより生まれる価値
「The Valuable 500」の加盟企業の多くは、障害者の雇用を推進し、誰もが活躍できる職場を作るための環境整備や社員教育などを進めています。また、障害の有無に関わらず全てのお客様を迎えることができる売り場作り、自社が発信する情報に誰もがアクセスできるような情報保障など、幅広い活動を実践しています。
企業がこのような活動を進める背景には、障害者インクルージョンが企業にもたらす価値があります。市場としての可能性を示す以下の統計をご存知でしょうか。
・世界人口の約15%、10億人以上が障害者であり、大きなマーケットを構成している
・障害者とその家族、友人の購買力は年間8兆ドルに値する
また、よりインクルーシブな企業は、収益面でもより良い結果を出しているという、アクセンチュアによる調査結果もあります。
・障害者インクルージョンを積極的に推進している企業は、そうでない企業と比べ、売上高で+28%、純利益で2倍、利益率では+30%の高い成績を上げている(調査対象期間の年間平均数値)
さらに、アメリカの企業を対象とした調査からは、障害のある従業員に配慮した企業の多くが、人材の定着、職場全体のコミュニケーションの向上などの効果を実感したことがわかります。
・障害のある従業員が働きやすいように配慮したことによる効果
貴重な人材の定着につながった 89%
従業員間のコミュニケーションが促進された 63%
会社全体の生産性が向上した 55%
職場の安全性が改善された 46%
このように、障害者のインクルージョンは企業価値を高めることにつながりますが、何よりも大切なのは、障害の有無に関わらず、誰もが平等に活躍の機会を得るために必要な合理的配慮を提供することは、企業の責任であるという認識です。それなのに、多様性やインクルージョンに関する方針の中で、障害者のインクルージョンを重要課題として位置付けている企業は全体の4%しかありません。ビジネスリーダーが認識し行動することが社会を変える。「The Valuable 500」創設の背景には、このような問題意識があります。
国際的ムーブメントに日本企業も次々と参加!
2020年4月27時点で、16の日本企業の代表者が「The Valuable 500」賛同文書に署名しています。日本は、イギリス、アメリカ、イスラエルに続いて、参加企業の数で世界4位です。
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
全日本空輸株式会社
大和ハウス工業株式会社
日本航空株式会社
花王株式会社
株式会社京王プラザホテル
KNT-CTホールディングス
丸井グループ
三菱ケミカル株式会社
三井化学株式会社
日本電気株式会社
日本電信電話株式会社
塩野義製薬株式会社
ソフトバンク株式会社
ソニー株式会社
TOTO株式会社
(英文企業名アルファベット表記順)
各社のコミットしたアクションの内容は、こちらのサイトの各社のロゴをクリックするとご覧いただけます。
まとめ
障害の有無にかかわらず、すべての人が活躍できる職場や社会の実現に向けて、世界のビジネスリーダーが行動を始めています。「障害者インクルージョンの革命を起こそう!」という「The Valuable 500」のムーブメントに、あなたの企業も参加しませんか?
「The Valuable 500」への参加にご関心がある企業のご担当者様
※従業員数1,000人以上の企業が対象です
INCLUSION FOR INNOVATION
~ミライロ会社説明資料~
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