「様々な方から施設についてご意見をいただくので、何から手をつけたらいいかわからない」
「ある人の意見によってどこかを改善したら、他の利用者にとって逆に不便にならないか心配」
施設管理をされている方々や多様なお客様と接する方々からよく耳にするお悩みです。
例えば、
「視覚障害のお客様からお声をいただいて点字ブロックを敷設しようと計画しているが、車いすユーザーやベビーカーユーザーの方にとって不便にならないか」といった具合です。
時代の変化とともに建物の基準も変わり、施設改修時にはどこまで着手すべきか判断に迷われるケースもあるかと思います。
今回は施設改修時におけるユニバーサルデザイン視点での課題把握と優先順位のつけ方についてご紹介します。
多様な利用者を想定して課題を洗い出す
まずは現況を把握するため、障害当事者の実際の利用を想定し、施設利用の一連の流れを組み、課題の抽出を行います。
課題として既に挙がっているポイントだけを確認するのではなく、自然な流れで施設を利用してみることで、実際の利用者が感じる印象と同じ課題を抽出することができます。
その際には、一つの障害種別だけでなく、肢体不自由の方、視覚障害の方、聴覚障害の方など、多様な利用者を想定した視点で抽出することが大切です。
課題だけでなく良い点も洗い出す
施設改修時には課題に目が向くことの方が多いですが、それと同時に良い点も洗い出すことをお勧めします。
利便性の高い箇所や満足度が高い箇所を抽出することによって、今後の施設づくりの参考になりますし、日々施設を管理している方のモチベーションアップにも繋がります。
優先順位をつける
現地調査にて課題と良い点を洗い出した後は、優先順位をつけます。
弊社が施設改修時に一番優先度が高いと考えているのは「利用者の安全性」に関わるような箇所です。
思わぬ事故などを未然に防げるように、危険性がある箇所については改修の優先度を高くお伝えしています。
その他、施設の利用目的を達成できるか、快適に過ごせるか、といったことも優先順位をつける判断軸となります。
ユニバーサルデザインは一朝一夕にはいかない
現況を把握する際には、様々な課題が出てくるかもしれません。
しかしながら、それらすべてを改修するとなると多くの費用や時間がかかってしまうことも実情です。
また、施設をつくっていく上では多種多様な検討事項があり、ユニバーサルデザインというのは施設づくりにおける1つの要素でしかないかもしれません。
だからこそ、私たちは1つ1つの小さな積み重ねが大事だと考えています。
また、ハード面の課題であっても、情報の発信の仕方やソフト面で、費用をそれほどかけずにカバーできることがたくさんあります。
ハードは変えられなくてもハートは今すぐ変えられます。
多面的な視点でユニバーサルデザインを継続して取り入れていくことが重要です。
≪関連記事≫
・「バリアフリー化」と「ユニバーサルデザイン化」の違いは?