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2020年05月14日

「バリアフリー化」と「ユニバーサルデザイン化」の違いは?

苫米地 麻衣

施設改修を検討する際、「そもそも、バリアフリーとユニバーサルデザインの違いはなんだろう?」と迷ったことはないでしょうか。
そこで、この記事では施設におけるバリアフリー化とユニバーサルデザイン化の違いは何なのか。
また、どちらの考え方をより取り入れるべきか、ご紹介していきます。

バリアフリー化により新たに起こる問題とは

バリアフリーとは、「高齢者や障害者が社会生活を送るうえで、障壁となるものを取り除く」という考え方です。
具体的な例として、階段や通路への手すり設置、階段昇降機の設置、段差に対してのスロープ設置などが挙げられます。
日本では、法律で定められた基準を施設計画に取り入れることで、普及してきました。
また、高齢化が進んだことも積極的にバリアフリー化が行われてきた理由です。
このことから、バリアフリーは障害者や高齢者にとって、外出機会を増やすための有効的な手法として認知されています。

写真 バリアフリー化のために設置されたスロープ

 

しかし、一部のバリアフリーが、障害者や高齢者への特別扱いを助長させていることが問題となっています。

それは、障害を強調するバリアフリー(車いす昇降機などの特別扱いで注目を受けるなど)や、障害を隠すバリアフリー(他人と全く違う移動経路など)です。
バリアフリー化を進めることで新たに生まれる問題についても、一度考えてみてはいかがでしょうか。


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ユニバーサルデザインは比較で考える

障害のある人にとってのバリアを解消するのではなく、最初からバリアを生まないようにする
この考え方から生まれたのが、ユニバーサルデザイン(以下、UD)です。

UDとは「すべての人々に対し、その年齢や能力の違いに関わらず、可能な限り最大限に使いやすい製品や環境のデザイン」のことです。

具体的な例として、エレベーターの設置、ピクトグラムや色彩(コントラストが大きいもの)を用いた情報サイン、自動ドアなどが挙げられます。
UDがバリアフリーと大きく異なる点は2つあります。


①バリアフリーは一部の人が対象であるのに比べ、UDはすべての人が対象であること。
②バリアフリーのように特定の基準がなく、「ここまで行えばUD」という明確な答えがないことです。

しかし、すべての人のニーズに対応することは不可能に近いことです。
そこで、UDでは試行錯誤の中からよりよいものを『比較』して検討を行います。
実際、施設をUD化する際は、障害のある当事者を含めた利用者とともに検討していく必要があります。

ユニバーサルデザインはだれもが同じように行動できる

上記でお伝えしたように、UDは「すべての人々に対し可能な限り使いやすいデザイン」のことです。
広い視点でみると、バリアフリーはUDの一部でもあります。

しかし、一部の障害を強調する・隠すといったバリアフリーによって、目的地は一緒であるにもかかわらず、ともに外出している人と途中で同じように行動できなかったら…
自分の大切な人を思い浮かべてみてください。

UDの考えでは、目的地まで誰もが同じ道のりを歩むことができます。

写真 車いすユーザーと障害のない人が一緒に歩く様子

まとめ

以上、施設改修におけるバリアフリーとUDの違いについてご紹介しました。
知っているようで知らない言葉やその違い、またどういった視点でUDに取り組めばいいのか、少しでも参考になれば嬉しく思います。

誰もが同じように行動できる社会・施設・場所をつくる。
この機会に考えてみてはいかがでしょうか。

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