図面・サイン計画から利用者視点を入れる必要性
新規に計画される施設や改修を予定している施設について、多様な利用者の視点を取り入れながら図面やサイン※等の計画を行うことが、今求められています。
※サイン…トイレの位置を示すマークや禁煙のマーク、看板、案内図などのこと
国土交通省「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」においても、計画段階から利用者が参画する必要性が書かれています。計画時からユニバーサルデザインの視点を取り入れ、はじめからバリアを作らないことは、利用者の門戸を広げるばかりか、後々の改修費用や問い合わせ数を減らす等の管理コスト削減にも繋がります。
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基準にない視点も
一般的な建物に共通する出入口やトイレ等の設備であれば、バリアフリーやユニバーサルデザインの基準が設けられていることが多くあります。しかしながら、職場や学校における食堂や各施設特有の設備等にはそういった基準が無かったり、また基準があっても、細部が見落とされて施設の利用目的を達成できなかったりするケースが存在します。すべての人が施設の利用目的を達成できるよう、利用者の視点を取り入れることが大切です。
利用者視点があれば、より利便性が高まったであろう事例を紹介します。
例①点字ブロックが敷設されているものの、視認性が低い
点字ブロックが敷設されているにもかかわらず、周囲の床面とのコントラストが低く、点字ブロックを必要とする方が利用できないといったケースがよくあります。点字ブロックはその凹凸だけでなく、色も重要な要素です。視認性を高めることにより、全盲の方だけでなく、弱視※の方も点字ブロックがあることを認識し、円滑な経路を選択できます。既存の点字ブロックと周囲の床を変えることが難しい場合には、点字ブロックの両脇にラインを加えることで、視認性を向上させることが可能です。
※弱視…何らかの原因により視覚に障害があることで「視力の低下」「まぶしい」などの見えづらさがあり、生活に困難を感じている状態。「ロービジョン」と呼ぶこともあります。
例②サインの設置位置の兼ね合いにより、必要な情報が得られない
フロアマップ等の、情報を得る際に近くで確認する必要があるサインについて、車いすユーザーや視覚障害者などの視点が反映されていないケースがあります。フロアマップの位置が高すぎて、車いすユーザーや低身長の方が見づらい状態になっている。一方で、弱視の方は顔をサインに近づけてマップを確認する必要がありますが、低すぎるサインの場合は身体に負担がかかることもあります。
これらはいずれも利用者視点があれば改善が可能であったケースです。特にサインにおいては、周りの環境と調和しながらも、必要な方に必要な情報を届けることが求められます。また、構造的に改修が難しい部分においても、サインによって情報を補うことで、円滑な利用を促進することも可能です。
最初から100点満点を目指さない
環境面の改善と聞くとどうしても「改修」や「費用がかかる」イメージをお持ちの方もいると思いますが、少しの配慮で大きな利便性に繋がることもあります。最初から100点満点を目指すのではなく、日々利用する方々の視点を取り入れながら、更新していくことが重要です。
そうは言っても、計画のどの段階でどのようにして利用者の意見を取り入れていくべきか、迷われることも多いと思います。私たちミライロは、多面的な空間づくりのコンサルティングを行っています。
ぜひ、お気軽にお問合せください。
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