高齢者や障害者など、バリアフリーやユニバーサルデザインを求めている人は、日本の全人口の1/3にもなります。
また、2021年には東京オリンピック・パラリンピック、2025年には大阪・関西万博の開催が決定し、多様な方々が当たり前に行き交う社会になることが予想されます。
今回は、ユニバーサルデザインをビジネスの視点から取り組んできた理由について、新入社員の私が代表の垣内にインタビューしました。
Q:ユニバーサルデザインと経済性はどのように変わってきましたか?
遡ること50万年前になります。
ホモサピエンスよりも前、ネアンデルタール人が生きていた時代の話です。
そんな時代にももちろん、「歩けない・立てない・目が見えない」人たちはいました。
狩りになんて行けません。
しかし、口減らしされると思いきや、近年の分析で一緒に暮らしていたことが判明しました。
ここから分かることは、狩りにも採取にも行けなかった障害のある人を、みんなが支えあっていたということです。
言葉を選ばずに言えば、役に立たなかったかもしれません。
ですが、きっと狩り以外にできることを共に行い、住んでいたのでしょう。
その時代から人々のDNAの中には、ユニバーサルデザインの心が存在していたのです。
しかし時は流れ資本主義の時代では、障害者や高齢者をはじめとした少数者へ配慮せずともモノは売れるようになりました。
少数者へ配慮しても儲けられないとさえ言われていました。
ですが現在、「少数者」と分類されていた人たちは少数ではなくなりました。
高齢化、医療技術の発達に伴い、障害者や高齢者、また3歳未満の子どもは、日本の全人口の1/3を占めるようになりました。
多様な声を拾うことの経済性が認められる時代になり、そうした人々の生きやすさは、みんなの生きやすさに繋がると気づいたのです。
私は、ユニバーサルデザインにおける新しい時代が始まったと考えています。
Q:ユニバーサルデザインの未来はどうなっているのでしょうか?
私は、高齢化がさらに進むことで、ユニバーサルデザインが今よりもスタンダードになると考えています。
もしかするとユニバーサルデザインが存在することは「当たり前」を通り越し、ユニバーサルデザインという言葉すら無くなるかもしれません。
「障害があってもなくても、みんな違って当たり前の世界」
そんな未来のため、今私たちがユニバーサルデザインを広める必要があります。
そして、ユニバーサルデザインを広げるには、その動きを「継続」しなければなりません。
どれだけ良いことをしていても継続することができなければ、意味がありません。
恩恵を受けた人がさらに社会を良くしていくというサイクルを生むためにも、継続は必要です。
ユニバーサルデザインにお金をかけ、過ごしやすい社会をつくり、その社会を広げる。
経済性があるからこそ、社会性が成り立つのです。
だからこそ私は、ユニバーサルデザインをビジネスにしました。
2021年には東京オリンピック・パラリンピック、2025年には大阪・関西万博の開催が決定し、世界中・日本中から沢山の人が集まります。
多様な人が集まり、「みんなの過ごしやすさ」がどんどん求められる今こそ、世界に誇れる日本のユニバーサルデザインを創り出す時なのではないでしょうか。
Q:社長のユニバーサルデザインに対する想いを教えてください。
私は、ユニバーサルデザインは「誰もが同じように選択できる」ようになるために不可欠だと考えています。
「選択できる」とはどういうことだと思いますか?
私は先天性の病気で、幼少期より車いすに乗っています。
友達と一緒に走ることも、大好きな野球もできませんでした。
今までたくさんのことを諦めてきました。
そんな私は医者になりたいと思っていました。
入院の度にお世話になる医者の姿を見て憧れたのです。
しかし、ドラマに出てくる医者も、病院で見る医者もみんな立っていて、車いすに乗る医者は見たことがありませんでした。
「車いすに乗っていたら医者になれないんだ」と思い、私は夢を諦めました。
これからの社会を生きる子どもたちにはそんな思いをして欲しくありません。
夢を諦めなくてもいいように、選択肢を広げていきたい。
遊び方も生き方も自由に選べる未来にしていきたい。
ユニバーサルデザインによってそんな未来を創っていきたいと思っています。
インタビュー後の感想
今回のインタビューを通じて、「選択肢があること」の大切さを改めて感じました。
障害のある人もない人も、多様な人々が何かを諦めなくてもいいような世界を私も創りたいと思いました。