多機能トイレの中でこのような設備を見かけたことはありませんか。
これはオストメイトの方が利用する設備です。
オストメイトとは
オストメイト(ostomate)とは、人工肛門・人工膀胱を造設している人を指します。人工肛門・人工膀胱を総称してストーマ(stoma)と言います。ギリシャ語で語源で"口"という意味。便や尿を排泄するために腹壁に造られた孔のことです。穴ですから、肛門や膀胱の様に便や尿をせき止めることができません。そのため、通常は便や尿を受ける袋(ストーマ袋)を装着して、排泄を管理します。その排泄物を処理するための設備が、多機能トイレの中に設置されています。
入ってみないとわからない?オストメイト対応トイレ
オストメイト設備は年々普及していますが、全ての多機能トイレに備わっていない状況です。また、多機能トイレの外側にあるサインや、施設のフロアマップ上にオストメイト対応トイレの表示が無く、その多機能トイレに入ってみないと設備があるかわからないといった施設も多く見受けられます。複数の多機能トイレがある施設では、1階にはオストメイト対応トイレがあるけれど2階の多機能トイレ内には設置されていないなどといったケースもあります。
特に初めて訪れる施設でトイレの場所がわからなかったら不安を伴うものです。「環境のバリア」だけでなく、「情報のバリア」の解消も求められています。
オストメイト用設備/オストメイト
出典:公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団
|
オストメイト対応トイレを設けられない場合には
オストメイト対応トイレは普及しつつあるものの、スペース的な制約や費用面などから、施設によっては設置のハードルが高い場合があるのも現実です。また、オストメイトの方が一般的な便座を使用することは、パウチ処理のしづらさ等から、不安を伴うものでした。最近では、既存の便座を変えるだけでこれまでの課題を解決できる便座があります。
既存の便座を変えるだけです!
前広便座は、便座前部のスぺ―スと後部奥行きを確保することにより、そのスペースを使ってパウチ処理を可能とするものです。便座に腰掛けてパウチ処理ができるため、足腰への負担が少なくて済みます。また、前広便座は内部障害がある方や排泄ケアを必要とする方だけでなく、普通の便座としても快適に使用できることが特徴です。利用者によって体格差があったとしても、便座の前部が広いことによって、衛生的に使用することができます。
例えば、公共施設等の多数ある一般トイレの内、一部の便座を交換することで、利用者の幅を広げることができます。また、一般トイレの便座を交換することで設置でき、費用と手間を節約することが可能です。
◇前広便座の詳細は以下のリンクから
やさしく快適で使いやすい前広便座 ZA FREE
トイレは人の尊厳を守るものですから
トイレは毎日利用する場所であり、人の活動に密接に関わる空間です。安心してトイレを利用できる「当たり前」を誰もが享受できるよう、完全な機能を求めなくとも、まずは必要な時に利用できない事が無いように施設を整えていくことが求められます。