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2021年02月19日

【後編】コロナ第三波を迎え、『誰も取り残さない社会』を目指して(12/3対談まとめ)

ミライロ

★ダイアログ、ミライロが始まった背景、コロナ禍における自身・社会の変化について述べている【前編はこちら!】 

聴覚障害者からの五つの提案

前編の最後に、機械のトラブルによりマイクが途切れてしまいました。
後編は、マイクの音が戻ったところからお届けします。

志村真介
今一瞬マイクが不調で聞こえなくなったんですが、画面を見ていて音が切断される状態というのは、耳が不自由な方の状態なんです。そのときに手話通訳がどれだけ有益か。

 

垣内
先ほどはチャットで「聞こえなくなりましたよ」「また聞こえるようになりましたよ」と教えていただけたのでありがたかったですね。

 

志村真介
人は、壁や不便な状況が発生して、お互いに知恵を絞る中で打開できることがあります。今の状況は言ってみれば、「全世界中が障害者になった」状況です。ここでお互い協力しながら、コロナ禍があったからこそ豊かな社会になったんだと思えるといいですよね。

写真 話している4人

合澤
ありがとうございました。まさに今、障害の有無にかかわらず、皆が動きづらくなったり、コミュニケーションの方法が変わったりということで、世界中である意味、私達が一つの体験を共有している状況にあるとも言えます。

このような状況・体験を共有したという経験を踏まえて社会が今後どのように変わっていくことを期待していらっしゃいますか。withコロナにおける誰も取り残さない社会のあり方とその実現のために私たちができることについて提言をいただきたいと思います。

季世恵さん、お願いします。

 

志村季世恵
先ほど真介が申したように、世界中が今同じような状態になっている。これは一つのチャンスではないかと思っています。

不安を抱えながらでも、遮断・分断ではなく思いを馳せること。今どんな人がどんな状況にいるんだろうかと知らない人に対しても思いを馳せる。

医療従事者の方々がどんな想いで現場を守ってらっしゃるんだろうとか、生活の中でお世話になっている郵便配達の方や宅配をしてくださってる方、ゴミを集めてくださる方に想いを馳せていることが、この世界をより良くするのではないかと思っているんです。

私達はこの日のために聞こえない人たちに「どんなことができたらいいと思う?」と聞いてきました。そこで彼ら彼女たちからのメッセージとして『聴覚障害者からの五つの提案』というのをいただいています。

 

画像 5つの大 を合言葉に、マスクからはみ出るほどの笑顔で。

5つの大を合言葉に、

顔の表情を大切に。マスクをしていても表情が大きければ、相手がどんな様子かわかります。身振りを大きめに。マスク着用時は声のメリハリを大きくアイコンタクトを大切に。目を見つめ合うことによって、通じているということがわかって気持ちも良くなります。笑顔を大切に。マスクからはみ出るほどの笑顔でいると温かい気持ちになりますよね。以上が聞こえない人たちからの提案でした。

これを大切にできれば、この時代を乗り切ることができるんじゃないかと思っています。

 

合澤
ありがとうございます。垣内さんお願いします。

写真 話している4人

意識してほしい三つのこと

 

垣内
先ほどもお話がありましたが、都内の地下鉄で視覚障害のある方が転落するという事故がありました。ホームドアの完成まであと3ヶ月でした。

今の計画では、都内にある地下鉄180駅のホームドアが全て設置し終わるのは2026年だそうです。

ですが、5年も6年も待っていられません。これはホームドアに限ったことではなくて、学校でも職場でも、いろんな施設でも、「あの時ああしとけばよかった」ということが、これ以上増えないようにしなければいけません。ぜひ皆さんに一歩を踏み出していただきたいなと思います。

その上で、3つのことを意識いただきたいと思っています。

写真 話す垣内

1つ目は知ること。2つ目は体験すること。3つ目は想像すること。です。

まず1つ目の知ることは簡単です。ネットで調べれば障害のある人がどんなことに困っているのか、比較的情報を得やすくなっています。ただし、それだけではなかなかアクションには移せないでしょう。

ぜひダイアログ・イン・ザ・ダーク、ダイアログ・イン・サイレンスに来ていただき、障害のある人が何に困るのかをご自身の五感で感じてください。そうすればきっと、「こういう時にはこうしよう」といった自然な一歩に繋がっていくでしょう。

そして最後3つ目は、その上で想像することです。「この場所ではこんなことに困るんじゃないかな」「こういったサポートが必要になるんじゃないかな」ということを、社会全体で考えることができれば、より多くの方が不安や不便なく生活できる未来へと繋がっていくと思います。

ハード(環境)はもちろんのこと、ハート(意識)の部分も、皆さんと一緒に作っていきたいなと思っています。

 

合澤
ありがとうございました。

 

参加者との対話

 

合澤
それではチャットにて、参加者の皆さんと対話の時間を持てたらと思います。

『障害のある方からもアプローチがあるといいと思ったのですが、どうお考えでしょうか?』というコメントをいただいております。垣内さん、いかがでしょうか。

 

垣内
まず、コロナ禍において、障害のある方が何に困っているのかということはダイアログさんでもミライロでも調べているので、よかったらご覧ください。


■ダイアログが昨年10月に行った「新しい生活様式」禍での視覚・聴覚障害者の課題や可能性についてのアンケート結果はこちら

■ダイアログが5月に実施した、コロナ禍における「障害者からの7つの提案」はこちら

■ミライロが昨年6月に実施した「新型コロナウイルスが障害のある方の買い物にもたらす影響調査」に関する調査結果はこちら

 

私からはトピックとして、ITツールについてお話をしようと思います。

皆さんもコロナ禍でZoom、マイクロソフトのチームズ、Googleミートなどいろいろなソフトを使い、オンラインでコミュニケーションを取られているかと思います。その際はやはり文字として情報を共有するということが必要不可欠になってきます。

今日は手話通訳の人にも入っていただいて情報保障をしていますが、UDトークという音声を文字起こしするアプリも活用しています。その他にも、さまざまなツールが普及していますので、文字として情報を提供する方法についてはぜひ、普段から意識してもらえたらなと思います。

あともう一点、例えばWordやExcel、PowerPoint、PDFなど、さまざまなデータで資料を共有することがあると思いますが、これも視覚障害のある人が読めないということが起きないように、情報をいかに共有するかが大切です。例えばPDFであれば、設定次第で読み上げしやすいように調整ができたりします。

このような、情報をより伝えやすくするための工夫というのは、コロナ禍のリモートワークの中で広がっています。

今後もぜひ皆さんで意識いただければなと感じています。

 

合澤
ありがとうございます。

続いての質問です。

『オンライン会議で文字起こしが追いつきません。何か良い方法はないでしょうか』という質問が来ています。これについて何かアイディアやご意見ある方いらっしゃいますか。

 

垣内
立て続けにすみません。先ほどお話ししたUDトークというアプリだけでなく、Speech to Textsloosも便利でした。

Speech to Textはブラウザ上で動く文字起こしツールで、ほとんど途切れることなく文字起こしされます。sloosはまだベータ版だったかと思いますが、これは一つのパソコンで起動しておけば参加者全員の音声を文字化してくれるサービスです。


■UDトークの詳細はこちら

■Speech to Textの詳細はこちら

■sloosの詳細はこちら

 

こういったコミュニケーションツールの開発は今後さらに進むと思いますし、皆さんが積極的に使うことで多くの企業が「もっと開発していこう、広げていこう」とアクションし、経済的にも動き出すと思います。

今後ぜひ皆さんにも「こんなことに困る」「これを変えていくべきだ」という声を発信していただきたいなと思います。

 

志村真介
こういうことってすごく大切だと思うんですね。

目の前の誰かの困りごとを誰かが解決していく。例えばITで解決するとして、その開発が進むと、困りごとを解決するための開発が、この世の中全体の便利にも繋がるんです。

 

合澤
ありがとうございました。それでは次の質問です。

『物理的な距離をとることを求められている昨今。お声掛けすることが迷惑になるのではないかと今まで以上に慎重になり、一歩を踏み出せません。一方で、ホーム転落のニュースなどを見ると、もっとお声掛けが必要だと感じます。この葛藤をどのように行動に移せばよいでしょうか』という質問です。

季世恵さんいかがでしょうか?

 

志村季世恵
お声がけの方法はいくつもあると思います。

例えば、目の見えない人に対しては少し距離を置いたとしても、顔を向けていれば自分に話してもらっていることがわかることが多いですから、今何かやれることがありますか?と言っていただけるといいと思います。

スマホに夢中になるなど、自分の世界に入ることを少し手放すだけでもだいぶ変わると思うんです。困っていそうなのか、慣れてるところを歩いていそうなのかは見ればわかることなので、まずは周りを見るところから始まるのかなと。

写真 話す志村季世恵

あと、障害のある方と出会って友達になるのも一つの手です。そうすると、どんなことが苦手でどんなことが得意かというのがよくわかります。私は方向音痴なんですが、目が見えない人の方が、方向感覚が鋭い場合があります。

私の「目」は貸しますが、方向を覚えるのはあなたに任せます、みたいに助け合うことはいくらでもできます。見えない人とでも、車いすユーザーの方とでも聞こえない方とでも、それぞれの知恵を持ち寄っていくことで楽しみも湧いてきます。

終わりの言葉

 

合澤
参加者の皆さま、チャット欄を通して対話へのご協力をありがとうございました。それでは最後に登壇者のお三方から一言ずつコメントをいただきます。では垣内さんお願いします。

 

垣内
皆さんありがとうございました。

時間が経つと少しずつ参加者が減ってしまうのかなと思いましたが、今も148人の方にずっと視聴いただいてるということで本当に嬉しく、心強く思います。

これだけ多くの方が障害のある方や多様な方々に対して、「何かできることがないか、もっと知れることがないか」とこうやって時間を使っていただけることに、やっぱり未来は明るいなと感じています。

今日のこの時間をきっかけに少しでも皆さんの「知る、体験する、想像する」へ繋げていただけたらなと願っています。本日はありがとうございました。

 

志村真介
誰もがそれぞれ、思い込みを持っているんですよね。「この人はこういう人だ」というステレオタイプがある。それをコロナ禍だからこそ、ユニバーサルマナー検定で勉強し体験し、見えない壁を取っていくことが必要だと思うんです。

なぜなら、コロナはワクチンで解決するかもしれないですが、また同じ何かが起きたときに、今回のようなプロセスを経るのではなく、この経験を活かして、何か起きても越えていく力が成長していくといいなと思っています。

 

志村季世恵
私からは、ぜひともお願いしたいことを最後にお伝えします。

アイコンタクトを忘れないで、マスクからはみ出る笑顔をまずは練習してみてください。そして、大切な言葉「ありがとう」をたくさん使っていただきたいです。「ありがとう」に出会うと何かが変わっていくと思います。

今日たくさんの方が聞いてくださって私たちはとても嬉しいです。本当にありがとうございました。

 

合澤
ありがとうございます。

それではこれにて本日のプログラムを終了いたします。
ご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました。


ダイアログシリーズが合格資格の一つになっているユニバーサルマナー検定1級の詳細はこちら

 

写真 終わった後の4人の写真