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2024年09月17日

「かがむ」「こする」の困りごと、ありませんか?“浴室掃除”に関する皆さんの工夫をご紹介します。

ミライロ

暮らしの工夫、浴室掃除編のサムネイル画像
※ミライロは、一般財団法人 花王みらい共生財団と連携し、障害のある生活者やそのご家族に向けて、生活場面で直面する悩みの解消につながる情報をお届けする取り組みをしています。

 

目次
はじめに

今回は、皆さんから要望の多かった「浴室掃除編」です。

前回の記事では、洗濯や歯磨きに関する「はかる」「のせる」の困りごとをテーマに、皆さんの工夫をご紹介しました。
前回記事はこちら

 

前回記事の読後アンケートでは…

「歯ブラシにハミガキをのせにくいので、この記事の具体的な解決法が参考になった。」

「商品開発にあたり、色々な工夫をしていることがわかり、新しいタイプの洗剤やハミガキに変えてみたいと思った。」

「自分以外の障害者の生活について知ることができ、学びがあった。」

などの声をいただきました。他にも、今後の暮らしに活かしたいといった声など、たくさんのうれしい反響がありました。声をお寄せいただいた皆さん、ありがとうございました。

今回は、皆さんから要望の多かった「浴室掃除」についてご紹介します。ぜひ、ご覧ください。

記事の作成にあたり、ミライロIDユーザーを対象に「浴室掃除に関するアンケート」を行いました。ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。

身体障害・知的障害・精神障害・発達障害など、さまざまな障害がある合計643名の方の回答から、特に気づきのあった内容をピックアップし、まとめました。
アンケート調査から見えた「浴室掃除の悩み」

浴室掃除において、5人に1人が「かがむ」ことに不便を感じています。また、最もお困りの場所は「床や壁」「排水口」「浴槽」でした。

Q浴室掃除は主に誰が行っていますか?

グラフ 浴室掃除を行っている人 n=643人 自分は58.0%、家族や同居人は36.1%、ヘルパーは3.3%、掃除の専門業者は0.2%、その他は2.5%

「自分で」が58.0%、「家族や同居人」が36.1%でした。 

ご自身で行う浴室掃除について、最もお困りの場所はどこですか? 

グラフ 浴室掃除で最も困る場所 n=373人 床や壁が137人、排水口が101人、浴槽が67人、鏡が19人、蛇口周りが10人、その他が39人

最もお困りの場所は、多い順に「床や壁」「排水口」「浴槽」でした。

浴室掃除において、障害があることで掃除のしづらさを感じることは? 

グラフ 障害があることで浴室掃除のしづらさを感じること 総件数649件(自由回答を分類集計)n=643人 動作関連の困りごととしてかがむことが20.5%、こすることが5.1%、その他の困りごととして汚れが見えないが3.0%、気力がないが14.0%、やり方がわからないが2.6%、ヌメリ・濡れることが苦手が2.5%、特になしが28.5%、その他が24.7%

  • 全体の20.5%(5人に1人)が「かがむ」ことに不便を感じています。
  • 他の動作に関する困りごととして、「こする」ことが5.1%でした。
  • また、自分以外の家族やヘルパーなどが掃除をしている方270人のうち73人(27.0%)が「かがむ」ことに困難な状況をあげています。

クラッチタイプの杖を使用している人が、スポンジを持って浴室で困っている様子のイラスト

 

理想は、「かがまず」「こすらず」「ラクにキレイ」。

浴室掃除において、障害があることで掃除のしづらさを感じることは?

〈回答抜粋〉

「腰をかがめるのがつらい。しゃがむのがつらい。」
(下肢障害、内部障害、体幹障害)

「肩や腕を動かしづらい。片手しか使えない。」
(上肢障害、内部障害、下肢障害)

「力が入りづらく、こすれない。」(上肢障害、下肢障害、内部障害)


かがみながらの浴槽掃除が辛そうな様子のイラスト

 

見え方に関連した意見もありました。

「汚れが見えないので、きれいになっているか心配。」(視覚障害)

「汚れが見えず、毎回全部の掃除をやらないといけない。」(視覚障害)


壁の掃除をしているが、きれいになっているか分からない様子のイラスト

 

さらに、動作や見え方以外の理由でもご意見をいただきました。

「面倒で放置しがち。」(精神障害、発達障害)

「気分がすぐれない。(鬱などにより)気力がない。」(精神障害、発達障害)

「時間がかかるとイライラしたり、メンタル不調になる。」
(精神障害、発達障害)

「やり方、段取りがわからない。」(発達障害、知的障害、精神障害)

「濡れるのが苦手。」(発達障害、精神障害)


浴槽、壁、排水口などを思い浮かべながら悩んでいる様子のイラスト

皆さんの回答から、
かがまず、片手で使えて、スポンジでこする必要がない浴室用洗剤が求められていることがわかりました。また、手間がかからず、時短になること、排水口に触らなくても済むことも重要だと考えられます。

容器の形や中身が工夫された商品

「こすらず、流すだけで洗える」浴室用洗剤などで困りごとを解決しましょう!

浴室の掃除に関するこれらの困りごとは、お使いの洗剤を変えることで解消できるかもしれません。ここでは、「容器の形や中身が工夫された商品」をご紹介します。

~「こすらず、流すだけで洗える」“浴室用洗剤” ~

汚れ落ちの良い洗剤を、軽い力でムラなくスプレーできる容器
(蓄圧スプレータイプ)

浴槽掃除は、底が深くてかがまないと手が届かなかったり、湯あかがつきやすい湯面はこすらないときれいにならなかったり、特に動作に制限のある方には掃除がしづらい場所の一つです。最近は、汚れにスプレーして少し置き、シャワーで流すだけで洗える浴室用洗剤も増えています。ただ、浴槽全体にスプレーするのに何度もレバーを引いて手が痛くなったり、ムラなくスプレーできずに洗い残しがあり、結局かがんでスポンジでこすらないといけなかったり…。そんな困りごとを解決してくれる洗剤(蓄圧スプレータイプ)があります。

蓄圧スプレータイプは、軽い力でレバーが引けて、細かいミスト状の洗剤を均一に広い範囲にスプレーできます。浴槽はスプレーして30秒置いて、こすらずシャワーで流すだけできれいになるため、手間や時間がかからず、身体への負担も少ないです。浴室の床や壁など広い範囲の掃除での使い勝手もよさそうです。

蓄圧スプレータイプの洗剤のイラスト蓄圧スプレータイプの洗剤を浴槽に向けて使用している様子のイラスト


※「蓄圧スプレータイプの洗剤を使う時のコツ」など、特に新しいタイプの商品を使う際には、使用方法や使用上の注意をしっかり確認しましょう。
※商品にも記載がありますが、メーカーの公式ホームページでも、わかりやすく紹介されていますので、参考にしてください。

蓄圧スプレータイプの洗剤を使ったお風呂掃除の仕方

 

「蓄圧スプレータイプの浴室用洗剤」
~使用した方の声※~

「とても良いです。今までのものと違い、汚れがしっかり落ちて感動しました。指を骨折してギプスをつけているので重宝しており、3本目を使用しています。この商品、絶対なくさないでください。」

「腰が痛く、かがむのが大変。スポンジでこするのも力が入らない。この商品は立ったままスプレーでき、こすらなくても浴槽のぬめりが取れます。お風呂掃除が本当に楽になったので友達にも勧めました。」

「私は高齢の主婦で、毎回の入浴後のお風呂掃除は、ぐったりするほど大変でした。はじめは30秒で楽になれるか疑っていましたが、本当にきれいになり、こすらなくてもよくなり、腰も痛くならず、大変楽になりました。」

その他にも、「レバーが引きやすくなった。」「風呂掃除が楽になって助かる。」「汚れが簡単に落ちて掃除がイヤじゃなくなった。」といった声が寄せられています。

※メーカーのお客様相談室に寄せられたご意見を提供いただいています。
(声が寄せられた商品:花王 バスマジックリン エアジェット)

蓄圧スプレータイプの洗剤とシャワーを手に持って笑顔になっている様子のイラスト

~「こすらず、流すだけで洗える」“浴室用の排水口洗浄剤” ~

「発泡粉末タイプ」の排水口洗浄剤

浴室の排水口は、排水口のフタ裏や受け皿、水のたまり口にカビやヌメリが発生しやすく、臭いもしたり、細かい部分のこすり洗いが必要など、身体への負担が大きい掃除場所の一つです。そんな排水口を、こすらずきれいにしてくれる発泡粉末タイプの洗浄剤があります。

粉状の洗浄剤を排水口にふりかけ、水を注ぐと発泡するので30分以上放置します。すると、モコモコの泡がフタ裏まで届き、排水口をまるごと包みこむので、こすらなくてもカビ、ヌメリをすみずみまでしっかり落とすことができます。消臭効果もあり、月に1回程度の使用で浴室を気持ちよく使えそうです。

ただし、カビ取り剤などの洗浄剤を使用する際は、必ず換気を行い、炊事用手袋、マスク、目の保護のため眼鏡などを着用してください。また他の商品と一緒に使わないなど、特に使用上の注意の確認が必要です。粉末タイプは、粉が舞い上がらないように排水口に近い位置からふりかけ、目、鼻、口などに入らないように注意してください。また、誤食のおそれのある方が口にしないような場所に保管してください。

発泡粉末タイプの排水口洗浄剤を排水口にふりかける様子と、泡が広がる様子のイラスト

商品にも記載がありますが、メーカーの公式ホームページも参考にして、安全に使用してください。

発泡粉末タイプの排水口洗浄剤の使い方

まとめ

工夫次第で、浴室掃除はもっとラクになります。
ぜひ、今後の暮らしにお役立てください。

いかがでしたか?今回は、浴室掃除の「かがむ」「こする」に関する困りごとと、それを解消するための工夫をご紹介しました。日常生活には多くの動作が存在し、それぞれに困りごとを感じている方がいらっしゃいます。より多くの方に皆さんの困りごと、そして工夫を知っていただき、皆さんのお役に立つことができればうれしく思います。


障害のある生活者やそのご家族が日常生活で直面する悩みや困りごとを理解して、その声を皆さんと、そして社会と共有しながら、解決につながる活動を行ってまいります。ぜひ、ご感想と共に皆さんの困りごとや日常での工夫の声などをお寄せください。

※匿名でお答えいただけます。
※本記事への感想もお待ちしております。
※頂戴した声は、次回以降の記事に使用することがあります。

上記、ご同意いただける方は、下記アンケートにお答えください。

 

アンケート回答

 

協力:一般財団法人 花王みらい共生財団