目次
1.はじめに:アンケートの目的
2.手話通訳士とは
3.手話学習のきっかけ
4.好きな通訳現場
5.私生活・通訳現場で気を付けていること
6.まとめ
1.はじめに:アンケートの目的
聴覚障害者と社会を繋ぐ「手話通訳」は、社会のバリアフリー化が進む中で、ますます重要性が高まっている仕事です。
しかし、「どうすればなれるの?」「どんなやりがいがあるの?」といった疑問や、将来への不安から、一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。そこでこの度、当社に登録する**現役手話通訳者49名**にご協力いただき、アンケートを実施しました。
このブログでは、そのリアルな結果をもとに、手話通訳という仕事の魅力、学習開始から資格取得までの道のり、日々のスキルアップ(研鑽)方法、仕事への熱い想いとキャリアパスなど、通訳者一人ひとりの生の声とキャリアを徹底的に掘り下げます。
「手話通訳者」という道に興味がある皆さんの背中を押し、新しい一歩を踏み出すきっかけとなる情報をお届けします!
2.手話通訳士とは
プロフェッショナルとして活動する上で、一つの大きな目標となるのが「手話通訳士」の資格です。これは、社会福祉法人聴力障害者情報文化センターが実施する「手話通訳技能認定試験(手話通訳士試験)」に合格することで取得できる、厚生労働省が認定した公的資格です。
<資格の重要性>
・信頼の証明:
国家資格ではありませんが、高度な知識と技能を持つ専門職としての信頼性を裏付けるものです。
・キャリアアップの鍵:
自治体や企業など、多くの機関が手話通訳者として登録・採用する際の必須条件または優遇条件としています。
この資格は、プロとして現場で活躍するために、ご自身が持つ技術と熱意を公的に証明する「信頼の証」と言えるでしょう。
当社に登録をされている手話通訳士の多くは、各自の地域への登録と、当社への登録など複数の団体に登録し活動しています。
参考資料:手話通訳技能認定試験について(厚生労働省)
3.手話学習のきっかけ
「手話通訳者」として活躍する49名の皆さんは、一体どこで手話通訳に出会ったのでしょうか?アンケート結果から見えてきたのは、一人ひとりの人生に根ざした、多様で心温まるスタートラインでした。
・身近な人との出会い・会話(約30%)
「近所のろう者と挨拶したい」「友人と話したい」「うまく伝わらなくて悔しかった」など、目の前の人とのコミュニケーションが最大の原動力のようでした。
・家族・生い立ち(約15%)
「子どもが難聴と分かった」「両親がきこえない(CODA)」など、生活の一部として手話が必要だったケースです。
・言語・職業としての興味(約14%)
「手話という言語が面白そう」「通訳する姿に憧れた」という好奇心からスタートした方も多数。
その他、広報誌の募集を見て/仕事・学校での関わり/ドラマの影響/震災などの防災意識など、日常のふとした瞬間にきっかけが転がっていることが分かりました。
4.好きな通訳現場
「好きな通訳現場はどこですか?」という設問を設けたところ、その結果は多岐にわたりましたが、中でも最も多くの票(24.5%、12票)を集めたのは「コミュニティ通訳」でした。
Q 好きな通訳現場はどこですか?(単一回答)

コミュニティ通訳とは、地域に住む聴覚障害者が、行政や医療、教育といった場面で会話を円滑に進めるための通訳で、市役所での手続きや病院での診察、学校の保護者面談など、日常生活の様々な場面が挙げられます。
当社では上述のコミュニティ通訳は担っておらず、主にイベントや研修等企業からのご依頼を多く受けています。
コミュニティ通訳以外で多くの票を集めたのは、芸術(14.3%、7票)や、イベント(10.2%、5票)、その他会議、学術などでした。
最近、新しい分野での情報保障が格段に進み、聴覚障害者の社会参加の幅が広がりつつあります。通訳者としても、そのような社会的な流れを嬉しく受け止めています。
5.私生活・通訳現場で気を付けていること
Q 私生活で気にかけて努力していることは何ですか?(単一回答)
よく「手話通訳は体が資本」と言われますが、今回のアンケートでもそれが実証されました。日頃気をつけていることの第1位は、「健康維持」で34.7%(17票)。
やはり、万全の体調で現場に立つことがプロの基本のようです。
そして第2位に入ったのが、「社会情勢や専門分野の情報収集」(20.4%/10票)です。 常に世の中の動きにアンテナを張り、知識をアップデートし続ける。 「体」と「頭」、その両方を鍛え続けることこそが、手話通訳者の自己研鑽と言えそうです。
Q 通訳をする際、最も気を付けていることはありますか?

「通訳をする際、最も気を付けていることはありますか?」という設問に対しては、同率1位(38.8%/19票)で並んだのが、「事前準備」と「聴覚障害者の反応を見る」ことでした。
■ 事前資料があるかないかで、通訳の質は大きく変わります。現場に入る前の入念な準備こそが、スムーズな通訳を支える土台なのです。
■ 独りよがりな通訳にならないことが重要です。また現場ではライブ感が命。ただ訳すのではなく、聴覚障害者の表情や反応を瞬時に読み取り、伝え方を変える。「ちゃんと伝わっているか?」を確認し続ける姿勢が不可欠です。
そして3位には「立ち振る舞い」(12.2%/6票)がランクイン。「出過ぎず、引き過ぎず」。黒子に徹しながらも必要な時は一歩出る。その絶妙な距離感も、プロが磨き続ける技術の一つです。
6.まとめ
後編では実際に通訳者にインタビューを行い、ミライロでの通訳生活を掘り下げます。ミライロ・コネクトでは、これからも手話によるコミュニケーションが自然に行われる社会を目指し、さまざまな場面でのサポートを続けていきます。




