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2020/11/02

海水浴場から考えるユニバーサルデザイン

苫米地 麻衣

写真 車いすユーザーの社員・岸田が海水浴を楽しむ様子

猛暑が続いた今年の夏。
このような気候だったからこそ、海水浴場に足を運びたいと感じた方が多かったのではないでしょうか。
しかし、海水浴場は多様な方々が利用する場所である一方、他のレジャー施設と比べて自然の影響を大きく受けるため、危険を伴う場所でもあります。

そのため、誰もがより安全に楽しく利用できるよう、ユニバーサルデザインの取り組みを行う必要があります。
今回は、海水浴場で求められる環境・意識・情報の3つの観点における工夫から、他のレジャー施設にも応用できるユニバーサルデザインの取り組みについてご紹介します。

誰もがアクセスできる環境整備

例えば、砂浜では車いすや歩行器の車輪が砂に沈んでしまいます。
そのため、海の近くまで向かうことが難しく、せっかく海水浴場に足を運んでも十分に楽しめない場合もあります。

海水浴場によっては、砂浜や水辺でも沈まない車いすの貸し出しを行っているところもあります。
しかし、誰もが海水浴場で楽しむには、いつでも自由に簡単に砂浜へアクセスできるよう環境を整備していくことが必要です。

例えば、下記の写真のように砂浜の一部に道を設置したり、通行用のマットを置くことで、車いすユーザーや歩行器を使用している方も砂浜へアクセスしやすくなります。

写真 砂浜の一部に道を設置した様子

 

また、多様な方々が使用しやすい環境づくりとして多機能トイレの設置広いスペースのある更衣室・シャワー室の設置なども求められています。

 

スタッフによる声かけ

海水浴場は自然の影響で常に状況が変わる場所です。
そのため、先述した環境面の整備に加え、海水浴場に駐在しているスタッフの声かけなど「意識面でのサポート」も、安心して利用できる場所づくりを行う上で重要になります。

・砂浜を移動しづらい車いすユーザーや歩行器を使用する方には、お声がけをして誘導を行う。
・トイレや更衣室の場所が分かりづらい視覚障害のある方には、場所や方向をご案内する。

など、環境面で解決できない部分でも、意識面の取り組みで解決できることは多くあります。

 

まずはその第一歩として、飲食店や海水浴場内の設備を利用する際に困っている人を見かけたら「何かお手伝いできることはありますか?」等の声かけを行い、多様な人が利用しやすい場所づくりを行いましょう。

 

写真 車いすユーザーの社員・岸田が海水浴を楽しむ様子

 

※(過去写真)車いすユーザーの弊社社員・岸田も、環境面やソフト面の配慮で安全に海水浴を楽しむことができました!

安全・安心に海水浴場を利用するための情報発信

毎年残念ながら、海水浴場での事故は全国各地で起こっています。
特に海水浴は多くの人が楽しむ夏のイベントの1つですが、安全を確保せずに遊泳を行うと、誰でも水難事故に巻き込まれる可能性がある危険な場所です。
そこで、海水浴場では安全に海水浴を楽しむために情報発信においても様々な工夫が求められます。

【安全に遊泳を行うためのフラッグ】

 

写真 エリアフラッグ

 

この旗は「エリアフラッグ」と呼ばれ、砂浜や水辺などどこにいても見つけやすいよう、注意喚起や危険を促す赤色と黄色の2色で構成されています。
フラッグは2カ所に設置されており、2カ所のフラッグの間が、安全に遊泳出来る水域です。

誰にとっても理解しやすく、配色が目立つ分かりやすい目印となっています。

写真 遊泳禁止と書かれた赤い旗

また、上記の写真のように、皆さんが安全に遊泳を行うため、どのように遊泳を行って欲しいかを示したフラッグも浜辺に設置されています。

フラッグの色は全部で3色あり、状況にあわせた1色が設置されます。

色で示すことで誰もが直感的に分かりやすく海の状況を知り、注意して安全に遊泳を行うことが出来ます。

さらに、多様な人が訪れる海水浴場では、安全に遊泳を行うためのフラッグに加え、誰もが必要な情報を得るための情報発信の工夫も必要です。
そのために、主に2つの取り組みが求められます。

【誰もが分かりやすい案内サイン】

海水浴場の利用方法やトイレ・救護室の場所などを、場内入口に案内サインとして掲示しておくことも、使いやすさや安全面の向上につながります。
掲示するサインは、
・多様な利用者の身体的特性・ニーズにあわせ、誰もが公平に使えること
・重要な情報がすぐにわかる・わかりやすい内容にすること
であることが必要です。

【事前の情報発信】

案内サインや、環境づくりの取り組みを行って終わりにするのではなく、Webなどで事前に情報発信を行うことで、利用者にとって利便性が向上します。
例えば、安全面での取り組みや、海水浴場を誰でも楽しめるように行っているサポート情報、多機能トイレがあるかなどのバリアフリー情報を発信することで、利用できる場所かどうかを事前に判断することができます。

まとめ

海水浴場に求められるユニバーサルデザインについてご紹介しました。

・海水浴場では、いつでも自由に砂浜や波打ち際にアクセスできる環境づくりを行うことが求められること
・環境面の整備で補えない部分は、お声がけなどの意識面で対応できる場合もあること
・情報面に関しては、誰もが分かりやすいサインを設置することで安全に海水浴場を利用でき、水難事故の防止にもつながること
・これらの情報を事前に発信することで、利用者が安心して訪れられる海水浴場づくりにつながること

上記4点を覚えていただけると嬉しいです。
今回ご紹介したポイントは海水浴場以外の施設でも共通します。
誰もが利用しやすい海水浴場や施設の実現について、この機会に考えてみてはいかがでしょうか。

事例紹介
誰もがわかりやすい案内サイン(神戸大学)
情報発信(リーガロイヤルホテル小倉:HP監修)

 

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