「オストメイトマーク」について知っていますか?日常でオストメイトマークを見かけることがあるところといえば多機能トイレです。
多機能トイレにはオストメイトマークが表示されていますが、どんな方が利用していて、どのように使用されているか分からない方もいるかと思います。
この記事ではオストメイトマークについてや、オストメイトならではの困りごとを紹介していきます。
<目次>
オストメイトマークとは
オストメイトのための設備がある多機能トイレの入口に表示されています。
オストメイト対応トイレは、ストーマ装具を定期的に管理する必要があるため、オストメイトが安心して外出できる環境を整備しています。
また、オストメイトマークの他にもオストメイトの方の中には、ヘルプマークを持ち歩いている方もいます。ヘルプマークを持ち歩いている方もオストメイト対応トイレを利用されています。
オストメイトとは
病気や事故が原因となって手術でストーマ(排泄口)をおなかにつくり、ストーマを介して人工的に排便や排尿をしている人のことを「オストメイト」といいます。
オストメイトは自分の腸や尿管をおなかまで出し、ストーマ装具(パウチ)をつけて排泄物を一時的にためています。
オストメイトの人口は約21万人であり、人口比率は約17%※となっています。
※参考データ:横浜市オストミー協会 平成30年度 都道府県別オストメイト数
ストーマとは
手術でおなかにつくられた便や尿を排泄する穴を「ストーマ」といいます。
ストーマには人工肛門と人工膀胱があります。
そして人工肛門のことを「消化管ストーマ」、人工膀胱のことを「尿路ストーマ」と呼び、両方ある場合は「ダブルストーマ」と 呼びます。
ストーマは腸や尿管をおなかに出している粘膜のため赤い色をしており、痛みを感じる神経はなく、触ったりしても問題ありません。
また、粘膜は常に腸液や粘液が分泌されており乾くことがありません。排泄までの過程には「ためる・便意・我慢・排泄」がありますが、ストーマを設けると無意識に排泄されます。
オストメイト対応トイレはどんなトイレ?
ストーマ装具にたまった排泄物は定期的に処理する必要があります。オストメイト対応トイレとは、処理したときに汚れたストーマ周辺と衣服の洗浄や清拭、ストーマ装具の交換・洗濯・廃棄ができる設備が整ったトイレです。
オストメイト対応トイレは、公共交通機関の施設構内、官公庁施設や商業施設内に設置されていることが多いです。
※参考の一例となります。
<基本的機能>
- 鏡
ストーマ装具の装着するときに腹部を映します - ペーパーホルダー
腹部、ストーマ装具、衣服などに付着した汚物を拭取る - シャワー
腹部、ストーマ装具、衣服などに付着した汚物を洗い流す - 流し台
汚物を洗い流す場所 - フック
衣服、荷物などを掛ける - カウンター
ストーマ装具などを置けるスペース - 汚物入れボックス
使用したストーマ装具の廃棄 - 着替え台
服を着替える台
全ての機能が設置されておらず、洗浄機能だけが設置されている場合もあります。多機能トイレには実はこの機能が詰め込まれています。
オストメイトの方の困りごと
オストメイトは排泄方法が通常のトイレを使う方とは違いますが、手術前と同じ生活ができます。
ただ、ストーマやストーマ装具は衣服の下に隠れているので外見でわかりづらく、周囲の方に理解されにくい状況となっています。
外見ではわからない困りごとや理解いただきたいことをご紹介します。
◇排泄のコントロールができない
人工肛門や人工膀胱になり、無意識にストーマから排泄物が出ています。
排泄物をためているストーマ装具の定期的な交換が必要であるため、交換できる設備が整った場所が必要となります。
また、長時間の外出の場合は「オストメイト対応トイレがあるか心配」、「排泄物が漏れたらどうしよう」と不安感を持っている方もいます。
◇多機能トイレを使うことへの理解をしてほしい
衣服でストーマやストーマ装具は隠れているため、外見ではオストメイトであることがわかりません。
外見ではわからないので、オストメイト対応トイレから出てきたときに注意を受け、困惑している方がいます。
多機能トイレは他の方も使用しますが、排泄物の処理に時間がかかることへの理解が進んでいないことも困りごとの一つです。多機能トイレから出てきた人がどんな方であれ、高圧的な態度や注意をしないことも一つの配慮につながります。
また、多機能トイレが混雑している場合、オストメイト設備をすぐに使用できないことがありますので、多機能トイレの設備を必要としている方が優先的に使用できるように、できる限り使用しないといった配慮も必要です。
オストメイトと温泉について
排泄物をためるストーマ装具は温水の温度に耐えられる材質であり、外れることやニオイも漏れないため、つけたまま入浴ができます。
他の入浴者への配慮として、ストーマ装具にたまった排泄物は捨ててから入浴しており、オストメイトの中にはストーマ装具の上から肌色の防水シールを貼っている方もいるためほとんど目立ちません。
「温泉には入ることはできるが、周りの方を意識して温泉を十分に楽しむことができない。」ということが起きないために、オストメイトへの理解やお困りの様子であればお声がけください。
まとめ
オストメイトについてご理解いただけたでしょうか?
オストメイトは外見ではわかりづらいですが、申し出があった場合やヘルプマークを身に付けられている方がいらっしゃれば多機能トイレを優先的にご利用いただく配慮ができると思います。とっさにご案内ができるように多機能トイレの場所を覚えておくだけでも役立ちます。
オストメイトの方に限らず、お困りの方がいらっしゃったら「何かお手伝いできることはありますか?」とお声かけしてみてください。より詳しく障害者や高齢者など多様な方への向き合い方を学びたい方は、ぜひユニバーサルマナー検定のページをご覧ください。